くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「グッドバイ」「怪物の花嫁」「アタック・オブ・ザ・キラートマト」

「グッドバイ」

静かに淡々と進む中編でしたが、短い中にさりげない物語を最小限の描写で見せていく展開は、なかなかの物でした。監督は宮崎彩。

 

主人公桜が、勤め先のエレベーターに乗っている場面から映画は始まる。コピー機の前でたつ彼女のカットから居酒屋で友人と飲む姿。会社を辞めたという。その帰り、友人からの電話で、臨時の保母さんにならないかという誘い。そして、春までの臨時で幼稚園に勤め始める桜。

 

一日の最終で園児を送り出すが、その園児の父新藤に父の面影を見て、いつの間にか慕うようになる。そして、早番で買い物の帰り、新藤に会い、家まで行って夕食を作る。新藤の妻は留守だった。どういう状況かわからないまま、新藤はさりげなく桜にキスをする。そして桜は帰る。

 

母が自宅を手放す予定なので、父が戻ってくるという。単身赴任なのか別居中なのか。ある日、いつものお迎えに新藤の妻がやってくる。どうやら出産の里帰りだったようだ。間も無くして桜も期限が来て幼稚園を辞める。

 

父が荷物の整理に戻ってくる。朝、朝食を作る父の背中に顔を埋める桜。そして徐に背伸びをして父に顔を近づけ映画は終わっていく。さりげない、淡々としたひとときの物語なのですが、至る所にさりげないドラマを忍ばせた作りが見事です。今回中編なのですが、普通の作品が楽しみな監督さんでした。

 

「怪物の花嫁」

しょぼい、置いてあるだけのタコの怪物と、お決まりの大男、いかにもな嵐、そして予想通りラストは火事で締めくくり、さらにキノコ雲とまあ、呆気にとられた。監督はエド・ウッド

 

嵐と雷鳴の中、二人の男が森で迷い、ウイロー屋敷というのにたどり着く。出てきたのは大男のロボ、そして不気味な博士ヴォルノフ。雨宿りを断られた二人は森に行くが、そこで巨大タコ?に襲われる。一人がロボに連れ帰られ、気がつくと屋敷の中の実験台の上。どうやら原子人間という超人を作ろうとしているらしい。博士がスイッチを入れるが、実験は失敗して男は死んでしまう。

 

マシュー湖にいる怪物を調べに新聞記者のジャネットが単身ウイロー屋敷へ向かうが、車が事故を起こし森で立ち往生。ロボが現れ連れ帰る。一方ヴォルノフ博士の親友が訪ねてくるが、親友の故郷へ帰ろうという提案を拒否して、親友をタコの餌食にして殺す。

 

刑事のディックがジャネットを探してウイロー屋敷にたどり着くが、ジャネットは実験台の上にあった。突入したディックはロボに負けて気を失う。博士が実験のスイッチを入れようとすると、ジャネットに恋したロボが博士に逆らい、ジャネットを助けて博士を実験台に乗せる。そして博士は原始人間となる。そこへ警察が駆けつけ、ディックも目覚め、ロボはやられてしまい、森に逃げたヴォルノフ博士は、最後は自分の巨大タコに絡まれた上大爆発を起こす。なんとキノコ雲が上がり映画は終わる。

 

とにかく、展開もセットも、何もかもがしょぼくて、センスのかけらもない映画です。よくもまあこういうのが未だに残っているものだと呆れます。でも楽しい、そんな映画でした。

 

「アタック・オブ・ザ・キラートマト」

小ネタと悪ノリだけで突っ走る、まさにカルト映画の珍品。これというお話もあるのかないのか、主人公もいるのかいないのか、ギャグなのか適当なのか、でもなぜかトマトが襲ってくる。ほんまに呆れる一本。監督はジョン・デ・ベロ。

 

一人の女性が洗い物をしているとシンクの排水溝からトマトが何やらぶつぶつ言いながら出てきて、女性の悲鳴、そして軽快な音楽と共にタイトルが始まる。なんだなんだと思っていると、どうやら各地でトマトが人間を襲う事件が起こっているということで、政府組織が対策を練る。のだが結局、CIAの職員が調査に乗り出し、トマト襲撃をスクープにしようと新聞記者の女性も政府の動きを探りに派遣される。

 

ジョーズのパロディやら、どこかで見たようなミュージカルシーンのパロディやらが挿入される一方で、小ネタを散りばめ、所々にトマトが襲ってくるシーンがあるものの、いかにも適当な作り物のようなトマトが転がってくるだけというしょぼい映像。

 

ただひたすら悲鳴やら、トマトのぶつぶついう声やらを繰り返して、どうやら、スタジアムでトマト退治に成功するのだが、ラストはCIAの職員と新聞記者の女性が意気投合して、大熱唱の末カメラは大きく俯瞰して物語は終わっていく。と、畑のにんじんがむくむく伸びてきて、もうトマトはいなくなったようだとつぶやいてエンディング。コメントできない珍品映画、でもクセになる映画ですね。