くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「おばあちゃんの家」(デジタルリマスター版)「終末の探偵」「キッド」(4Kデジタルリマスター版)「サニーサイド」

「おばあちゃんの家」

胸に染みいるような名編でした。淡々と語られる年老いた祖母と孫の物語ですが、たまらなく郷愁に浸らせてくれました。本当に素朴でいい映画です。監督はイ・ジョンヒョン

 

母に、バスに乗って山深い村に住む祖母のもとに連れられていくサンウの場面から映画は始まる。母が仕事を見つけるまでサンウを預けるためだった。無理やり預けられ、サンウは何かにつけて祖母を馬鹿にしたり反抗したりする。とはいえ、まだまだ幼いサンウが、時に祖母に頼る仕草を見せる。映画は祖母とサンウの何日かをただ語っていく。

 

近所に住む少年チョリとどことなく親しくなり、チョリの妹ヘヨンにほのかな恋心を覚えるサンウ。祖母の裁縫の針に糸を通してやったりする。持ってきたゲームの電池がなくなり、祖母のかんざしを盗み一人で村に降りて道に迷って、自転車に乗っていたおじいさんに助けてもらったりする。

 

することがなくなり、少しづつ、祖母の行動に興味を持ち始め、雨に降られた洗濯物を取り入れたやったりする。祖母はサンウが食べたいと言うフライドチキンを作ろうと鶏を手に入れて茹でて出したりするが、サンウは意味がわからず反抗。しかしお腹が空いて食べてしまう。自分の荷物を持ってきたカートを使って祖母の荷物を運んでやったりする。

 

ある時は、かぼちゃを市場に売りにいくのにサンウもついていく。売れたお金で祖母は自分は食べずサンウに食事をさせたりし、食べたいと言うチョコパイを買うために知り合いの雑貨屋に行って、サンウに買ってやる。帰りのバスで、サンウはチョリ達と帰るからと祖母と別れる。いつまでも帰ってこない祖母が心配なサンウは遅く戻ってきた祖母を見つけて泣いてしまう。祖母はサンウのゲームボーイを包んでサンウに渡したが、サンウはそれをポケットに捩じ込んだだけだった。後から見てみると、包みの中に電池を買うためのお金が入っているのを見つける。

 

まもなくして母からサンウに手紙が来る。それはサンウが祖母との別れの時が来たのを知らせるものだった。母が迎えに来る前の晩、サンウは糸を通した針をたくさんん作ってやる。翌日、サンウは自分が大事にしていたロボットカードを祖母に渡す。その裏には字の書けない祖母が困らないように、体が痛い時、自分に会いたい時手紙を送れるようにしたものだった。去っていくバスを見送り、祖母は家までの坂道を登って行って映画は終わる。

 

小さなエピソードを積み重ねながら、次第にサンウと祖母の心が通じ合っていく様がたまらなく切ない。さらに、サンウとチョンの友情やヘヨンとの淡い恋物語などもとっても瑞々しくて素敵です。全く口が利けず、耳も聞こえない祖母の存在感が次第にサンウに通じていく展開も素晴らしくて、本当にいい映画でした。

 

「終末の探偵」

荒削りではあるけれども、軽いテンポで展開する小気味良いアクション映画というさりげなさがとっても心地よいハードボイルド映画でした。監督は井川広太郎。

 

とある裏カジノのテーブルでカードをする主人公新次郎。結局負けてしまい、次の瞬間大暴れした描写の後その場に倒れる新次郎。そこへ、幼馴染で笠原組幹部の恭一が新次郎を助け出す。こうして映画は始まる。恭一は新次郎に、笠原組が敵対する中国マフィアパレットが関わったらしい放火事件を調べてくれと依頼してくる。新次郎は喫茶店を事務所にしている探偵だった。事務所に戻った新次郎は一人の少女ミチコから、クルド人の友人リディアを探して欲しいと依頼される。

 

