くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ちはやふる〜結び〜」「薔薇の葬列」

kurawan2018-03-20

ちはやふる〜結び〜」
最終章という触れ込みなので、前回の「上の句」「下の句」の付け足し程度のものかと思われたが、正直、ものすごく良かった。広瀬すずが牽引しているばかりでなく脇役のキャラクターが個性的に光っているし、散りばめられる小ネタの数々が、シリアスなドラマのスパイスになって最後まで飽きさせない面白さを生み出している。しかもベスト配役という感じで、広瀬すず以下全員が実に生き生きしてるのが今回の作品のクオリティという感じです。監督は小泉徳宏

かるた部が新設された2年が経ち、千早たち瑞沢高校かるた部員は3年の受験シーズンを迎えている。

高校最後の年、全国制覇に向けて千早たちは新入生を迎え、いよいよ最期のチャレンジに向けて行く。

新、太一、千早の幼馴染み三人が決勝戦相見えるというクライマックスに向けて、さりげない恋のドラマを挟みながら瑞々しい展開で進んで行く物語は、とにかく爽やかでいい。

さりげなく小ネタのギャグを取り混ぜた今回の脚本がなかなか秀逸で、決して爆笑にならず、クスッと流す演出もとっても好感。青春映画の佳作という仕上がりだった気がします。


薔薇の葬列
時計じかけのオレンジ」に影響を与えたと言われるカルト作品を見る。まさに、典型的なカルトムービーという空気感が満載で、常識にとらわれない感性で彩られた映像表現がクセになるような一本でした。薔薇の意味は要するに薔薇族ということです。監督は松本俊夫

ゲイバーで働くエディが愛人権田とホテルで抱き合っている濃厚なラブシーンから映画が始まる。二人で車で出て来たが、勤め先のママに見られたと怯えるエディ。このシーンから後の展開が時間軸を交錯させて終盤でも再度繰り返される。

実はエディの母親は彼が少年時代に刺し殺されるのだが、その殺される映像も繰り返され、クライマックスでエディが殺したことがわかる。エディがいつも持ち歩いている写真は、父と母と幼いエディが写っているが、父の顔はタバコで焼かれたように顔が見えない。

物語はドキュメント風にゲイたちのインタビューを挟みながら、エディと権田、さらにバーのママと権田との関係が描かれ、エディに愛人を取られたバーのママは自殺、その後、バーのママとなったエディは権田とのベッドを共にするが、シャワーを浴びているときに、権田がエディが大切にしている写真を見つけ、エディが自分の息子だと知り、権田は自殺。それを見たエディは両目を自らの手で刺す。
そして大通りに出たエディのカットでエンディング。

コマ落としでラブシーンを描いたり、つけまつげをつけたエディの超クローズアップなど、「時計じかけのオレンジ」で流用されたのではと思われるシーンも見られ、この映画にキューブリックが影響を受けたという解説も納得してしまいます。

作品の空気感はカルトムービー的な演出になっていますが、常識に縛られない自由な映画づくりのおもしろさが満載で、なかなかの一本でした。