「アンクル・ドリュー」
映画作品としての出来はどうか知りませんが、楽しい映画でした。監督はチャールズ・ストーン3世。
ストリートバスケのコーチをしているダックスが、自分のチームのスターをライバルに取られるところから物語が始まる。
自腹を切りながらチームを育ててきたが、若い頃のトラウマで選手を断念しているダックスは、落胆したままストリートバスケットの試合を見ていて、突然飛び出した老人に目を引かれる。その老人はいとも簡単に若者をこけにしてしまうアンクル・ドリューというかつての名選手だった。
ダックスはなんとか彼を説き伏せ、彼の条件を飲んで、バスケットの試合に向けて選手を集め始めるが、ドリューの知り合いは誰も彼も今や老人で、動けるのかと思うくらいのよぼよぼじいさんだった。
まぁ、展開は予想がつくし、予想通りに展開して、最後はライバルのチームに勝って優勝。老人たちは若者に夢を与えてエンディング。
わかりやすい物語で肩が凝らないし、予想がつくとはいえ、元NBA選手が老けメイクで出演しているため、試合シーンも迫力あって面白い。軽いタッチの作品ですが楽しめました。
「ガンジスに還る」
いい映画ですが、さすがにこういうインド独特の風習を体で理解していないと入りにくい部分もあり、本当の意味で感動できたのかは正直不安です。ただ、落ち着いた構図、静かながら胸に迫ってくる展開は良い。監督はシュバシシュ・ブティアニという人です。
一人の老人ダヤが誰もいない村をさまよう夢を見るシーンから映画が始まる。目覚めた彼は自分の死期が迫ったと判断し、ガンジス河畔のバラナシに行くと言う。そこで彼に付き添い、息子のラジーヴが行くことになる。
バラナシへついたものの、ダヤがいつ死ぬのかは全くわからないままに日が過ぎていき、仕事を休んだラジーヴにはひっきりなしに携帯で電話が入る。
しんみりしたシーンに携帯の音がなる繰り返しがなんともユーモアがあって楽しいが、一方で、死を目の前にしたダヤが現地の老人たちとどこか楽しそうに過ごす姿も微笑ましい。
しかしダヤは、その死期を悟っており、どこか真摯な振る舞いになりところもあり、若い頃から息子と語り合うこともなかった様子が垣間見られてくる。
着いてすぐダヤは熱病にかかるが快復、ラジーヴの娘は婚約していたが、突然の連絡で中止となったりと若干の波風もあるものの中心の流れは静かである。
そして、ラジーヴはダヤの勧めもあり一旦帰ることにするが、戻ったものの気がかりなラジーヴは再度ダヤの元へ。しかし間も無くしてダヤはこの世を去り、遺体を担ぐラジーヴと家族たちの姿で物語は終わる。
死に対する人間の尊厳、考え、人生が凝縮されたような作品で、しみじみと心に迫るラストシーンですが、果たしてこの映画の良さを本当に理解しているのかはなんともいえません。でも良い作品でした。