「幸福の設計」
とにかくテンポが抜群にいいし、それほど長くないのに凝縮されたストーリーの組み立てで、最初から最後までとにかく楽しめる。ゴーモン映画社特集、監督はジャック・ベッケル。
製本会社に勤めるアントワーヌと写真館に勤めるアントワネットは夫婦である。生活は貧しく、アントワーヌはサイドカー付きのバイクを買うにのが夢。夢の実現に向けて宝くじを買ったアントワネットだが、今回もハズレで、ハズレ券を宝くじ屋のおばさんにあげる。おばさんはいつもアントワネットから本を借りていて、ハズレ券をその本に挟む。
この日も、仕事を終えたアントワーヌはアントワネットの元に帰ってくる。アントワネットは、また宝くじを買ったがどうせハズレだからと食事作りに勤しんでいる。アントワーヌは暇つぶしにその宝くじを新聞の当選番号と照らし合わせて驚く。なんと、80万フランの当選くじだった。二人はそのお金でどうしようという夢を描きベッドに入る。
夜中に目覚めたアントワーヌは、机の上に置いたクジが気になり、棚の本に挟んでおく。なんとその本は宝くじ屋のおばさんからアントワネットが返してもらった本だった。
翌朝、アントワーヌは、挟んでおいたクジを財布に入れて換金所へむかう。駅で乗車券を買うときにもたつき、思わず財布を置き忘れたまま換金所に行ってしまう。慌てて駅に戻るも財布はない。実は財布は通りかかった一人の男が拾っていた。
アントワーヌ夫婦の向かいには、アントワネットに想いを寄せるおっさんのロマンがいて、何かにつけアントワネットに言い寄ってくる。また、アントワーヌが行きつけのバーのマスターの娘が近々結婚の予定になっている。
せっかくの当たりくじをなくしたショックで家に帰れず困っているアントワーヌは、いきつけのバーへ。そこでは娘の結婚式が奥で行われている。一方夫がこないので心配なアントワネットはバーで落ち込んでいるアントワーヌに出会う。ところが、結婚式でバーのマスターの娘の夫となる男は、実は、生真面目で駅で財布を拾った男だった。そして、財布の名前からたまたまバーにいたアントワーヌが持ち主だと知り、財布を返すが、中のくじはハズレ券だった。
家に先に帰ったアントワネットのところにロマンが押しかけてきて迫ってくる。そこへ、アントワーヌが帰ってきて大げんかの末にロマンを階段から突き落とす。殴り合いの中で気を失ったアントワーヌが、次第に意識が戻り始め、本の中に当たりくじがあることに気がつく。そこへ、本を借りていた女が本を返しに来る。開いてみれば当たりくじが入っていた。
サイドカーにアントワネットを乗せたアントワーヌが颯爽と走って行って映画は終わる。とにかく展開のテンポの良さ、脇役を含めたキャラクターの面白さ、ストーリー展開の妙味を楽しめる一本で、階段や筋向いの店など空間の配置も見事でわかりやすい。名編と言える一本でした。
「ルパン三世THE FIRST」
山崎貴監督作品なのでと見に行ったが、なんとも間延びした展開には参った。セリフの掛け合いにほんのわずかな間延びが繰り返されるためにだらけてしまった。ルパン三世のテイストはしっかり守られていると思うが、明らかに脚本と演出の弱さという仕上がりでした。
第二次大戦中、ブレッソンダイアリーという日記が厳重な格納ケースに入れられるところから映画は始まる。この日記帳には人類を支配できるお宝の説明がなされているという。ルパン三世の祖父も盗み損ねた品物で、物語は戦後へ。
ブレッソンダイアリーが格納されたケースが展示されている舞台へ。ルパンがまんまと盗むが二転三転されていく。あとはいつものルパンストーリーで、このお宝を手にしてナチス再興を目論むランベールら悪人が登場。ブレッソン博士の孫娘レティシアというヒロインも登場。
そして、手に入れたブレッソンダイアリーを開くとそこには最終兵器、ミニブラックホールを作り出す装置があり、それで世界征服せんとする。そしてすったもんだの末、装置は破壊され、例によってレティシアの元を去っていくルパン三世たちのショットでエンディング。まあ、目新しさも何もないし、テンポが悪いのでだらけるし、ストーリーに面白さもないので、ありきたりすぎていただけない。面白くなるところが3DCGアニメになったためのもたつき感が出た感じでした。