くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ゆれる人魚」「欲望の翼」

kurawan2018-03-19

ゆれる人魚
前半三分の一がすこぶる良くて、軽快な音楽に映像が乗って行って良質のミュージカルのように引き込んでくれる。そのあとは独特の感性で描かれるラボホラーという感じで、その独特さがクセになるような映画だった。面白かった。監督はアグニェシュカ・スモチンスカ

映画が始まると浜辺で歌うミュージシャンらしきひとたち。海から顔を出した二人の女性が意味ありげな歌詞で歌い始め、浜辺の女性が叫んでタイトル。

舞台はとあるクラブ。奇妙な匂いにつられて楽屋にやってきたオーナーはそこで2匹の人魚がいることに気がつく。そして、水をかけると魚の下半身になるうことを売り物に、デュエットの歌手として売り出す。人魚の名前はシルバーとゴールデン。

やがてシルバーは一人の男性を好きになる。一方のゴールデンは人魚の性として人間を襲って食してしまう

人に恋した人魚は、その男性が別の女性と結婚したら、泡となって消えてしまう。シルバーは恋人を自分に向けるために下半身の移植手術をし、魚のヒレをなくすが、一方で声をなくしてしまう。しかし、恋人は別の人間の女性と結婚。その結婚式の日、シルバーはその男性に抱きしめられ朝を迎え泡になる。耐えられないゴールデンはその男性を食い殺して海に消えてしまう。

人魚姫の話を今風のホラーに作り変えたという空気感の作品で、後半はかなり煩雑なホラー色が表になってくうるとはいえ、ミュージカルテイストも心地よく、なかなか面白い作品でした。


欲望の翼」(デジタルリマスター版)
ウォン・カーウァイ監督の名を一躍世界に知らしめた青春群像劇の秀作。駆け抜けるような躍動感あふれるストーリー展開と、リズム感あふれるカメラワークで若者たちのひと時の物語を瑞々しく描いて行きます。

主人公ヨディはサッカー場で売り子をしているスーと恋に落ちる。最初はそっけなかったスーだが、毎日のようにやってくるヨディにとうとう恋に落ちる。

しかし、間も無くして別れたヨディは、ナイトクラブのダンサーミミと一夜を共にし、ミミはヨディにすっかり惚れ込んでしまうが、ヨディと同室の友人サブはミミに一目惚れしてしまう。

一方、警官のタイドは、ある夜スーと出会い、つかの間の恋に落ちるが結局成就しない。

ヨディは実の母親を知らず、母と呼ぶ人は次々と男を変え、とうとうフィリピンへ旅立つ。その母を追ってフィリピンに来たヨディはパスポートのトラブルで、人を刺し、その仕返しにピストルで撃たれる。フィリピンで知り合った船乗りがヨディの最後を看取る。

最後の言葉は、一年前の4月16日3時を覚えているかということだったが、それはスーと出会った時間だった。

前半のカメラワークから終盤の大胆な長回しまで、多彩なリズムを映像に生み出した演出も素晴らしいが、次々と若者の姿を交錯させながら描く青春群像劇も無性に切ない。見終わって何処か心に残る一本だった気がします。