くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「水を抱く女」「プラン9・フロム・アウタースペース」

「水を抱く女」

面白い映画なんですけど、もうちょっとラストを綺麗に締めくくっていたら、ひとまわりいい映画に仕上がった感じですね。ほんのわずか監督にセンスが足りなかったという感じでしょうか。監督はクリスティアン・ペッツォルト

 

映画が始まると一組のカップルがカフェテラスにいる。どうやら別れ話らしい。男性の名はヨハネス、女性の名はウンディーネウンディーネは執拗に別れたくないというがどうやらヨハネスには別の女性ができたようである。ウンディーネは「私を捨てたら殺さなくてはならない」という意味ありげな台詞を投げるが、ヨハネスは聞き入れない。仕事が30分で終わるので待っていてくれとウンディーネはその場をさる。ウンディーネは、向かいの施設で都市計画の解説をする活動をしていた。

 

仕事が終わってカフェに戻ったウンディーネだが、そこにヨハネスはいなかった。カフェの中に入ると、そこにある水槽からウンディーネを呼ぶ不気味な声が聞こえてくる。そんな時、さっきの解説に感心したという一人の青年クリストフが彼女に声を掛けてくる。直後、水槽が突然割れ、ガラスと水が二人に被さる。クリストフは、近くの沼に潜ってポンプの修理をする仕事をしていた。ある時、潜って仕事をしていると大きなナマズが近づいて来る。後から映像を確認したら二メートル近くあった。

 

急速に接近したクリストフとウンディーネはみるみる愛し合うようになる。二人で沼に潜った時、沼の底の石の建造物にウンディーネの文字を見つけたクリストフが、一緒にいるはずのウンディーネを探すといない。付近に目を凝らすと、あのナマズが泳いでいて、ウンディーネヒレもポンプも外れて漂っていた。慌てて彼女を助けて、人工呼吸をするクリストフ。

 

ある夜、ウンディーネが一人でベッドに横たわっているとクリストフから電話が入り、二人が会った日、ヨハネスを待っていたのではないかと詰め寄られ、そのまま電話が切れる。嫌な予感がしたウンディーネは、クリストフが仕事をしている沼に行くと、事故がありクリストフは脳死状態で入院していると知る。しかも、ウンディーネに電話が来たときには事故が起こった後で、電話があるはずがないという。ウンディーネは、ヨハネスの家を訪れプールで泳いでいるヨハネスを殺し、自分は沼に沈んでいく。その途端、脳死だったクリストフが目を覚ます。退院後、ウンディーネを探すが見つからない。そして二年が経つ。

 

クリストフには恋人ができ、恋人のお腹には子供も出来ていた。しかし、二年ぶりに沼での仕事の依頼がきたので、潜って作業をしているクリストフの前にウンディーネが現れる。後で映像を見ても映っていない。その夜、恋人が寝たのを確かめたクリストフは沼に潜る。目の前にウンディーネが現れ、一時は沼に誘われるも、クリストフは沖に上がってくる。後を追いかけてきた恋人の声が聞こえる。二人は抱き合う。それを見つめるウンディーネの視線で映画は終わっていく。この終盤の処理がちょっと普通すぎるカメラ演出なのが実に残念。さらに、ヨハネスを殺すくだりももう一工夫欲しかった気がします。面白い映画ですが、あと一歩という感じでした。

 

プラン9・フロム・アウタースペース」

史上最低の駄作と言われるカルトシネマの一本。とにかく、何もかもが適当に展開していくのは「怪物の花嫁」と遜色ない。ストーリーも映像も呆れ返るほどに適当。よくもまあこれで公開したんやと思う一方で、その割り切りと真面目に作っている感満載に脱帽してしまった。監督はエド・ウッド

 

葬儀の場面、妻を亡くした夫の悲しい姿から映画は幕を開ける。その直後、夫は交通事故らしいが死んでしまう。ここに旅客機が飛んでいて、いかにも鍋蓋のUFOが通過する。折しも、墓場では一人の女が蘇り、UFOが通過すると人々が薙ぎ倒される。さらに、事故で死んだ夫も蘇るが、マントを羽織っていかにもドラキュラだ。いやどう見てもドラキュラだ。演じているのはベラ・ルゴシだから仕方ない。やっぱりドラキュラなのです。

 

ハリウッド上空やらに現れたUFO、世間では話題になり、軍が攻撃する。いかにもニュース映像をパクった攻撃シーンが挿入される。そしてUFOはあっさりどこかへ飛び去る。えらく弱い。宇宙に浮かぶ母船の中では、今回の地球への任務がうまくいかないので相談している。どうやら友好的な宇宙人だが、どう見ても普通の人間だ。そして、次の作戦はプラン9だという。それは死者を蘇らせるというもので、すでに二人成功したと報告しているが、いやその程度かい、と突っ込んでしまう。しかも、死者を蘇らせてどうするの?と思うが、なぜかこのプラン9を実行することに。

 

墓地のそばに、冒頭の旅客機の機長の家がある。なんとも都合の良い設定。一方墓地で墓掘りが死んでいるのが発見され警察がやってくる。実は蘇った女ゾンビが行ったのだが、意味がよくわからない。そして警部も襲われて死んでしまう。なぜかすぐに葬儀が行われ埋められるが、宇宙人によって蘇る。これがまた大男なので「怪物の花嫁」と設定が同じになる。しかも、「怪物の花嫁」に出た鈍臭い警官も同じ役名で登場。

 

宇宙船の中では作戦が続いている。警官たちは怪しいと思って墓地の奥の光るものに近づいていく。機長も一緒に加わっている。しかも妻も参加するが、パトカーの中で待っていると大男ゾンビが来て妻を攫う。このシーンは必要だったの?一方宇宙船に突入した刑事と機長は宇宙人に、なぜ来たかの説明を受ける。人類は次々と破壊兵器を作っていてこのままだと太陽さえも破壊して全宇宙が滅ぶのでそれをやめさせるため来たのだという。この理屈がよくわからない。しかも、結局刑事らと乱闘になり、脱出した刑事たちを後にUFOは燃え盛ったまま飛び立ち、それを見つける刑事たちが、いかにもなラストのセルフをしゃべって映画は終わる。

 

適当というより、妙に真面目に作っている感が前面に見えているのがいかにもおかしい。なんの疑問もなく平然とこういう映画を作ったエド・ウッドに拍手したくなるような映画だった。