くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「5時から7時までのクレオ」「道」(蔵原惟繕監督版)

kurawan2017-08-28

「5時から7時までのクレオ
なんともセンスのいい映画です。シンプルな物語ですが、一つ一つの映像のカット、そこに至るカメラワーク、リズムセンスと音楽。どれもが才能のなせる技だなとため息が出てしまう。素晴らしい一本、そんな作品でした。監督はアニエス・ヴァルダ

カード占いをしてもらっている主人公のシーンから映画が始まる。この冒頭部分はカラーである。そして過去、現代、未来が説明され、彼女が出て行った後、占いの女性が彼女はガンのようだわと呟く。

物語は主人公のクレオが病院で検査を受け、その結果を聞く7時を待つ間の不安に揺れる時間を様々なさりげない映像を繰り返して描いていく。

ガラスが割れたと不吉に思ったり、みずみずしい裸体モデルをしている友人と会話したり、コミカルなサイレント映画を見てみたり、映像が映像を呼んでいくイメージで、軽いセンスの良い音楽を切り替えながら画面が流れるように展開する。それはあたかもせせらぎの川の流れのようである。

終盤に一人の兵士と知り合い、何気ないデートをし、検査結果を聞くため病院に行くが主治医は留守で、帰り際車に乗った医師が通りかかり、明日からの放射線治療について一言告げて走り去る。クレオと兵士は向かい合い暗転エンディング、このラストの処理も見事。

センスというのですませばそれまでですが、ただ、物語がどうのこうのという以前に映画は映像芸術なのだなと思う。本当に見事な映画でした。


「道」(蔵原惟繕監督版)
非常に適当な話ですが、時代色を考えれば当時としては普通の展開だと思えます。原案もあるのでその焼き直しに無理がかかっているかもしれませんが、何れにせよ映画としては普通の作品という印象でした。監督は蔵原惟繕です。

長距離トラックの運転手をしている主人公は、かつての相棒の営むドライブインで一人の女性と知り合い、いきなり恋に落ちる。そして二人は逢瀬を繰り返して行くが、一方で妻子もある主人公は悩む。

根幹になる物語を中心に、主人公の娘の話やかつての相棒と女の物語、さらに今の相棒のドラマが絡んでくるがどれも今ひとつしっかり描けていない。

結局女は妊娠し、主人公は結婚を決意するが、車の中で女は死んで行ってエンディング。

特に演出の面白さもないし、第一に主人公の仲代達矢が完全なミスキャストで、全然感情移入しなかった。まぁ、この時代ならあり得るストーリーという意味で楽しむ一本だった気がします。