くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「トランスフォーマー 最後の騎士王」「破れかぶれ」「メキ

kurawan2017-08-09

トランスフォーマー 最後の騎士王」
相変わらずクライマックスは抜群に面白い。ほとんどCGゲームの世界になるけれども、絵作りがうまいのだろう。ものすごい奥行きと大きさを感じさせる画面が圧倒的な迫力で締めくくって行くのはこのシリーズの最大の特徴。今回IMAXカメラで撮影された臨場感は半端じゃなかったと思います。残念ながら今回はIMAXで見れなかったけれど。

監督はマイケル・ベイ、製作にスティーブン・スピルバーグが参加しているのは従来通り。やはり楽しめました。

正直、ストーリーの全体像はよくわかっていない。映画は暗黒戦争時代のイングランドに始まり、太古の昔から人類の歴史に関わってきたオートポッドたちの存在をまず描く。そして、魔術師マーリンが持っていた杖を手に入れることで地球を救う、あるいは地球を滅ぼすことになる壮大な物語を現代に至って描いて行く。

地球を死滅させ、自らが生き残ろうと迫って来る異星人たちと敢然と戦うハンブルビーたちだが、前作までにオートポッドは人類の敵とみなされていて、身を隠していた主人公たちに政府機関が迫って来るというスリリングな前半も見せ場にしている。

そして、クライマックスは全人類とオートポッドが一丸となって征服者に立ち向かって行く。ラストは見せ場の連続というか、戦闘シーンの連続ですが、さすがに少々飽きてきたかな。それぞれのロボットたちの個性を見せる戦闘シーンには今さら必要もないし、敵方のボスの存在感が今ひとつ弱いので、なるべくして人類は守られたという流れが見えてしまったのはちょっと残念。

でも、二時間以上あるものの、ほとんど退屈はしなかったからいいとしましょう。


「破れかぶれ」
凝縮された青春群像という感じの映画で、主人公がどんどん落ちて行く様と若さゆえにどうしようもないもどかしさ、そしてそんな男と離れることのできない女のもろさが圧倒的な迫力で迫って来る様が圧巻。確かに小品ですが、その凝縮された映像にのめりこんでしまいました。監督は蔵原惟繕です。

主人公光夫は貧乏バーのマダムと同棲暮らしをしている。何をやっても裏目になり、その度に金を借り、さらに裏目に出て行く姿を描いていますが、どうしようもないこの主人公が痛々しいほどに純粋に見えなくもない。

対する彼と同棲しているマダムもまたどうしようもなくこの男を捨てられない。

兄貴分の金を競馬ですってしまい、さらにその穴埋めにするために工面した金がさらに裏目に出て、最後は大物のヤクザの金にまで手をつけ、マダムのかけた保険金で返せと言われてマダムを車でひき殺そうとするが、結局できない。そんな姿を見たマダムは彼の元を去って行く。

画面奥に消えて行くマダム、カメラは地面すれすれに手前にどんどん引いていってエンディング。もちろん、当時流行ったゴダールの作品などの影響もあるでしょうが、これはこれで独特の熱さを感じさせる作品だったと思います。


「メキシコ無宿」
なんとも適当な一本。これもまたプログラムピクチャー時代の添え物映画という感じでした。監督は蔵原惟繕

主人公は危険な仕事ばかり請け負う奇妙な仕事屋で、一人のメキシコ人がせっかく貯めた金を奪われたので、相棒にして金を作ってやろうとする。しかし、仕事の途中の事故でメキシコ人が死んで、仕方なくその男の代わりにメキシコへ行き、その男の濡れ衣を晴らしてやり、金を渡して農場を買い戻してやろうと頑張る宍戸錠扮する主人公。

なぜか通じない言葉が突然吹き替えになるし、字幕になるし、通うじてないはずなのに、意味がわかってそれでも通訳らしい怪しい日本人が出てきてと展開が適当すぎる。

まぁ最後は行くべきラストにハッピーエンドで宍戸錠は馬に乗って去って行く。ってどうよ。空いた口が塞がらないほどの適当映画で笑いどころ満載でしたが、これもまた映画黄金期の空気感ですね。


「この若さある限り」
石坂洋次郎原作映画ですが、どこか夢のあるロマンス感がなく、妙に汗臭い色気が漂う作品でした。でも、こういう描き方もあるものだと思うと、ある意味特異なラブストーリーだった気もします。しかも、定番の吉永小百合浜田光夫なのですから。監督は蔵原惟繕です。この人のタッチはどこかテンポが早い気がしますね。

高校生の行雄は教師ののぶ子に恋心を抱いているが、隣近所の亮子は行雄のことを好いている。ひたすらストレートに気持ちをぶつけて来る行雄に最初は戸惑うものの次第に気持ちが揺れて来るのぶ子の姿と、そんな行雄にもどかしさを感じる亮子の物語が展開。

しかし、どこか卑猥感が漂うのぶ子の振る舞いが、かえって行雄の行動にも暑苦しさを生んで行く。しかし演出のテンポがリズミカルに進むので妙な淀みがなくラストシーンへ繋がるのはまだ救いであるし、そんな小気味よさはある意味独特の作品に仕上がっている気もします。

一人旅で出かけたのぶ子を追って行雄が行くが、その後の蚊帳の中のシーンもどこか汗臭さが見えるところは石坂洋次郎作品と思えない。のぶ子を演じた吉行和子のキャラクターゆえかもしれません。

吹っ切れた行雄が退院する涼子を訪ねて爽やかに去って行くのですが、全体からはとってつけたようなジーンになって締めくくることになった。しかし、教師と生徒のラブストーリーをこういう描き方もあるのかと思うと、監督の感性もなかなかのものだった気もします。