「銃」
なんとも病んでる映画。何を意図してるかわからないモノクロ映像と何を意図してるかわからない主人公の学生設定、などなど、まとまらない映画だった。監督は武正晴。
大学生のトオルは、ある時、殺人現場に遭遇し、拳銃を拾う。雨の降るカットから映画が幕を開ける。時に、独り言のような言葉が行き交いながら交錯する映像が独特で面白いのだが、今ひとつ、何かに向かっていかない。
トオルの友人は女とすることばかり考えている。トオルの前に一人のユウコという女性が現れる。トオルは拳銃を持っていることで、何か自分に変化が起きたような気もするが、その実感が湧くようで湧き切らない。
刑事が訪ねてきて、拳銃所持を疑われるが、適当にはぐらかすと、そのあとラストまで登場せず。公園で猫を拳銃で撃つが、そんな無謀なこといくら学生でも今時やらない。
拳銃を捨て、その帰り、電車の中で居眠りして見た夢は、マナーの悪い乗客を拳銃で撃ち殺す夢?いやどちらが現実?そのシーンのみカラーになって、なるほどそうしたかったのねとは思うものの、こちらに訴えかけてくる何かも面白さも何もない。という映画だった。
「ア・ゴースト・ストーリー」
全編ファンタジー。リアルな物語はなく、すべて心象風景で、音楽に乗せて映像が展開する様は美しいが、さすがにしんどい。映像に美がないからかもしれない。監督はデビッド・ロウリー。
とある夫婦。特になんの変哲もなく、ある夜、室内で物音がするので、侵入者でもあるのかと夫婦は室内を調べるも何もなく、そのままベッドへ。この場面は終盤、物音の原因がゴーストであるというカットがかぶる。
そしてカメラはゆっくりと夫婦の家を捉え回転すると、車の事故のカット。車の中には夫が乗っていて、病院の死体安置室。妻がシーツをかけてそに部屋を出るが、突然シーツを被ったまま、夫が起き上がり病院を出る。
自宅に現れ、妻のその後を見守るゴースト。ふと隣を見ると同じようにシーツを被ったゴーストがいて、話しかけると、誰かを待っているが、誰を待っているかわからないという。
夫の死で失意の妻。やがて支える男性が現れ、嫉妬で思わずほんを落としたりするゴースト。時が流れ、家が取り壊される。時が戻り、二人の過去の夫婦生活がゴーストの前に蘇る。そして、一人になった妻は、がらんとなった家を出ようとする。柱の隙間に何かのメモをはさんであり、それをゴーストが読んだ途端シーツが崩れて夫の霊は旅立ってエンディング。
流麗なカメラと音楽の奏でる詩編のようなファンタジーで、どこか切ない物語ですが、最後まで惹きつけるほどの魅力はなかったように思います。悪い映画ではないのですが、個人的にはしんどかった。