新次郎はパレットの幹部チェンの居場所を探し始めるが、ようやく見つけたものの、チェンは自分たちの仕業ではないと答える。新次郎は幼い頃助けてもらった安井老人と出会い、地元のボランティアで佐藤という若者を紹介される。その頃、恭一がボーガンで襲われる事件が怒る。新次郎はボーガンを撃った男を探し始めるが、恭一の子分が勝手にチェンの部下が犯人だろうと襲って怪我をさせてしまう。怒った笠原組組長は恭一を責める。組長は、成金の中国系財界人辻原と懇意にしていた。組長は笠原組とパレットが抗争になり両方潰れた後辻原の計画する再開発に関わるつもりをしていた。

 

新次郎は街で突然ボーガンを撃たれる。犯人を必死で追った新次郎はそれが佐藤というボランティア青年だと突き止める。しかも、佐藤はミチコもターゲットにしていた。佐藤は町のゴミのような人間を狙い撃ちしていたのだ。新次郎はミチコに危険を知らせ、佐藤をリンチにしてしまう。そして、リディアが辻原に拉致されていると知った新次郎は辻原の家を襲いリディアを助け、ミチコに引き渡す。しかし、誰が密告したのか、リディアは不法入国者の施設に送られてしまう。

 

新次郎は安井老人に誘われ、ミチコと一緒に商店街のレトロな喫茶店に行く。この日で閉店するのだと言う。街の姿が変わっていくのを嘆きながらスパゲティを食べる新次郎。後日、中華料理を食べている新次郎の外で、チンピラらが喧嘩をしていた。新次郎がちょっと手を出してまた店に戻り、食べ続けて映画は終わる。

 

たわいのない低予算のハードボイル映画ですが、こういう肩の凝らないアクション映画は見ていて楽しいですね。北村有起哉がいい味を出していて、ミチコ役の武イリヤは抜群い可愛いし、とっても楽しめました。

 

「キッド」

四十年ぶりくらいの再見。軽妙なドタバタ喜劇とほんのり感動させる人情噺のバランスの完成度が高い名作中編。監督はチャールズ・チャップリン

 

慈善病院から赤ん坊を抱いた若い女性が出て来るところから映画が始まる。育てられない彼女は、大邸宅の前に止まっている車に赤ん坊を置いて立ち去る。車は盗まれ、泥棒達は後ろの席の赤ん坊を道端に捨てて立ち去る。通りかかったチャーリーは、その赤ん坊を拾い、育てるつもりはなかったが、成り行きで育てることになり五年が経つ。

 

子供にジョンと名付け、子供にガラスを割らせて自分がガラスを修理するという仕事で生活をしていたが、警官に目をつけられ、たまたま病気になった子供を診察した医師が、孤児院に入れるべきだとチャーリーに忠告。子供は捨てられる時に母からの手紙を持っていて、チャーリーが大事にとっていたのだ。

 

一時は孤児院に連れていかれそうになるが、子供はチャーリーの元に戻って来る。一方母親は有名な女優になって裕福となり、慈善活動をしていた。たまたまジョンとも街で出会う。母は五年前に捨てた子供を探す新聞広告を出す。福祉所で寝ていたチャーリーとジョンは、福祉所の管理人の通報で、ジョンが連れ去られ、警察署で母と出会う。子供を失ったチャーリーは失意のどん底になり、天使達と戯れる夢を見る。

 

目が覚めると、警官がチャーリーをとある大邸宅に連れていく。そこにはジョンの本当の母がいてジョンと再会したチャーリーは、その家に招かれて映画は終わる。

 

ドタバタ劇のテンポ良さとラストの感動が見事にバランスが取れた作品で、やはり何度見てもしんみりしてしまう一本でした。

 

「サニーサイド」

短編ドタバタ劇の一本。監督はチャールズ・チャップリン

 

サニーサイドの街で雇われ人のチャーリーは、この日も雇い主に様々な仕事を押し付けられ、ドタバタとこなしている。街で一人の女性に恋をしたチャーリーは、彼女の心を射止めようと必死になる。ところが街にやってきた紳士に彼女を取られ、がっかりしたチャーリーだが全て夢で、チャーリーはその女性とハッピーエンドとなり映画は終わる。

 

なんのことはない作品ですが、テンポ良いドタバタ劇を楽しめる一本でした。