「化石の森」
どこを取っても力が入りすぎた感じの作品で、何をどう描きたいのかポイントが全体にぼやけた感じです。原作があるので、根本的な話は変えられないのでしょうが、脚本段階で思い切った改編があったほうがよかったと思います。監督は篠田正浩。
医局に勤める治夫が、学生時代のクラスメート英子と出会うところから物語が始まる。英子の勤め先の社長が酷い男ということで、治夫の研究室で開発中の毒薬を使って殺すことにする。
一方、治夫と同居を望む母多津子が執拗に治夫に近づいてくる。そこに医局で患者をもののように扱う教授の行為に反感を持つ治夫は、教授が執刀した子供のことを世話するようになり、子供の母親とも懇ろになってくる。
そんな様々な事件が絡みながらどの部分も力の入った演出と演技力のある役者の演技でグイグイと迫ってくるので、結局どれもが共倒れになった。
治夫の存在だけが素朴な映画的で、後は芝居がかったインパクトの強い展開が繰り返され、結局ラスト、多津子は願いをかなえて治夫と同居となるし、英子は殺されるしと終わる。
なんとも言えない作品で、これ以上感想にならない感じです。