くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「世界で一番しあわせな食堂」「愛と闇の物語」

「世界で一番しあわせな食堂」

とっても素敵なハートフルラブストーリー。たわいのないお話なのにいつの間にか引き込まれて、ラストは心があったかくなりました。美しいフィンランドの景色と、素朴な登場人物たち、そして自然とラブストーリーが見えてくる展開はとっても良いです。監督はミカ・カウリスマキ

 

フィンランドの田舎村、一人の中国人チェンと息子のニュニョがバスから降り立ち、一軒のレストランに入る。そしてその店を切り盛りするシリカに、フォントロンという人を知らないかと尋ねる。食堂内にいる人たちにも丁寧に聞いて回るチェン。二人は食堂の隅で閉店までいたが、ホテルも遠いということで、シリカは空いている離れの部屋を与える。

 

次の日もチェンらは食堂で手がかりを待つが、そこへ観光バスに乗った中国人旅行者がたくさんやってくる。困ったシリカの姿を見たチェンは忠義期料理を作ると言い出す。そしてチェンが作った料理は評判になり、次々とツアー客が立ち寄るようになる。また村の老人たちもその食事を食べると体の調子が良くなると評判になっていく。

 

まもなくして、フォントロンというにはフォルストロンという名前で、既に亡くなっていることがわかる。フォルストロンというには上海でチェンがいた頃彼を助けてくれた恩人で、その時の恩返しにお金を返しにきたのだという。チェンの妻は自転車に乗っていて事故にあって亡くなっていた。チェンは結婚指輪を村のそばの丘に埋める。

 

目的が果たせなかったチェンだが、村の人々やシリカに懇願され、しばらくこの村にとどまり、料理を作ることにする。村の人たちにも慕われ始め、l医食同源を主旨とするチェンの料理は村人にも評判になっていく。ニュニョも村の子供達と仲良くなっていく。しかし、チェンのビザの期限が近づく。

 

チェンは去る決意をすり。そして妻に誕生日、チェンとニュニョは指輪を埋めた丘に行く。そして爆竹を焚いて祝うがその煙の中にシリカが現れる。

 

間も無くして、警官がチェンのところにやってくる。しかし既にチェンはいない。村人のスマホに上海で結婚したチェンとシリカの映像が流れてくる。フィンランドに戻ることを約束して二人は結婚、ハッピーエンドで映画は終わる。

 

シルエットをうまく使ったフィンランドの景色のカットがとにかく美しく、ため息が出るほど息を呑んで引き込まれてしまいます。その中で、村の老人たちの優しい笑顔やそのあたりに普通にうろついているトナカイの景色など、映画全体がゆっくり素朴に流れているのが心地よい作品でした。

 

「愛と闇の物語」

監督がナタリー・ポートマンじゃなかったら見ていないかもしれない作品です。正直、最初は何を描こうとしてるのかわからなかった。地味な映像と淡々と進む家族の物語はしんどかった。

 

一人の老人、主人公アモスの今の姿である。場所はエルサレム、彼は幼い頃の母の思い出を回想していく。時は1945年に遡る。英国統治下のエルサレムで過ごす父アリー、母ファニア、そしてアモスユダヤ人で、何かにつけて、白い目で見られている。母はもともと裕福な家庭に育ったので、ここでの抑圧された生活は次第に心に影を落とし始める。そんな彼女はアモスに持ち前の想像力を駆使して様々な冒険物語を聞かせる。

 

というのがお話の中心なのですが、どうもファニアの物語が浮き上がってこないので、終始地味な物語が続く。といってユダヤ人としての苦悩がしっかり描けているわけでもなく、時折現在のアモスの映像も挿入されるのですが、展開がリズムにのってこない感じで、見かねたアリーは、しばらくテルアビブの姉妹のところで休養してはどうかという提案でファニアはアモスらの元を離れるが、しばらくして亡くなったという知らせが入る。映画はこうして終わっていくのですが、何を描くという視点が明確に見えなかった。