くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」「アナと世界の終わり」「誰もがそれを知っている」

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」

日本の昭和ゴジラシリーズ、モスラシリーズへのオマージュ満載で、とにかく楽しい一本でした。前作より、怪獣バトル戦が全面に出ていたので、全然退屈しないし、懐かしいシーンのあのシーンこのシーンが無理やりながらも再現されているし、なんせオキシジェンデストロイヤーや双子のカットが登場してきたりすると、もうワクワクするほど嬉しくなってしまった。監督はマイケル・ドハティ。

 

ゴジラが姿を消して五年、世界中に冬眠している怪獣を管理するモナークへの非難が集まる中、南極にあったキングギドラが蘇る。そして、時を同じくしてゴジラが出現、取ってつけたようなバトル戦になる。

 

背後にドラマ設定はあるものの、秘密兵器オキシジェンデストロイヤーが突然現れたり、芹沢博士が、身をもって起爆装置を入れるために水中に潜ったり、さらには、怪獣伝説の写真の中に双子を思わせるカットが入っていたり、ゴジラ登場の場面は水面が光ったり、キングギドラの別名がモンスターゼロだったりと、歴代のゴジラシリーズを知る者にはニンマリシーンがいっぱいだった。エンドクレジットではモスラのテーマまで流れてきた。

 

バトルシーンは全編CGではあるが、なかなかの迫力で見せてくれるし、着ぐるみでないキングギドラゴジラに違和感を持っていた私でさえも見入ってしまう動きをしていた。

 

ラドンモスラの登場も嬉しいし、なんといっても定番のモスラが犠牲になる下りもニンマリ。とにかくオマージュだらけながらも本当に楽しかった。まあ、このシリーズはこれでいいと思う。

 

「アナと世界の終わり」

期待のゾンビミュージカル。どのミュージカルナンバーを取ってもテンポよくていい曲なので、それだけでも楽しい。もう少し展開がハイテンポでもいいような気がしますが、オーソドックスなゾンビ映画のストーリー展開に挿入される楽しい歌の数々は、ちょっとクセになる魅力があります。監督はジョン・マクフェール。

 

主人公アナの家族が父の車でドライブしているシーンから映画は幕を開ける。ニュースで何やら謎のウィルスが広がり始めたという声、典型的なゾンビ映画のオープニングの常道。

 

アナは、大学に行く前に一年かそこらオーストラリアへ旅行したいと考えていると父に言い、父は仰天、大喧嘩になる。その日もハイスクールに行ったアナはいつもの調子で1日を終える。

 

翌日、寝過ごして慌てて学校へ向かうアナ。陽気な曲に乗って歌いながらのミュージカルシーンの背後で、ゾンビがうろついている。この絵作りがまず面白い。途中で友達ジョンと会い、一緒に向かうが、突然雪だるまが襲ってくる。見ると顔は血だらけのゾンビで、なにか起こっていることに気がつく。

 

アナとジョンはとりあえずバイト先を目指す。そこで友達と合流し、学校を目指す。時はクリスマスイブ。先日からのクリスマスパーティの準備でみんな集まっているからだ。

 

ところが、町中ゾンビだらけで、アナたちはゾンビと戦いながら高校へたどり着くが、そこもゾンビがいっぱいで、親しい友達と合流するも一人また一人とゾンビの犠牲になって行く。そして最後の最後、捕まっていた父親を救出したがすでに父もゾンビに噛まれていて、アナに別れを告げる。そしてアナはボーイフレンドのニックらと車で街を脱出して映画は終わる。

 

とにかく、どの曲もとってもいいし、歌声も透き通るようで、まさに青春映画の様相。ゾンビとの戦いの間の所々に挿入されるさりげない友情や恋、成長が描かれる脚本が清々しい。不思議な魅力に富んだ一本でした。

 

「誰もがそれを知っている」

誘拐事件のサスペンスというより、家族の真実が明るみになって行くサスペンスという意味では抜きん出た仕上がりの作品でした。少々難解に見えるのは、キャストの顔立ちが似てることによる混乱でしょうか。とはいえ、組み立ての見事さはなかなかのものです。監督はアスガー・ファルハディ。

 

ラウラが妹アナの結婚式に戻ってくるところから映画は始まる。ラウラの夫のアレハンドロは、今は無職でついて来ていない。ラウラは娘のイレーネらとやって来たのだ。

 

村では友人のパコらとも再会し、微笑ましい中結婚式が行われる。ところがそのアフターパーティの後、イレーネがいなくなる。そして誘拐したという連絡と多額の身代金要求のメールがラウラに届く。

 

警察に告げず、自分たちで解決しようと奔走するが、農園を営むパコは、農園を売って身代金を作ると言い出す。村ではパコとラウラは若い頃付き合っていたのが公然の秘密になっていた。そしてイレーネはこの二人の子供ではないかという噂まであった。

 

ラウラの夫のアレハンドロもやってくるが、間も無くして、イレーネがパコとラウラの娘だと言われる。そして、次第にラウラの周辺もパコの家族の関係もギクシャクし始める。

 

そんな中、犯人が、このままでは家族が崩壊するからイレーネを解放するように頼みに行く。なんと犯人は   ラウラの姉マリアナの娘ロシオとその夫らだった。

 

そして、夜中に連絡が入ったパコは金を持って出かけて行き、無事イレーネを取り戻して戻る。マリアナは、たまたまロシオがイレーネ解放に頼みに行った夜に、汚れた靴を見て疑っていた。

 

イレーネとラウラらは帰って行く。パコが家に戻ると妻はいない。マリアナは夫のフェルナンドを呼び止め何か話し始めて映画は終わる。

 

ここまで作りこんでるのですが、ロシオらが犯行をする動機の描写はほとんどない。意図的なのか、脚本の穴なのかはわかりませんが、サスペンスという単純な言葉で言い表せない重さがある。なかなかの仕上がりに、さすがに圧倒される一本でした。