くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ステップ」

「ステップ」

何の変哲もない映画ですが、とっても優しい映画でした。ちらほら出るお遊びもさりげないスパイスになって、終始涙が止まりませんでした。監督は飯塚健

 

壁のカレンダーに予定を書き込む手が突然止まり、すーっと下に下がってしまって一人の女性が倒れる場面から映画が始まる。彼女は主人公武田健一の亡き妻朋子である。それから二年、シングルファザーで一人娘美紀の子育てに奔走する健一の姿となる。

 

会社を定時で帰り、美紀を迎えに行く。まだまだ幼い美紀を育てることはそう簡単に行かず、朋子の両親村松らや元上司、朋子の兄夫婦の支えの中必死で子育てをする健一。

 

映画は、二歳の頃の美紀を育てる健一の姿から、やがて小学校に入学した美紀と健一の物語へと進んでいく。

 

母がいない事に必死で負けないように頑張る美紀、一方一筋縄でいかない子育てに奔走しながらも美紀との絆を紡いでいく健一。やがて高学年になるころ、健一の前に一人の女性奈々恵が現れる。

 

優しくてひたむきな奈々恵に惹かれる父の姿を、ませた会話で受け答えする美紀だが、複雑な心の中が見え隠れしてくる。

 

しかし、次第に打ち解け、奈々恵、健一、美紀の家庭が見えてくるころ、義父村松が病に倒れる。余命わずかとなった村松の病室に、まもなく小学校卒業を迎える美紀、そして健一、兄夫婦、奈々恵が集う。外は村松の望みがかなったかのように雪が降っている。

 

村松は美紀に、雪兎を作ってほしいと頼む。そして作られた雪兎を囲んで、つかの間の幸福に浸る村松。そこには、健一と奈々恵、美紀、そして朋子の兄夫婦のこれからの未来が見えている。

 

やがて、小学校の卒業式の日、健一は美紀といつもの通学路を歩き、これからの子育ての大変さを思いながら、幸せをかみしめて映画は終わる。

 

何の変哲もないし、技巧的な演出もない。ひたすら淡々と健一と美紀、そしての周りの人々が描かれていく。どの場面にも登場するサラリーマンというお遊びショットはあるものの、概して普通の映画です。でも終始泣いてしまいました。