「七つの会議」
普通に面白かった。単純明快な企業サスペンス映画として楽しめた一本でした。監督は福澤克雄。
東建の会議室で北川部長が営業部にハッパをかけている場面から映画が始まる。坂戸引き入る営業一課の成績が抜群な一方でノルマ達成できない原島率いる営業二課への厳しい叱責の一方、坂戸を褒めた北川の前でいびきが聞こえる。一課のぐうたら社員で有名な八角が居眠りをしている。あっけにとられる北川だがその場は終わる。
その後、坂戸の八角への当たりが厳しくなり、とうとう坂戸はパワハラで八角に訴えられるが、誰もがエリート社員坂戸が懲罰を受けると思っていなかったのに左遷されてしまう。そして一課の課長に原島が抜擢されるが、途端に成績がダウンする。しかも、八角が勝手にネジの下請け会社を今まで安価に収めていたところからあえて再三の悪い町工場に変えていた。何かがおかしいと思った原島は、寿退社予定で、同じく不審に思っていた女子社員の浜本と調査を始める。
左遷された坂戸は行方不明、さらに会社の闇を見つけたと言う社員もまた左遷され、八角に何かの謎があると突き止めた原島らは八角をとっかかりに彼が関わったものを調べ始める。そして見えてきたのは、坂戸が営業部で成績をあげ始めた頃に変更したネジの下請けベンチャー企業の偽装工作による、強度不足のネジの使用。そしてそれを巧みに八角が元の状態にしたことだった。
実は、2年間、半分の強度のネジを使用して列車や航空機のシートを受注し、それをリコールで回収するべく八角が北川らと組んで工作していたのだ。そして、二ヶ月の調査の末、回収する計画ができた八角は、社長らにリコール発表してもらうよう迫るが、社長は、隠蔽し、闇回収すると決断する。
許せない八角は、出向で副社長としてきていた親会社の村西にリークし、親会社に知らせ、親会社は、御前様と言われるトップを交えた会議を行うこととなる。
しかしその場で、20年前の不正をも明らかにした八角だが、御前様は今回のことは隠蔽する決定をする。どうしようもなくなった八角は同期の北川らと意を決してマスコミを利用、全てを公にして行く。
この終盤のマスコミへのリークから後がかなり雑に処理されているので、ここまでの面白さが半減してしまうのですが、少なくとも前半はなかなか見ごたえのある企業ピカレスクになっていました。
ここまでしっかり描くなら、前後編で、思い切り練りこんだ脚本で見せて欲しかった気がします。でも面白かったです。
「ヴィクトリア女王 最期の秘密」
前半はなかなか興味深い展開で面白かったのですが終盤に、一気にラストを締めくくったのは本当に残念。でも、ジュディ・ディンチの名演技は見ものでした。監督はスティーブン・フリアーズ。
19世紀、ヴィクトリア女王在位50年式典で、インドから記念硬貨を贈呈することになり、アブドゥルらはイギリスにやってくる。しかし、形式ばかりを重んじた儀式に辟易していた女王は、やってきたアブドゥルの視線に、興味を見つける。
そして女王は、アブドゥルを身近に置き、インドの話やイスラム教の話を聞き、先生として待遇するようになる。そして、アブドゥルの妻もイギリスに呼んだり、インド風の宮殿を勝手に作ったりし始める女王に、側近たちは次第に反感と危惧を抱き始める。
そしてアブドゥルに爵位を与えると言う女王の言葉に、とうとう側近たちはそこまでするなら辞職すると言い出す。それに憤慨した女王だが、爵位は取りやめ、名誉勲章を与える。
ここまでが丁寧に綴られるがこの後、女王が倒れ、やがて寝つき、死んでいくクライマックスまでが実にあっさり展開してしまう。もともとアブドゥルの日記を基にした、事実に基づくフィクションなので描きにくい部分もあるのだろうが、せっかくここまで面白かったのにもったいない。
そして女王が崩御すると、途端にアブドゥルらはインドに送り返されてしまい映画は終わる。
物語はなかなか興味深い話だったし一見の価値のある映画でした。