くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「カイジ ファイナルゲーム」「パラサイト 半地下の家族」「フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて」

カイジ ファイナルゲーム」

よくもまあ、こんな薄っぺらい物語を仰々しく作ったものだと思う。脇役の選定が甘いためにストーリーに膨らみが全然出てこないし、根本的に脚本がひどい。監督は佐藤東弥

 

今更ながら、貧乏暮らしをしているカイジが、とある大金持ちから、間も無く政府が究極の政策としての預金封鎖をするのを解除させるべき作戦に参加するように要請される。

 

あとは、ギャンブルゲームで丁々発止のサスペンスが展開しないといけないのだが、物語のメインである、人間天秤がなんともしょぼい上につまらない。しかも、なんのドキドキもないままに、カイジが勝つものの、その後の展開も実につまらない。才能のない人が書いたストーリーという出来の悪さがどんどん増長されていくので、見て入れイライラしてくる。

 

最後のどんでん返しもあまりにありきたりで、子どもじみているし、どうしようもない大作だった。

 

「パラサイト 半地下の家族」

非常に面白いお話なのですが、後半少し失速気味になったのと、もう一捻りラストに欲しかった気がします。前半の、ミステリアスでブラックユーモア的なものが、終盤にストレートなホラーになってしまったので、エピローグのユーモアが生きてこなかったのは残念ですが、それでも、カンヌ映画祭パルムドールというのも頷ける佳作だったと思います。監督はポン・ジュノ

 

半地下の部屋で貧乏暮らしをするキムの家族は、この日も不正アクセスWIFIを探しながらふてぶてしく生きている。そんな時、息子ギウの友人ミニョクが石の置物を携えてやってきて、留学するから、今教えているIT企業社長パクの娘ダヘの家庭教師になってほしいと言ってくる。ギウは、偽装の大学卒業証明でパクの家庭に入り込み家庭教師となる。さらに、息子のダソンの家庭教師に妹のギジョンを紹介し、運転手や家政婦を巧みに追い出して、父ギテク、母チョンスもパクの家庭に就職させる。ここまではとにかく面白い。

 

そんなある時、パクの家族は自分達だけでキャンプに出かけた。キムたちは誰もいない家で好き放題に飲食していたが、そこへ追い出したはずの家政婦がやってくる。地下に忘れ物をしたというのでついて行ってみると、家の地下に大きな部屋があり、そこに家政婦の夫が住んでいたのだ。家政婦はキムたちが家族でこの家を食い物にしているのを知り動画を撮って脅す。

 

ところが、突然パクたちが帰ってきたため、キムたちは家政婦の夫婦を地下に閉じ込め、自分たちはなんとか脱出。しかし、激しい雨が降り始める。キムの半地下の家も埋没し、避難所暮らしに。ギウは、ミニョクにもらった石で地下の家政婦夫婦を殺そうとするが返り討ちにされてしまう。

 

一方、パクの妻の提案で、ダソンのサプライズパーティをする計画を手伝うように言われる。地下に閉じ込めた家政婦たちだが、家政婦は階段から突き落とされ瀕死の状態だった。

 

やがてパーティの日、地下にいた家政婦の夫が、ロープをほどき、地上へ出る機会を探っていた。そしてたまたま開けたタイミングで地上に出てくる。サプライズの道化でパク社長とギテクが庭に控える。ギジョンが家政婦の夫に刺され、パクの妻が刺される。兼ねてから自分を見下げているとおもっていたギテクがパク社長を刺し殺す。

 

エピローグ、ギジョンは死んでしまうが、ギウとチョンスは正当防衛とされる。やがて、家は売られるが、ギウはいつも家を見にきていた。ギテクが行方不明なのだ。そして、家の明かりのモールス信号を見つける。それは兼ねて家政婦の夫が住んでいた時から、モールス信号に使っていたものだった。ギテクは一人地下に暮らしていた。こうして映画は終わる。

 

ちょっと物語のエピソードが前後したかもしれないがこういうお話だった。確かに面白い。ここまで描ききれば見事だと思うのですが、ギテクが時々感じるパクたち上流階級の人々からの目線などメッセージ性も忍ばされている点では、終盤にもう一工夫欲しかった気がします。でも、なかなかの映画でした。

 

「フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて」

イギリスの漁師バンドの実話を基にした作品なので、いいお話なのですが脚本が良くなくて、どうにも乗り切れない出来栄えになっていたのは残念です。監督はクリス・フォギン。

 

ロンドンの音楽事務所のメンバーがポート・アイザックという田舎の漁師町にバカンスでやってくる。そこで漁師たちが慰みに歌っていた歌を冗談半分に売り出そうというのをマネージャーのダニーが本気にして契約を進めてしまう。

 

しかし、ダニーの上司にその気がない。しかし、漁師たちとの触れ合いの中で裏切ることができないと思い、自ら彼らを売り出すことに奔走していく。

 

成功談の話なので、漁師バンド、フィッシャーマンズ・フレンズは、音楽ファンに受け入れられ、大ヒットして映画は終わる。ありきたりの現地の女性とダニーとの恋なども埋め込まれているのですが、全体にエピソードの組み立てが実に悪いので、一本の線にまとまっていない。まあ、実話を知ったというレベルの鑑賞でよかったかなという感じです。