「ドラゴン危機一髪」
物語は単純だし展開も雑ですが、ブルース・リーの魅力だけで見る一本、まあそれだけで楽しかった。監督はロー・ウェイ。
主人公チェンが叔父に連れられて故郷に戻ってくる。いとこたちと一緒に製氷工場で働くことになるが、何とそこは氷の中に麻薬を仕込んで稼いでいる工場だった。
その秘密を知ったいとこたちが次々と行方不明となり、チェンはその秘密を探り始める。そんな動きに危機を感じた工場の社長はならず者たちを送り込んでいとこたちを皆殺しにする。
クライマックスは拳法の達人でもある社長とチェンの一騎討ちとなり、チェンが勝って、それでも暴力事件なので警察に連れて行かれて映画は終わる。麻薬の話はどうなったんやという展開になって行くのがいかにも古き良き香港映画。それだけでも面白かった。
「女めくら物語」
画面の中に赤や黄色の色使いや構図にこだわった画面は美しいのですが、どこか物語の展開がちぐはぐでまとまりきれず、もう一歩という作品でした。監督は島耕二。
16歳の時の病で目が見えなくなった鶴子は今ではあんまとして生活をしていた。ある時、石段でつまづいたところ木越という男性に助けられる。二人はたまたま同じところへ向かうところだった。
鶴子は客に絡まれ困って逃げ込んだ部屋に木越がいてまたも助けてもらう。それ以来鶴子は木越を気にかけるようになる。そんな頃、鶴子の勤めるあんま屋に糸子という目あきのあんまがやってくる。しかし彼女の素行は悪く、あんま屋の主人を誘惑したり、同僚と諍いを起こしたりする。
鶴子はあれ以来木越と会うことはなかったが、店の慰安旅行で出かけた先で木越に再会する。彼は仕事がうまくいかず自殺さえ考えていた。一旦その場は別れ、夕方迎えにいくからという言葉に心待ちにしていた鶴子だが、結局来なかった上に、木越の会社が倒産した風な記事と、自殺をほのめかす内容を知り、てっきり死んだものと思ってしまう。また糸子は客の金を盗んで逃亡してしまう。
時がたち、石段で再びつまづいたところを片目開きの謙吉と出会う。彼は鶴子のあんま屋に弟子入りすることになるが程なくして謙吉は強引に鶴子と関係を持ち、2人は恋仲になる。
ところが、ある日糸子が帰ってくる。そしてあんま屋の主人に取り入り、たまたま主人の妻が親戚に泊まりに行った時に入り込んでしまう。しかも彼女は元から謙吉の女で、鶴子も騙されていた。
呆然としたまま飛び出した鶴子は石段で倒れてしまう。そこへ通りかかったのが木越だった。そして二人は料理屋へ行く。鶴子は自分の貯金を使ってもらうように木越に頼み、通帳を取りにあんま屋に戻ると、あんま屋では糸子と謙吉に店の金を盗まれたと聞く。鶴子は通帳を持って木越のところへ戻ると、木越は自分で何とかすると言い残して出たと聞く。様々なことを経験し、あんまとして生きていく踏ん切りがついたという鶴子のセリフで映画は終わる。
石段の空間のカットや、柿やイチョウなどを配置した色彩演出など美しい場面もちらほら見えるのですが全体が今ひとつまとまっていない感じの作品でした。