くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「恋狂い」

kurawan2016-12-29

「恋狂い」
夫が遠洋航海で留守の間、ひたすら帰りを待っている一人の女が、自らの火照りに耐えきれず男を漁り、やがて裏の世界に身を落としていく姿を、女の情念という部分に焦点を置き、寄り切ったカメラワークで切々と語っていく、まさに日活ロマンポルノの真骨頂のような作品。そのほとばしるような女の姿に、濡場を脇においても引き込まれる一本でした。監督は加藤彰です。

長い航海から帰ってくる夫の姿から映画が始まる。帰ってみると妻の姿がない。時間が遡り、夫の留守の間の妻の姿が描かれていきます。

ひたすら夫を待つ日々に耐えきれず、次第に男を漁るようになる。やがて、妹に彼氏を取られた姉の復讐がその妻に迫り、やがて、妻はシンガポールに売られていく。

ロマンポルノなので、十分に一回濡場があるのですが、それよりも、ひたすら夫を待つあまりにも健気な一人の女の切ない恋心が見事に描かれている点では、並みの映画以上に出来栄えである。ここまで人間のドラマを描ける映画は現代でも少ないのではないかと思います。見応え十分な一本でした。