くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「夜明け」「バジュランギおじさんと、小さな迷子」「マイル22」

「夜明け」

脚本も演出もセンスの悪いというか、テンポが全くつかめていないというか、ひたすらダラダラと繰り返す展開と映像に参ってしまった。監督は広瀬奈々子、三島有紀子の助監督をしていたらしいが、何を勉強していたのかと思う。

 

一人の青年が橋の上で何やら思いつめている。カットが変わると、一人の男が橋の下に若者が倒れているのを発見、助け起す。この男は哲郎といって、木工所を営んでいる。助けられた若者は、自分の名をシンイチと名乗る。

 

哲郎はシンイチを家に住まわせ、体調が戻ると、木工所で働かせるようになる。哲郎は以前、息子と妻を事故で亡くしていた。息子の名前はシンイチといったため、助けた若者が他人に思えず、息子の姿を重ね始める。

 

哲郎は、二年前の知り合ったバツイチの娘宏美と結婚を控えていた。シンイチはかつてこの町のファミレスでバイトをしていた時、火事を起こし、店長を死なせた過去があった。シンイチのミスでもないが、その時の後悔を引きずっている。一方の哲郎も、事故の日に息子と言い合いをした過去があり、今だにひきづっていた。

 

物語はこの二人のいつまでも過去にこだわる姿を延々と描き、一進一退で繰り返すので、正直疲れてくるし、やたら長く感じる。無言のシーンのテンポが悪く、もうちょっとタイミングを計って転換していくべきだが、その辺りの感性が良くないので、やたら長いのです。

 

そして、出たり入ったりを繰り返し、哲郎と宏美の木工所での結婚式の日、シンイチは木工所を出て行く。それまでになんども出て行く感じなのに、その度に戻り、とにかく脚本が全くリズムに乗っていないのです。だから長い。ため息ばかりが出てしまう作品でした。

 

「バジュランギおじさんと、小さな迷子」

典型的なインド映画で、素直に感動の涙に包まれるラストシーンの作り方は、オーソドックスとはいえ、泣いてしまいました。監督はカビール・カーン。

 

パキスタンの山深い村で暮らす人々が、テレビでクリケットの試合を見ているシーンから映画が始まる。一人の女性がお腹が大きく、やがて女の子が生まれるが、クリケットの名選手の名をとってシャヒーダーと名付けられる。しかし、この子は口がきけなかった。

 

なんとか治したいと、インドのデリーに連れて行くことにし、母と列車に乗るが、インドに入った後、列車が止まっている間にシャヒーダーは、外にいた子ヤギと遊んでいて列車においていかれる。

 

眠っていて目覚めた母は、慌てるも、すでに列車ははるかに過ぎていた。シャヒーダーは、次に通った貨物列車に乗るが、全く違うところに行ってしまう。そして、そこでシャヒーダーは、その地でパワンという男に出会う。誰についていっていいかわからないままにこの男についていき、パワンは、シャヒーダーをとりあえず婚約者の家に連れて行く。

 

パキスタンから来ているらしいをわかったパワンは、ビザを取ろうとするが、折しも起こったインド人とパキスタン大使館とのトラブルで、ビザがしばらく発行できなくなる。仕方なくパワンは独自に連れ出そうとするが変な男にシャヒーダーが誘拐されそうになるので、密入国すべくシャヒーダーをつれて、パキスタンへ入る。

 

ところがパキスタンでは彼らをインドのスパイとして指名手配を始め、たまたまスクープを狙っていたフリーのジャーナリストと行動を共にし、警察から逃げながら、シャヒーダーの家を探す。

 

物語は彼らの逃避行のロードムービーとなり、前半にこそダンスシーンはありものの、後半には歌ぐらいしか出てこない。

 

そして、幸運を呼ぶという聖廟に行ったシャヒーダー達は、偶然そこに来ていたシャヒーダーの母の映像を撮影したことから、彼女らの村を発見、シャヒーダーを連れて行くが、警察が追ってきたので、パワンが囮になり、無事シャヒーダーは両親の元へ。

 

しかし、パワンは逮捕され、スパイの自白をさせようとするパキスタン側。それをジャーナリストが、ネットを使って世論に呼びかけて、パワンは、大勢の国民に守られ、国境へやってくる。CGではないリアルな大量の群衆シーンはさすがにインド映画です。

 

そして、見送りに来たシャヒーダーは、去って行くパワンに必死で声を出し、とうとう喋れるようになる。パワンはシャヒーダーを抱きしめエンディング。

 

くどいほどの糞真面目なパワンのキャラクターは典型的なインド映画。脇役は、いつもながら適当なキャラクターだが、国際的になってきたかやや抑え気味。少女と真面目なおっさんの組み合わせという得意分野のインド映画という感じで、ただただ、泣かせるように泣かせるように描いて行くが、所々に、様々な宗教観や、身分制度への風刺味絡んでいる。この辺りがもっとわかればさらに面白かったかもしれません。途中からパワンの婚約者の存在が完全になおざりになってしまったのは、もしかしたら相当カットされているのかもしれません。

 

マイル22

非常に面白いストーリー展開なのですが、いかんせんアクションシーンがめまぐるしい上に、主人公シルバの機関銃のように異常なセリフが頭を混乱させ、物語を整理する暇がないほどだったのが本当に惜しい。でもラストのどんでん返しを含め、退屈しない作品でした。監督はピーター・バーグ

 

閑静な住宅街の一軒に、1組のカップルがやってくる。情報では白い家ということだが、青みがかっているのがおかしいと、近づく。裏手ではスナイパーらしいメンバーが構えていて、上空には無人攻撃機が待機している。

 

そして踏み込み、中にいた男達を殺戮していき、ある部屋のSSDなどを押収して脱出。しかし、肝心の危険物質が見つからなかった。主人公ジェームズ・シルバーが報告しているショットを挟みながら物語が進む。

 

危険物質のありかの情報を知るリー・ノアに、危険物質の存在を示す解読のパスワードを聞き出そうとするが、自分を無事アメリカに亡命させれば答えると言われて、シルバ達のチームがインドネシアから飛行機で連れ出す計画を立てる。

 

ところがノアを暗殺しようと武装集団が襲いかかってくる。あとは、シルバと武装集団とのめったやたらの銃撃戦の繰り返しと、次々と支持してくるシルバの司令室マザーとのやりとりの面白さを楽しむことになる。

 

シルバの仲間が次々と殉職していき、最後の最後に、ようやく空港に間に合い、パスワードも聞き出し、脱出用の飛行機にノアを乗せたのだが、実はノアは三重スパイで、飛行機を乗っ取りロシアに亡命して行く。さらに、マザー達も襲われ、全員殺されてしまう。

 

事の顛末をシルバが報告するシーンで映画が終わる。次々とピンチになりながら切り抜けて行くシルバ達の情報戦が見せ場だが、とにかく銃撃戦がめまぐるしい上に、展開が早く、見せ場が物語展開なのかアクションか混乱してしまった。ウェイトをしっかりとって、主と従を整理したら傑作になったかもしれない。でも相当に面白かったことは確かでした。