「ムトゥ 踊るマハラジャ」(4Kデジタルリマスター版)
とにかく即興で物語がどんどん付け加えられたダラダラ感をひたすら賑やかなダンスシーンで引っ張っていく典型的なインド映画、おそらくこの映画を見た当時の人はその独特の個性に圧倒され、魅了されたのでしょうね。インド映画ブームのきっかけになった伝説の映画をようやくスクリーンで見ることができました。
大地主ラージャーの使用人で幼い頃から仲の良いムトゥ。この二人が旅役者のランガに一目惚れするところから物語が始まる。
ラージャーの財産を狙う伯父が自分の娘をラージャーの妻にしようと躍起になり、一方、母のシヴァガーミは何かにつけムトゥを擁護する。
ここからあとは、とってつけたようなアクションシーンと、突然踊り出すダンスシーン、ジャッキー・チェンばりのコミカルなシーンがひたすら豪華に展開するので映画がやたらゴージャス。でもストーリーに脈略がないので、物語を追うと退屈になってくる。
聖人なる老人が突然現れ、実は彼こそこの地の大地主で、と、これまでの経緯が大河ドラマのようにフラッシュバックされる。そして正当な後継者がムトゥであることがわかり、ランガを絡めた三角関係も解消、伯父もなぜか改心し、ハッピーエンドで映画が終わる。
よくよく考えると呆れたストーリーだが、全編これでもかと注がれた資金が生み出すエンターテインメントに圧倒される。二度みようとは思わないが、見て損は感じなかった。これも映画の作りようでしょうね。
田中麗奈のファンとして、以前から見たかった一本。正直この映画とっても良かった。さりげなく淡々と進む空気感は市川準監督風なのですが、次第に何かが見え隠れして、終わった後のエピローグで、ものすごく切ない締めくくりをする。田中麗奈がいいし、母親役の樹木希林もいい。見て良かったです。
主人公エリコが、彼氏と別れ話をしているシーンから映画が始まる。ぼんやりと宅急便のバイトをする彼女のカットから、契約ながらも会社に就職して物語は本編へ。
母親は彫刻家か何かの芸術家のようで、父はスペインにいてなぜか短歌を送ってくる。ある時、エリコは友達に誘われ合コンに参加、そこでタムラという男性と知り合う。携帯に番号をもらって欲しいというタムラのメモを手にその日は別れるが、後日、エリコはタムラに電話する。
軽いデートのつもりだったが、タムラはアメリカに一年留学しているマユミという彼女がいるという。エンチという愛称で呼ばれているという。
エリコはタムラに彼女が戻ってくるまでの1年間付き合って欲しいと頼み二人の交際が始まる。
何気ないデートを重ねる二人。やがて体を合わせるようになる。タムラの部屋にはマユミかららしいメールの文章などが貼られていた。
気を使ったタムラは、二人の部屋を借りて毎日を暮らし始める。一方、エリコの先輩がたまたまエリコにCM出演を頼んできて、さりげないシーンに出演。アメリカ出張したタムラを待つエリコはたまらない寂しさとマユミへの嫉妬が沸き起こったりし始める。
ところが次第に、マユミが帰ってくる日が近づくにつれ、エリコはいよいよ辛くなってきて、タムラにマユミと別れて欲しいというが、タムラは返答に困る。
やがて、一年目の応答日のクリスマスがやってくる。エリコは一人、部屋の荷物をかたずけ出て行く。誰もいない部屋に戻ってきたタムラはエリコからの最後の言葉が書かれた手紙と一年前にもらったべっこう飴を見つける。
元の生活に戻ったエリコは、ある日、バスの中で一人の女性を見かける。その女性に懐かしそうに「エンチ!」と話しかける友人らしい女性。どうやらタムラの恋人マユミらしいと気づくエリコ。その女性の会話の中で、マユミは、2年前にアメリカで結婚し、妊娠八ヶ月だと言っている。しかもタムラ君とは長い事会っていないという。
エリコは母と叔母の法事に向かうところで映画が終わる。結局、タムラが言っていたことは嘘だったのだ。なぜ嘘を言ったのか、彼もまたエリコ同様寂しかったのだろう。
じわっと熱くなる感動に浸ってしまう一本でした。いい映画に出会いました。