くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ドリームホーム 99%を操る男たち」「ゾンビスクール!」

kurawan2016-02-23

「ドリームホーム 99%を操る男たち」
オープニングからテンポの良い映像と展開で一気に本編に引きずり込まれるサスペンス映画の秀作。マイケル・シャノンのふてぶてしい顔立ちが物語をキリっと引き締めています。監督はラミン・バーラミ。

不動産会社を営むリックは、ローン延滞で裁判所から立ち退き命令を受けた家に警官とともに踏み込み場面から映画が始まる。リックの顔のアップからカメラはほぼワンシーンワンカットで踏み込む様子を追いかけ、一気にストーリーに引き込みます。

ここに、建築現場で仕事をするナッシュの姿。しかし工事は中止になり、カネももらえないことになる。たちまち困るナッシュ。息子と母親と暮らすシングルファーザーの彼は裁判所へ申し出るが、即決に近い形で却下、間も無く、リックらが立ち退きのために踏み込んできて、家財をその場で放り出す形で追い出される。

とりあえずモーテルに移り、ナッシュは、リックの会社に文句を言いに行くが、物件を汚物で汚された家に向かうリックに引き入れられ、そのままリックの会社の仕事をするようになる。

ここから、ナッシュが持ち前の才覚で次々とリックの仕事をこなし、手際よく処理していく場面が短いカットの繰り返しで描かれる。このスピード感のある中盤も見事である。

リックの信望を得たナッシュは、リックが次に目指す巨大プロジェクトの担当の右腕としてリックの相棒的な存在となっていく。しかし、一方で、どこか不正の匂いのする仕事に、ともすると怯える気持ちが芽生えるナッシュ。その姿が、ナッシュを演じるアンドリュー・ガーフィールドの風貌そのままでリアルに画面を覆う。

自分たちを追い出したリックのところで働いているのを息子たちに隠していたが、ナッシュが追い出した顧客の家族が同じモーテルにやってきて、ばれてしまう。しかし、今更後に引けない上に、リックの考え方にある意味納得していたナッシュは、母と息子に罵声を浴びせても仕事を続ける。そんな時、リックの大口契約の過程で、一つの書類に不備が見つかり、その不備を埋めるために偽造文書を作成、それをナッシュに裁判所へ届けさせる。その書類のために、立ち退き中止の決定に近づいていた家族が立ちのくことになる。

その家族の夫は銃を持って立てこもり、発砲事件になる。その場にやってきたリックとナッシュだが、ナッシュは、良心の呵責から、とうとう真相を叫び男を投降させるのだ。

不正が露わになり、リックとナッシュは事情徴収へ呼ばれることになり暗転エンディング。しかし、おそらくリックは逃れるのだろうという予感もある。

全体に、いかにもリックたちが悪者で、立ち退かされる家族が被害者のごとく描かれ、そう描くからサスペンスとして成り立つのだが、結局は、返済をしないで平気で住んでいる家族が悪であるという本来の姿は全く言及しない。。まぁ、この手の映画では弱者が正義として描くのが常道だが、それは別にして、映画としての面白さを満喫できる一本でした。なかなかの傑作です。


「ゾンビスクール!」
典型的なB級スプラッターホラーですが、脚本にリー・ワネルが参加していることもあって、全体になかなか面白い吹っ切れた作品になってました。特にクライマックスからラストシーンのサイケデリックな処理と、いかにもゾンビ映画の結末はこうでしょうというようなおきまりのエンディングはニンマリしてしまった。監督はジョナサン・ミロカリー・マーニオンという人です。

映画は一人の男が鶏小屋に入っていき、一話の鶏を絞め殺し、ナゲット製造機に放り込むところから始まる。結構、この場面はリアルでグロい。

主人公クリントはニューヨークから臨時教師で地元の小学校にやってくる。ところが、赴任した日、ひとりの生徒がナゲットを食べてゾンビになり襲い始める。余計な説明を無視していきなり本編へ。校庭で次々と子供に感染し、子供たちは教師を襲い始める。異変に気付いた残った教師が校舎に立てこもり、ゾンビになった生徒とのバトルが始まる。例によって、スプラッターなシーンも抑えているとはいえ、次々と登場。迎えに来た親たちも食べられ、教師たちは脱出する方法を考える。

展開はありきたりで、バッティングマシンやホッケーの道具でなぎ倒しながら、ゾンビ小学生を倒し、車で脱出、隣町へ行くが、すでに世界中が汚染されているテレビ映像を見て、教師たちは子供が嫌う場所へと車で去ってエンディング。

何にのことはないが、クライマックスの、ミラーボールのある屋内遊園地の場面のサイケデリックな色付けや、エピローグで、日本人らしい用務員の独り言、クリントの部屋にあるゴジラのフィギアなど、楽しい場面も散りばめられていた。これはこれで十分な一本なので楽しめました。