田中麗奈の大ファンでありながら、いままでDVDでしか見たことがなかった青春映画の秀作をようやく見ることができた。
いやぁ、やっぱりよかった。青春の一瞬なんてこういうものなんだというのが見事に描かれていますね。さりげなくてなんのことはないのにどこか切なくて、どこか揺れ動く心が微妙でどこかすごく熱い。
物語は高校に入学した一人の女子高生悦子が女子ボート部をつくり、毎回どんべでどういようもないけれども、みんな必死になってそれでもふつうの学生生活を過ごしていく姿が描かれる。
カメラはただ淡々と彼女たちをとらえ、抑揚のない物語の中に誰もが経験する淡い恋心やひたむきさを描いていくのです。本当に平凡な日常なのにどんどんストーリーに引き込まれ田中麗奈を中心にした女子高生たちの初々しさに釘付けになってしまう。
スポーツものではあるけれども決してありきたりに盛り上がりて感動のラストなんて用意していません。地区のボート大会で初めてどんべを抜け出して、準決勝を経験、でも決勝では力つきて負けてしまう。でも汗だくの彼女たちの顔がとにかく美しい。浜辺でたたずむ田中麗奈の横で幼なじみが「そういうおまえの頑固さが好きだ」とつぶやいて去っていく。田中麗奈扮する悦子が「ファイト」と独り言をつぶやいてフェードアウト。
ボートのオールが水をかくショットでエンドタイトルが流れ始める。
合宿で部員の一人が言う「17歳は一回だけだね・・」この何気ないせりふが胸にしんみりと染み込んでいく。誰にでもある、誰にでもあった一瞬の時間なのに、いつのまにか心の中に埋もれてしまっている。でも、この映画を見てそんな自分がいたことを思い出す。本当にいい映画ですね。こういう映画は何度見てもすばらしいです。