くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「魅せられて」「貞子DX」

「魅せられて」

初公開以来の再見。監督はベルナルド・ベルトルッチですが、彼の作品としては中の下くらいの出来栄えで、初めて見た時もそれほど印象に残っていませんでしたが、今回もそれほど感銘しませんでした。どちらかと言うとリヴ・タイラーのスター映画のようなカメラワークが散見される一本です。

 

ニューヨークで暮らしていたルーシーがイタリアトスカーナへ帰ってくる電車の中の場面から映画は幕を開ける。ルーシーの寝顔を舐めるようにカメラが捕らえるオープニングがいかにもスター映画的です。トスカーナへ行く目的は母が亡くなる前に残した一編の詩と、母が青春を暮らしたトスカーナを訪れ、本当の父親を知りたかったためである。トスカーナには母の友人のダイアナとグレイソンの彫刻家夫婦が住んでいた。列車を降りる時、意味ありげなブレスレットをした男性が声をかける。

 

19歳になったルーシーが訪れると、すっかり美しい女性になったルーシーにダイアナたちも驚くが、周辺に住む人たちもルーシーの美しさに魅せられて行く。19歳でまだバージンというルーシーに周りの好奇の目も集まる。自由奔放にSEXを楽しむリチャードとダイアナたちの娘ミランダにある意味憧れるルーシー。近くには白血病で余命わずかなアレックスが住んでいて、ルーシーはアレックスに心の内を忌憚なく話せた。

 

間も無くして。初恋の青年ニコラが戻ってくる。彼はクリストファーという青年も一緒だったが、ルーシーはそれとなくクリストファーに惹かれて行く。ニコラは、かつての思い出でルーシーに近寄りSEXを迫るがそんな彼にルーシーは冷たく応える。近くで催されるパーティに行ったルーシーは一人の英国人生年と知り合い、アレックスが眠っている家に連れ帰るが結局何事もなく一夜が明ける。

 

そんなルーシーに、アメリカに行くのを希望するクリストファーはルーシーに次第に近づいてくる。そして、一夏が終わろうとする頃、リチャードはミランダの元を離れ、ルーシーをモデルにして彫刻していたグレイソンの作品も完成に近づく。そんな彼に、ルーシーは、母が自分を孕った頃の話を聞き、グレイソンが自分の父だと確信する。その夜、ルーシーはクリストファーと一夜を共にし、とうとう体を合わせる。翌朝、お互いSEXが初めてだったと告白して別れて映画は終わる。

 

一人の少女のSEXを通じての成長の物語という感じの一本で、赤を基調にした画面作りなどのこだわりはさすがですが、ともするとリヴ・タイラーに焦点を合わせたカメラが気になる作品で、よほど気に入ったのかわざとなのかという感じで、その魅力を堪能する映画という仕上がりでした。

 

「貞子DX」

完全にふざけた映画でした。貞子をネタにしたお遊び映画なのですが、それならもっと優れた笑いを作ってくれればいいのですが、そこは全く凡作に終始しているという始末。本気が感じられない駄作という映画でした。小芝風花が出てなければ見に行かない一本です。監督は木村ひさし。

 

IQ200の女子大生一条文華がこれからテレビ番組に出るので車を走らせている場面から映画が始まる。最近、突然死する事件が頻繁に起こっているというニュースが流れている。彼女の車の前をバカップルが通り過ぎる。今日の番組は、最近の突然死事件が20年前に流行った貞子の呪いではないかというSNSの噂を検証するもので、文華と一緒に出るのはどこかの宮司で、呪いを信じるKenshinという怪しい男だった。

 

番組が終わり、挨拶をする文華にKenshinは呪いのビデオをプレゼントする。とりあえず持って帰った文華だが、深夜、妹の双葉はそのビデオを見てしまう。そんな頃、文華を横切ったバカップル、彼女が怯えている動画を彼氏が撮っている。どうやら彼女は呪いのビデオを見たらしく24時間目の期限が迫っていた。そして彼女は不審な死を遂げる。

 

双葉は学校で、白い服を着たメガネに禿頭の静岡の叔父さんが見えると文華に電話をする。なんで貞子と違うねんというボケからホラーが始まる。というかおふざけが始まる。文華はKenshinのところへ行くが、おりしもさっきのバカップルの彼氏、名前は前田王司が彼女を守れなかったと叫び、今にも飛び降りようとしていた。それを持ち前の機転で文華が助けたことから、Kenshinと三人で呪いのビデオの謎を解くことにし、Kenshinは呪いのビデオを再生してお祓いをする。

 

次第に前田の24時間の期限が迫るが、なぜか彼は助かる。ところが双葉には、静岡のおじさんからクラスメートの姿に変わった貞子が迫っていた。文華は、前田が助かった謎を必死で考え、たくさんでビデオを見ればいいと結論を出し、双葉に連絡、双葉は助かる。その情報をネットに流す一方で、Kenshinのところへ行った文華と前田の目の前でKenshinは貞子に殺される。Kenshinがビデオをお祓いした時、前田も文華も見ていたのにおかしいと感じた文華は別の真相があると考える。文華には、10年引きこもりをしているネットオタクの感電ロイドという情報源があった。

 

そんな頃、双葉には文華の、母には亡き夫の姿の貞子が迫ってくる。文華、前田、感電は、どうやらビデオを最初にコピーして撹拌したのはKenshinの実家の神社だと突き止め、謎を解くためKenshinの実家の神社へ向かう。そこで、引きこもっていた感電もやってきて三人で、謎を解きにかかる。そして24時間の期限が、人間の体内時計にあると気づいた文華は、24時間に一回ビデオを見れば助かることに気がつく。双葉と母も神社に向かっていた。

 

期限が迫る中、双葉と母、文華、前田、感電は神社の境内でビデオを見る。迫ってきた貞子は井戸から出て彼らを引き摺り込もうとするが、すんでのところで自分だけ井戸に落ちる。笑ってしまう。それから毎晩、呪いのビデオを見ることで呪いから抜け出せることに気が付き、文華の家族も前田や感電も皆毎晩決まった時間にビデオを見ている。傍にさまざまな姿の貞子がいるという場面で映画は終わる。全くふざけた映画や。

 

ユーモアセンスがもうちょっとあったら、もっと面白い映画になったろうけど、消化不良の笑いの連続という感じのふざけたホラー?映画だった。