くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「人魚の眠る家」「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」

人魚の眠る家

原作を先に読んでいたのですが、映画としては真面目にいい作品に仕上がっていたと思います。長回しのスローなテンポとクライマックスの畳み掛けはうまくまとまっていた感じですが、もうちょっと冒険してもよかったのではないかなという物足りなさはありました。監督は堤幸彦

 

少年たちがボールで遊んでいて、ある家に飛び込む。一人の少年が庭に入って行くと、一人の少女が車椅子に眠ったように座っている。原作と全く同じオープニング。

 

そして、播磨家ののどかな日常が、延々と長回しで室内に入っていくカメラワークで描かれて映画が始まります。主人の播磨和昌はは介護器具の最先端の技術を開発する会社の2代目社長で、娘と息子、妻がいる普通の家庭である。ただ、ふとした浮気から離婚の危機に陥っていた。

 

この日、子供たちは妻薫子の妹親子と母親と一緒にプールに出かけた。和昌は薫子に言われ、娘のお受験の面接練習に駆けつけていた。ところがその練習の最中に和昌に電話が入る。娘の瑞穂がプールで事故にあい、意識が戻らないという。駆けつけた和昌たちに医師が告げたのは、瑞穂は脳死状態だということだった。

 

一時は臓器提供を承諾した薫子と和昌だが、一瞬瑞穂が動いたことから、提供を拒否、自宅で介護するようになる。

 

一方、和昌は、会社の介護でたまたま人工呼吸器をつけずに、電気センサーで横隔膜を動かす技術をしり、高額な費用をかけ、瑞穂に装着、さらに、脳の信号を人工的に作り出すことで人間の筋肉を動かす研究をしている星野を自宅に迎え、瑞穂でその研究を進めるようにする。

 

眠っているだけでなく、機械操作ながらも動けるようになった瑞穂を薫子は献身的に介護し始める。時は流れ季節が過ぎ、弟の小学校入学の時期になる。原作ではこの辺りに、瑞穂を教えに来る教師のエピソードと、その教師の名前を騙って心臓移植の募金活動をする薫子にエピソードが入るが、流石に映像ではこの部分は不可能ゆえ、和昌が募金活動に興味を持つという展開に変わっている。ところが、原作ではこの部分がやや間延びするのですが、ここだけ他の場面とテンポが違う。つまり東野圭吾はここにメッセージを入れたのだと思われる。

 

最初から、疑問を抱き続けた薫子の苦悩として、一本のストーリーに仕上げたのを、映像では和昌を介入させ横道に反らせたため、薫子が異常者に見えてしまった。小説と映画の差ゆえ難しいところですが、もう一工夫欲しかったです。

 

一方、弟の生人は学校で、いじめられないように瑞穂は死んでいるとみんなに話し、誕生日に友達を呼ぶように薫子に言われていたが誘わなかったため、薫子に叱責される。そして、和昌や薫子の妹たちの行動に怒りをぶつけ警察を呼び、瑞穂に包丁を振り上げて、この子を殺すのは殺人か否かと問いかける。ここは流石に東野圭吾の素晴らしい創造が生んだ場面だと思う。

 

薫子の妹美晴の娘若葉が、瑞穂が溺れた原因は私にあると告白、それをきっかけに、その場は一段落し、時が経つ。ある夜、薫子の傍に瑞穂が立ち、「お母さん、ありがとう」という。もちろん幻でその直後容態は急変、瑞穂は死んでしまう。

 

和昌たちは今度は臓器提供に同意、エピローグとして、冒頭の少年が心臓移植で生き延び、瑞穂の家を訪ねるがすでに空き地になっている。そして映画は終わる。

 

原作に忠実な展開で、薫子の中盤のエピソードを除いてほとんどそのまま展開していく。映像として昇華しきれなかった感じの出来栄えでちょっと物足りなかったです。

 

「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」

前作がものすごく面白かったので、かなり期待しましたが、どちらかというと普通のアクション映画という出来栄えでした。脚本は変わってないのですが監督が変わったのが大きかったでしょうか。監督はステファノ・ソッリマ

 

テキサスとメキシコの国境地帯、夜間、大勢の密入国者が走る。それを追うヘリのシーンから映画が始まる。一人の男が集団を離れ自爆して死ぬ。一方、あるスーパーで自爆テロが起こりアメリカ政府は、メキシコからの密入国者が犯人と推理し、国境付近で縄張り争いを擦り麻薬カルテルグループ同士の抗争を作り出そうとする。指揮するのはマット。彼は暗殺者アレハンドロと組んで、麻薬組織のボス、レイエスの娘イザベルを誘拐し、敵対する組織の仕業に見せようとする。

 

しかし、娘をメキシコからアメリカに連れて行く途中、メキシコ側からの攻撃にあう。なんとかアレハンドロ一人でイザベラをアメリカに連れ帰ろうとする。しかし、途中で麻薬組織の人間にバレてしまい捕まる。

 

一方アメリカ政府は自爆テロの犯人がアメリカ市民だと判明、メキシコを敵に回すわけにいかないと、作戦の中止を指示してくる。そして、メキシコ警察などと銃撃戦をしたアレハンドロらを抹殺するようにマットに命令する。

 

ところが、アレハンドロとイザベラは捕まった時に、アレハンドロは殺されてしまう。マットらはなんとかイザベラを救出。命令を無視して証人保護で連れ帰る。ところが、アレハンドロは、致命傷ではなくて助かっていた。

 

一年後、かつてアレハンドロを見破った少年の前にアレハンドロが現れ、暗殺者になるかと問いかけていがが終わる。なんとも言えない、適当さも見え隠れする今回の作品。あの前作のワクワクはどこに行ったのかという映画になってました。