くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「グッドライアー 偽りのゲーム」「プロジェクト・グーテンベルク 贋札王」

「グッドライアー  偽りのゲーム」

詐欺師のイアン・マッケランが、そのターゲットである富豪の未亡人ヘレン・ミレンに逆に騙される展開なのだろうと最初から分かるのですが、あまりにもその背景が複雑すぎて、しかも第二次大戦末期のドイツの話となれば、ややくどすぎる。しかも謎解きが終盤延々と説明される下りは、明らかに物語構成のバランスの悪さという感じです。面白いを通り越してしまいましたね。監督はビル・コンドン

 

富豪の未亡人ベティ、そして老人ロイがネットで出会い系サイトを検索しているところから映画は始まる。そして二人は出会い、意気投合する。ベティにはいつも孫のスティーブンがくっついてくる。一方ロイは、ベティと会う傍ヴィンセントという相棒らしき人物と投資詐欺を行なっている。ロイは詐欺師なのだ。しかも、自分が危うくなると非常なやり方で相手に暴力を与える冷たさを持っている。

 

やがて、ロイはベティにも投資詐欺を持ちかけ、まんまとハマりかけるが、何かにつけスティーブンが絡んでくる上に、ドイツでロイの本当の姿なども暴いたりする。この展開もしつこい。

 

まんまとロイを信用したかのベティは有り金全部を投資詐欺の口座へ。一方、その過程でロイも有り金全てをその口座に送る。そして、逃げるべく出て行くが、銀行用のタブレットを忘れてくる。いや、それはベティが抜き取っていたのだ。戻ってきたロイは、ベティの家がもぬけの殻でベティ一人いるのを発見。そして、ベティは全てを話し始める。ここからがくどい。

 

第二次大戦末期、英語をロイ本名ハンスに教えてもらっていたベティ、本名リリーは、ある時レイプされ、ハンスはそれを咎められたリリーの父を反逆者で密告者、リリーに家族の幸福を奪ったのだ。その恨みで計画した事だと告げる。これもどうかと思うが。

 

で、ロイはかつて騙した男たちにリンチにされ廃人のようになり入院。ヴィンセントが見舞いに来る。一方、ベティは孫たちに囲まれパーティを開いていた。こうして映画は終わる。

 

凝りすぎ。ただその一言に尽きる映画でした。原作があるので、仕方ないのですが、映画にする段階でちょっと整理すべきでしたね。

 

プロジェクト・グーテンベルク贋札王」

香港映画らしい展開でグイグイとストーリーを引っ張って行く上に二転三転のどんでん返しで、何が何だかわからなくなるところを結び目が解けるように鮮やかに締めくくるのはさすがに楽しい。チョウ・ユンファ、犯人と違うんかいというエンディングにあっけにとられてしまった。監督はフェリックス・チョン

 

刑務所にいるレイの姿から映画は始まる。ユンという女が彼を保釈させようとやってくる。レイは贋札の元締めで画家と呼ばれる男の元で働いていたという事で、警察は本当の姿さえわからない画家を捕まえるため情報を引き出すことと引き換えにする。やがて、レイは10年前、画家と知り合うきっかけの話から語り始める。

 

売れない画家のレイはユンという女流画家と親しくしていた。そんな時、レイは絵の贋作に手を染め、一方ユンは才能を認められて、レイの元を去って行く。そんなレイに近づいてきたのは三代にわたってドルの偽札造りをしてきた画家と呼ばれるン・フクサンという男だった。彼は、印刷や、紙、インク、原盤描きなどその道の天才を集めて、完璧な偽札造りをしようとしていた。

 

レイは金のためもあり、また金があればユンを取り戻せると考え画家の下で働き始める。しかし、画家は仕事のためには殺人も厭わず、その強引さにはレイは疑問を抱いていた。しかし、間も無くして完璧な偽札が完成、世界中の要人と取引が始まる。そして、画家が最後に目指したのはジャングルの奥地にいる将軍と呼ばれる男だった。ところが画家の本当の目的はこの将軍が父の仇でその復讐だった。

 

そして大銃撃戦のあと、将軍を倒すが、その時レイは、瀕死の女性シウチンを救う。そして顔の傷を隠すため、ユンの顔に整形する。一方、警察のホー警部補は画家との取引をレイに段取りしてもらい、いよいよその取引現場にホーの恋人でもある刑事を潜入させるが、直前でバレ殺されてしまう。しかしその時、シウチンはレイを連れて脱出する。その時レイは拉致していたユンを殺そうとする画家を撃ち殺す。

 

ところが画家は生きていた。警察にいるレイに危険が及ぶ。迫ってくるチョウ・ユンファ扮する画家。レイは似顔絵を描いて警察署内に配るが警官に扮した画家が潜入してくる。そして危機一髪で警官が取り押さえるが、実は彼は全く関係ない警官だった。そしてホー警部補は全てを知る。なぜ、取引に行った刑事がバレたのか。

 

似顔絵の元になったのはレイの供述で、実は画家とはレイだった。レイは警察によって保護されホテルに移動していた。ホーは慌ててレイのホテルに向かう。実は、画家のユンとレイは何に関係もなく、レイは憧れのユンの顔にシウチンをすることで自ら満足していた。警察に保釈を求めてきたユンは実はシウチンだった。

 

シウチンとレイはまんまと警察を欺いてヨットでフィリピンを目指していたが、シウチンは突然、エンジンを止める。警察が迫る中、シウチンはヨットを爆破、レイとともに死んでしまう。

 

こうして映画は終わるのですが、いきなり本編に切り込んで、あれ?あれ?と悩んでいるうちにラストで鮮やかに締めくくるという香港映画らしい仕上がりの作品で楽しかったです。