くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「田園の守り人たち」「こはく」「いつかギラギラする日」

「田園の守り人たち」

非常にクオリティの高い映画なのですが、いかんせん地味です。第一次大戦期のフランスの片田舎の農場が舞台というので、話が派手にならないのですが、映像がとにかく美しい。静かながら、戦地に男たちを送り出し、残された女たちの必死の姿が切々と伝わってきます。監督はグザブエ・ボーボア。

 

戦場のワンカットから農場で一人鋤をすいている年老いた女性オルタンスのカットに移る。横長の画面に広がる農場のカットがまず美しい。

 

家の男たちが戦地に取られ、女だけで農地を守っているが、限界があり、フランシーヌという一人の女を雇う。どんなこともこなす彼女の姿にオルタンスも信頼を置いていく。

 

そんな時、一時帰郷で戦地にいた次男のジョルジュが帰ってくる。やがてフランシーヌとジョルジュは親しくなり、やがて体を合わせるまでになる。しかし、素性のわからないフランシーヌとジョルジュの仲を離すべく、オルタンスは、ジョルジュが戦地に再びいく日に、アメリカ兵との疑われるような場面を設定して、ジョルジュとの仲を裂く。

 

突然解雇されたフランシーヌは、とにかく炭焼きをしている女のところに再就職するが、間も無くして妊娠していることに気がつく。父親はジョルジュとわかっていたので、戦地に手紙を送るも返ってくるばかり。オルタンスを通じて知らせてほしいと送っても、オルタンスはフランシーヌからの手紙を焼いてしまう。

 

やがて、戦争も終わる。フランシーヌは出産し、洗礼を受ける。その帰り、オルタンスはフランシーヌを見かける。立派な馬車に乗ったフランシーヌの姿を見てショックを受けるオルタンス。

 

間も無くして戦地からジョルジュが帰ってくるが、長男のコンスタンが死に、農場のこれからを考える中で家族同士にささやかな諍いさえ生まれてくる。

 

カットが変わると、クラブで歌っているフランシーヌ。そこへジョルジュがやってくる。フランシーヌのアップで映画は終わる。

 

戦争という歴史の流れの中で、男たちは戦地へ行き、女たちは田畑を守る。そこで生まれた運命のいたずらのような一瞬を見事な映像で描いた作品で、確かに地味ですが必見の値打ちのある映画でした。

 

「こはく」

なんとも脚本の良くない安っぽいだらけた映画だった。もうちょっと見れるかと思っていたが、どのシーンも適当な上に、カットばかりが目立つ演出に参りました。章一を演じたアキラ100パーセントが最低の演技に参った。監督は横尾初喜

 

ガラス工房を父から引き継いだ主人公亮太のカットから映画が始まる。母と暮らす無職の兄章一から、子供の頃出て行った父を見かけた亜粗探しに行こうと誘われ、二人は父を見かけた辺りを聞いて回ったり、関係があったらしい女性を探したりするも見つからず、間も無くして母が亡くなる。

 

その通夜の席に、父をよく知るかつての事務員が来ていたことから、父の住まいがわかり二人で会いに行って映画は終わる。

 

で、章一のキャラクターが実に適当で、はっきりしないので、何を語りたいのかわからない映画に仕上がった感じです。だらだらと暗転を繰り返す脚本がとにかく安っぽい。どうにもなりませんでした。

 

いつかギラギラする日

これは面白い!痛快というか豪快というか、これがアクション映画やと大阪弁で叫んでしまいたくなるような映画でした。映像で見せるというのはこういうのをいうのですね。最高でした。監督は深作欣二

 

とにかく、めんどくさい物語や人間ドラマなんて吹っ飛ばして、いきなり銀行強盗シーンの連続から、いかにも胡散臭い仕事に首を突っ込み、裏切りから銃撃戦、カーチェイスと続いたら後はもう突っ走っていきます。そして痛快なアクションシーンがこれでもかと展開していきます。

 

神崎らおっさんら三人の銀行強盗シーンから角町と麻衣に裏切られ、仲間を殺された神崎が二人を執拗に追い詰めていく。そこにサラ金ヤクザが追いかけて、警察も参戦してのカーチェイスに銃撃戦。

 

角町と麻衣は死に、神崎と愛人の美里がバスに乗っていると銀行の看板が目について、また始めるかのような余韻でエンディング。もう最高やね。めちゃくちゃ面白かった。