くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「爆薬に火をつけろ」「第三の死角」「われらの時代」

kurawan2017-08-02

「爆薬に火をつけろ」
たわいのない映画ですが、だからのんびり楽しめる空気が楽しいのがこの手の映画ですね。監督は蔵原惟繕

土建業を営む主人公が工業地帯の埋め立て工事の仕事を請け負い、落札したものの大手の妨害を受ける。敢然と男の世界を前面に出して男気で突っ走るのが本編。さりげない女性キャストも挟みながらシンプルな話が流れていきますが、高度経済成長真っ只中の日本の姿がまざまざと見ることができます。

結局、クライマックスは台風で大損害となり、大手企業が引き継ぐことになるが、新たな現場に向かって旅立ってエンディング。

昨日見た作品もそうですがなぜかラストは台風というのは、ある意味、台風や自然災害に対する恐怖が今以上に人々に根付いていたのもわかる。

小林旭のスター映画ですが、やはり石原裕次郎に比べて存在感は格段に薄いですね。でも、プログラムピクチャー黄金期の空気感満載で楽しむことができました。


「第三の死角」
中心になっている男と女の話が周辺に飾られた会社乗っ取りの話に埋もれてしまって、どっちつかずに終息を迎えてしまったような空気のある映画で、仕上がりがいいのか悪いのかつかみどころがなかった。まぁ、それなりに楽しめたけれど、何処か物足りないところが見え隠れしてました。監督は蔵原惟繕です。

労働争議で解雇反対を訴える労働者のカットから映画が始まり、一代で企業を育てた会長のショットへ。そこに出入りするエリートサラリーマンの姿が物語をまず引っ張っていく。

ここに、この会社を乗っ取ろうと暗躍する人物の手下がいて、会社の極秘情報を手に入れたのち、その書類を持ち出した男を交通事故で殺す。

やがて、会長の娘に近ずいて大量の株式を手に入れようとする男、単純に出世のために恋人と別れて結婚しようと近づく男。それぞれが実は大学の同期だったというからみで、最後は二人が株主総会でぶつかり合うのだが、エリートコースを目指す男は乗っ取り屋に極秘情報を突きつけられ、二進も三進もいかなくなり自殺。一方乗っ取り屋を演じた同期の男も、こんな人生に嫌気がさし、ボスを撃ち殺すものの、自分も撃たれ死んでいく。

なんとも、すっきりしない幕切れを作っているという現実の厳しさと言いたいが、今ひとつ迫って来るものがない。蔵原惟繕監督作品によく見られる、今ひとつが、典型的に出た作品だった気がします。


「われらの時代」
とにかく、出て来る人物出て来る人物誰もがイライラするほど嫌悪感を催して来る。時折どきっとするようなスピーディなカットやカメラワークが見られるのに、台詞の一つ一つがイライラさせて来る。原作のくせか脚本のせいか不明ながら、やたらと苛立ちだけが盛り上がって来る映画でした。監督は蔵原惟繕

オートバイで疾走する若者のシーンから映画が幕を開け、外人の情婦を恋人にして生活する何事にも無関心な主人公と、トラックを買うのが夢の弟、フランスに敵意を持つアラブ人や、朝鮮人だと蔑まれることに反感を持つ男。さらに、色ボケしてると思えるほど品のない女、などなど誰も彼もいきていること自体不要ではないかと思いたくなる登場人物のみ。

物語はそんな彼らの混沌とするようなバラバラの話が繰り返されていく。さりげないセリフにさえ棘がありさりげないエピソードにさえ嫌悪感が生まれて来る。

主人公はフランス行きがかかった論文に入選するのに何故かラストで中途半端に反抗して後悔する。

サスペンスなのかプロパガンダなのかメッセージ映画なのか、蔵原惟繕監督自体も何か芯が一本通せないままに最後まで作ったという感じです。

あのシーンはすごかったなというのも所々にあるのに、イライラ感だけが募った映画でした。