くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「千年医師物語〜ペルシャの彼方へ〜」

kurawan2016-01-22

時間つぶしに見に行ったのですが、これが意外と面白かった。2時間以上ある作品なのに、ストーリー展開がスピーディなので、飽きないのです。監督はフィリップ・シュテルツェルです。

物語は「千年医師物語」というベストセラーを原作にして、その第一部が映画になったものらしい。

11世紀イングランド、ローマ時代の医療の発展は、すべて白紙になった時代で、人々は、宗教に頼ったり、理髪師と呼ばれる怪しい人々にその病の治癒を頼っている。一人の理髪師が道で口上を述べているシーン、それを熱心に聞く主人公の少年ロブの場面から映画が始まる。

この理髪師、適当なことを言っているようだが、その施術はなかなかのものである。ロブの母は脇腹に痛みを覚え、そのまま死んでしまう。解説では、虫垂炎ということである。母を亡くし、兄弟は散り散りにもらわれていき、長男のロブは引き取り手がなく、仕方なく、理髪師について旅を始める。

やがて成長し、それなりの施術を施せるようになったが、理髪師は目が不自由になる。たまたま、理髪師の目を手術で治した男に、異国ペルシャイスファハンという町にいるイブン・シーナという男が、神のような医術で人々を治し、自ら教えていると聞き、彼に会い、医術を学ぶべく旅立つ。

苦難の末、たどり着いたイスファハンで、イブン・シーナと出会い、みるみる知識を蓄え、経験を重ねるロブ。王と宗教との対立、異国からの攻撃などスペクタクルな展開も繰り返され、エンターテインメント性も十分にストーリーが展開するし、前半のイングランドの景色も含め、映像も美しい。

ところが知識への探究心から、宗教的にも禁じられている解剖に手を出してしまうロブ。それが明るみになる一方、教会の策略で、隣国の軍隊が王国に攻めてくることになり、物語はクライマックスへ。やがて、イブン・シーナの学校は焼かれ、王の計らいで脱出したロブはイスファハンまでの道のりで出会った女性と結婚、ロンドンに戻り、医術を広める。そして、たまたまロンドンに立ち寄った理髪師が、彼が戻ったことを知り、再会に向かうシーンでエンディング。

イスファハンでのエピソードも、黒死病の流行から、その解決策を見出すくだりや、友人の死、恋人との再会と恋、王を手術で救う場面など、様々なエピソードが途切れなく描かれるので、本当に退屈しないし、適度なバランスでテンポ良くストーリーが運ばれるので、駄作というものでもない。

傑作といえるほどの完成度はともかくとしても、最後まで画面から目を離せないほど楽しむことができた。ある意味掘り出し物の一本だった気がします。もし第二部が作られるなら見たいです。