くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「のんちゃんのり弁」

のんちゃんのり弁

小西真奈美の抜群の演技力に脱帽してしまいました。そして、脚本の組み立ての見事なこと、それぞれの演技陣の単発であるにもかかわらず職人技ともいえる演技、言葉のコラボレーション。
物語全体のテンポの良さ、本当に映画というのはキャスト、スタッフすべての融合の中でできばえが決まるんだと納得しました。本当に楽しい映画でした。

物語は主人公小巻(小西真奈美)はダメ亭主のそばでお弁当を作っているシーンから始まる。のんちゃん(娘)は幼稚園に行くべくやぎさんの歌を歌いながら着替えをするシーンがテンポ良くかぶさります。家を出た二人、小巻はたくさんの荷物、そしてそれを追いかけるダメ亭主、この導入部から引き込まれます。

実家に帰って仕事探しに悪戦苦闘するも目標も目的も見つけらない。そんなシーンの合間に出てくるののり弁のアニメチックなシーンがコミカルで軽妙なリズムを作り出します。小巻の周りには懐かしい幼馴染が懐かしい青春時代と現代をかぶらせながらからんでくる展開も一味あって楽しい。

やがて、そんな展開に大転換。小巻はふとしたことで手伝った戸谷(岸辺一徳)の店で、弟子入りさせてほしいとまくし立てる。この長尺のせりふを一気にまくし立てるシーンは見事に場面の転換へと物語を導きます。このシーン小西真奈美の抜群の演技力が最大限に発揮されます。

そして物語は後半へ。料理に目覚めた小巻は少しずつ自立し始め、周りの人たちとの交流、青春時代の淡い恋へのノスタルジー、夫との関係も微妙に一本になってくるあたりの組み立てがすばらしい。しかも周りを囲む演技陣が端役に至るまでワンカットそれぞれまでピリッと小味が利いている。
やがて、ダメ亭主ののんちゃん誘拐事件から次第にそれぞれの主要人物が自立していく姿を一歩一歩前に進んで成長していくラストがすがすがしい。

良い映画、楽しい映画に出会いました。