「タレンタイム優しい歌」
マレーシア映画というちょっと変わった作品ですが、実に素朴そのものの映像がとっても好感な一本でした、なんの装飾もなく淡々と、何気ない青春ドラマが展開する様がおもしろい。ヤスミン・アフマド監督の最高傑作と言われる映画ですが、今の時代に見ればあっさりしすぎている気がします。でも良かった。
ある高校の体育館に明かりが入るところから映画が始まる。ここでタレンタイムという音楽コンクールが行われることになる。と言っても、学芸会のようなノリのイベントで7人の出演者を7人が審査するという展開。
いくつかの若者たちのエピソードが展開して、何気ないコミカルな演出が施されているのが個性といえば個性の映画ですが、ほとんどカメラの構図はフルショットで、淡々と出来事を捉えていく。
耳の聞こえない青年と恋に落ちる少女、母が入院して、回復の見込みがないが、ベッドの脇でひたすら回復を祈る若者、若き日に恋が成就しなかったち父親、様々な物語は、劇的な展開はないが、見終わると、何か心に残る。これがドラマなのかもしれない。
やがてタレンタイムが開幕し、さりげなく終わって明かりが落ちてエンディング。これも映画ですね。そんな一本でした。