くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「雪女」「グリーンルーム」

kurawan2017-04-07

「雪女」(杉野希妃監督版)
小泉八雲の小説をもとに、杉野希妃らしい別の解釈で描いた作品ですが、もう一歩面白みに欠けるというか、光る何かが物足りない映画でした。物語は好きなので、それなりにのめり込んで行こうとするのですが、どこかでいつも冷めた視線に呼び戻されて、感情が入り込んでいかない。それが狙いだと言われればそれまでですが、もう少し引き込まれる何かが欲しい作品でした。

雪深い山奥で、山小屋に泊まった巳之吉と茂作。深夜ふと目覚めた巳之吉の前に、茂作の命を奪おうとする雪女を目撃してしまう。そして、命を奪わない代わりに絶対に口外しないことを約束させた雪女は巳之吉の元を去る。

原作通りのオープニングから幕を開けるが、モノクロームと色調を抑えたカラー映像、さらに、民話的な村の描写を交えて描く映像は、確かに一工夫もふた工夫もある。

茂作の一周忌の帰りに巳之吉は美しい娘ユキと出会い、やがて結婚、ウメという娘が生まれる。そして、14年の歳月が流れる。

茂作の遠縁の病弱な幹生の話し相手でもあったウメだが、ある日、山小屋で幹生が凍死、茂作と同じ症状の死体に、幹生の祖父は巳之吉を責め立てる。

思い当たることもある巳之吉はある夜、ユキに若き日に起こった不思議な話をする。しかし、ユキはあの時の約束通り命を奪うことはできないからと巳之吉の元を去る。

基本的な物語の芯は原作を踏襲しているが、所々に挿入される民話的な描写が今ひとつ効果を生んでいないし、映画としての迫力に欠ける。なんだか普通の映画、そんな作品でした。


グリーンルーム
やたら、バイオレンスが話題なので見に行ったが、中盤まで眠気が襲ってきたし、後半もそれほど目を引くような映像でもなかった気がするのです。監督はジェレミー・ソレミオです。

畑の中に突っ込んだバンの中で、この作品の主人公たちであるバンドメンバーが目覚めて映画が始まる。なかなか売れないこのバンドがついに見つけたライブ会場、ひたすらノリだけで歌い始めるが、どこか客の反応がおかしい。

ステージが終わって楽屋に入ってみると、一人の女性が殺されていて、関わりたくないと逃げだそうとした主人公たちはいつの間にか監禁され、何やら不気味な男たちや犬が彼らに襲いかかり始める。

この展開が今ひとつわかりづらく、さらに、パトリック・スチュワート扮する親玉らしき人物の背景の怖さも見えてこないから、なんだなんだと思っているままラストシーンを迎える。

銃弾の数を数えてみたり、凶暴な犬が登場したり、何気ない工夫も見られるが、結局、バイオレンスなショッキングシーンもないし、ドキドキするほどのサスペンスもない。

結局、二人だけ残ってエンディングなのだが、散りばめられる伏線の面白さも今ひとつで、どこが話題なのだろうという映画だった。体調が悪かったとはいえ、もっと楽しめると思っていたのに期待はずれ。