くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ピンカートンに会いにいく」「十六歳の戦争」

kurawan2018-03-23

「ピンカートンに会いにいく」
いやぁ、楽しい映画でした。ツンデレ女子の女子トークが機関銃のように繰り返され、過去と現代を交錯させながら、いつまで立っても女子は女子という立ち位置を崩さず、ただ突っ走って行く演出が最高。しかも、小ネタも散りばめられた脚本もうまい。監督は坂下雄一郎

アイドルグループ「ピンカートン」が大ブレイク直前のライブ会場に映画が始まる。いよいよこれからと入場を待つファンたち。その中の一人の少年松本が列を抜けて、サインをもらうために出待をする。そこに一人の少女が通りすぎ、メンバーの都合でライブが中止になったアナウンスが流れる。

時が経って、このグループの一人だった優子の元に、成人してレコード会社に入った松本が、再度、「ピンカートン」再結成のためやってくる。実は優子はアイドル引退後も売れない女優をしていたが、事務所から解雇通知をもらう。

物語は、優子と松本がかつてのメンバーを回って今回の企画を説明するのが面白おかしく描かれるのだが、何かに強がりを言ったり屁理屈をこねる優子のキャラクターやかつてのメンバーの今がリアルに描かれながら女子トーク炸裂でかつての時代と被らせて行く展開がなんとも楽しい。そしてなぜ解散になったかの経緯や結成の経緯なども挿入されていく。

最後のメンバーは、かつて優子と喧嘩別れした葵だった。
葵も芸能界への未練から今も売れない仕事をしていた。こうして優子が葵にアプローチし、再結成からライブをする場面がクライマックスとなるが、小気味好い畳み掛けでラストに持っていく下から、女子トーク炸裂でいくつになっても女子は女子という乗りのエンディングがとっても素敵に笑える。掘り出し物の一本でした。


十六歳の戦争
終戦の年、大勢の犠牲者が出た豊川海軍工廠跡地の街を舞台に描かれる青春ストーリーですが、今ひとつ物語が見えない作品でした。当時、大人気だった秋吉久美子作品の中でもレアな一本です。監督は松本俊夫

一人の若者甚がヒッチハイクをしながら豊川の街にやってくる。そこで一人の少女あずなと出会い、彼女の家に泊まることになる。

あずなの父は豊川海軍工廠の跡地で事業を行なっている。母は大空襲の日に一人の男の子を拾ったようで、それが甚であるようだ。そしてあずなの兄でもある甚にあずなは恋をしてしまう。という内容のようだが、やたら、喚くあずなの物語が前面に出て、思春期の不安定な一人の少女の物語にも見えてくる。

豊川海軍工廠の悲劇が物語の根幹なのだが、どこか外れているように見えたままラストを迎える。

甚が旅立ち、その姿を見送るあずなのショットでエンディング。どうも私には捉えようのない作品でした。