くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「100日間のシンプルライフ」「ザ・プロム」

「100日間のシンプルライフ

面白い映画なのですが、物語が整理できていないのか、私が整理できないのか、どこかつかみどころのない展開を追いかける形になってしまった。カメラワークも面白いし、洒落たシーンもありそうで背後に潜む毒やラストのどんでん返しが面白いはずがなぜだろうすっきりしないという映画でした。監督はフロリアン・ダービト・フィッツ。

 

携帯アプリのナナがスマホ依存症で主人公のパウルを起こす。一方彼の共同経営者でコンプレックスの塊でイケメンのトニーが目覚める。こうして映画は始まる。パウルが開発したAIアプリナナをアメリカの大手IT企業家デビッドの企画したアイデア募集に応募して、デビッドが買い取るという申し出をもらう。

 

お祝いで大騒ぎをするパウルとトニーは些細な言い争いから、お互いの持ち物をゼロにして1日ひとつづつ取り戻し100日間を過ごせるかどうかの賭けをする。酔った勢いの冗談半分だったが目覚めると二人とも全裸になっていた。倉庫に片付けられた2人の道具を取り戻そうと向かう二人。雪が降り、寒さを凌ぐことをまず考えようとするが、倉庫にもう一人買い物依存症のルーシーもいた。

 

ここまでは絵も綺麗だし洒落てスタートするのだが、ここでトニーはルーシーと懇ろになる。そしてお互いに愛し始めるが、ルーシーが買い物依存症なのはたまたまパウルが彼女を病院で見かけてい知ることになる。

 

そんな頃、アメリカからデビッドが正式な契約にやってくる。そして面談の席で、トニーは会社ごと売るからと破格の金額を提案。ところがあっさりとデビッドはその申し出を飲んでしまう。勝手なことを言ったトニーにパウルは怒りをぶつける。

 

一方、デビッドはトニーに黙ってパウルアメリカに引き抜きたいと申し出てくる。この辺りから物語が軸から外れてきて、トニーとルーシーの恋物語に偏ってきて、最初の、全ての持ち物を手放した後のコミカルな話がぼやけてきて、何をどう見るかわからなくなる。

 

そして、結局、パウルのソフトはデビッドに盗まれた形になり、デビッドの販売するスマホに搭載されたことがわかる。せっかくの巨万の富を得るチャンスも飛んでしまい、それでも、パウルとトニー、ルーシーその他会社のメンバーたちとの友情も戻り、トニーとルーシーもハッピーエンドになって映画は終わる。もうちょっと面白くできそうな気がするが、ルーシーの登場が失敗だったかもしれません。でもカメラワークはなかなかの一本でした。

 

「ザ・プロム」

またまたNetflix映画。完全に配信動画レベルの作品で、カメラが回ったり俯瞰で寄りと引きを繰り返したらミュージカルになると思っている安易な映像に参りましたが、ミュージカルナンバーが抜群に良くてそれだけで最後まで見れた感じです。物語も今ひとつまとまりに欠け、テーマのゲイに関しては今更という感じでした。監督はライアン・マーフィー。

 

ブロードウェイのトップスターディーディーの舞台「エレノア」が今夜幕が上がるが、初日で酷評され、一日で終わってしまう。落胆するメンバー達だがアンジーインディアナ州の田舎の高校で、プロムが一人の女生徒がゲイであるために中止になったという投稿を発見、この高校を応援しに行こうと提案する。

 

こうしてディーディーらキャストが田舎の高校へ乗り込んでくり。この高校の女生徒エマはアリッサという女生と愛しあっていた。アリッサの母はPTAの会長で、アリッサも自分がゲイであると母に言っていない。アリッサの母は、断固ゲイのプロム参加を拒否するためプロムを中止にしてしまう。しかし、校長のトムはなんとかプロムを開こうと画策、ディーディーらの応援もあり、開催に漕ぎ着ける。

 

エマ達も盛り上がり、いざプロムの日が来るが、エマ、ディーディーら、トムが会場に行くと誰もいない。アリッサの母が会場を別にして二つのプロムを開催したのだ。ショックを受けるエマと、悔しがるディーディー達は、なんとか起死回生しようとする。

 

エマは自ら訴える歌を動画投稿し、それが反響を呼んでいく一方、ディーディー達は自腹を切って再度プロムを企画、エマの友達も反省して、何もかもうまく運んでクライマックスへと雪崩れ込んでいく。

 

とにかくミュージカルナンバーが抜群に楽しくて、それを聞いているだけでワクワクするのだがいかんせんカメラワークが悪く、やたら回転と、寄ったり引いたりの連続とバストショットばかりで画面に広がりがなく、動画作品のレベルを超えない出来栄えだった。しかもストーリーに起承転結の構成も悪く、何の話なのか前半と後半が分断されているように思いました。もうそろそろNetflix映画も限界のような気がします。