くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ゴースト・イン・ザ・シェル」「LION ライオン 25年めのお

kurawan2017-04-11

「ゴースト・イン・ザ・シェル」
もっとつまらない映画かと思っていたが、意外と楽しめた。少々お話はくどいのだが、「攻殻機動隊」の世界観を再現することへの努力は見えたかなと思います。ただ、やはりこの手の都会シーンは「ブレード・ランナー」に見えてしまうから、いかに「ブレード・ランナー」が個性的な作品だったかと思います。監督はルパート・サンダーです。

瀕死の重傷を負ったミラが搬送され、脳だけがサイボーグの体に移植されるところから映画が始まる。

やがて彼女は兵器として、捜査官として仕事につくことになる。そしてサイバーテロ事件を追っていくうちに、自分の過去、犯人の真相などが見えてくるという展開。ただ、ストーリーテリングは最低で、ビートたけしみたいな貧相な役者をボス的な存在に起用したのもあり、全体にしょぼい。

さすがにスカーレット・ヨハンソンの演技力は、ほとんどがCGであっても、しっかりとキャラクターを生き生きさせるのは見事。

そもそものオリジナルアニメを見ていないので、これ以上、実写版がどうなのかという感想は控えたいけど、街並みのデザインやセット美術は綺麗だったし、全体的には普通の仕上がりとはいえ、楽しめました。


「LION ライオン 25年目のただいま」
現在と過去の姿を巧みに交錯させながら心の動きを演出していく映像構成が実にうまい一本で、実話の物語というより、しっかりと映画として完成された映像作品として評価できる作品でした。とはいえ、Googleearthってすごいんやなと思わざるを得ませんね。監督はガース・デイビスです。

仲の良い兄のグドゥと一緒のサルー。二人が蝶の舞う平原で遊んでいる場面から映画が始まる。とにかくのどかで素朴なインドの下町の描写が実に美しいが、正直、インドの下層市民の生活の厳しさはあまり描写されていないのは、監督がそれなりの富裕層のためなのかと考えてしまう。

ある日、兄が夜のアルバイトに行くのについていったサルーは、無人の列車で眠ってしまい、列車が動いたため、降りるに降りれなくなり、遠く離れた街に行って迷子になってしまう。

人攫いから逃げたりしながら保護された彼は、やがて養子になって引き取られオーストラリアで成長する。そして25年、どうしても故郷のことが気になるサルーは知人の勧めでGoogleearthで探すことを始める。

妻からも疎まれ始めたある日、偶然見た画像から、故郷を見つけたサルーはインドへ向かう。そして 25年探し続けていた母と再会する。しかし、グドゥは列車の事故で亡くなっていた。

実話なので、物語の展開は、崩すことはないが、幼い兄の姿が大人になったサルーの前に現れたり、子供の頃の景色が目の前に浮かんできたりと、映像演出が実に巧みで多彩なので、ストレートな感動のドラマが非常に凝った作品として完成されています。

当然エピローグで、実際のサルーや関係者が紹介され、実はサルーという名は彼の記憶違いで、シュレイ、つまりライオンの意味のある名前だったと締めくくられるラストがうまい。

非常に真面目に作られているのですが映画表現としてもクオリティの高い作品でした。