「ピーターラビット2 バーナバスの誘惑」
エピソードを詰め込みすぎたのか、前作よりテンポが悪くなって、せっかくの見せ場がぼやけてしまって、ピーターラビットたちの大活躍に引き込まれきれなかった。面白いことは面白かったけど、普通でした。監督はウィル・グラック。
ビアとマグレガーの結婚式から物語は始まる。結婚後何かにつけ父親ヅラするマグレガー。ピーターを目の敵にしているが、ピーターの行動がさらに裏目に出ていく。そんな時、ビアの本が有名出版社の編集者の目に留まり、出版社へでむこことになる。マグレガーたちと一緒にピーターたちも同伴する。そこでピーターは、父の友人で今はアウトローな生き方をしているバーナバスに会う。
どこか疑問を抱いていたピーターはバーナバスの誘いに乗って、悪の道へ進む。田舎からかつての仲間を連れてきて、バーナバスの大仕事に加担する。一方ビアは出版社の宣伝戦略に踊らされ始め、マグレガーはそんなビアが心配になり始める。
バーナバスとピーターらは、市場での大仕事を成功させるが、実はバーナバスはピーターらを利用しただけだった。ピーターの友達はすべてペットショップに捕まり、売られてしまう。一方、ビアも編集者のやり方についていけなくなり、契約解消を申し出る。マグレガーとビアはピーターを助けて、ピーターの友達救出作戦を実行。
無事全員を助け出し、元の生活に戻り、マグレガーとビアの間にも赤ちゃんが生まれ、映画は終わっていく。ちょっと盛り込みすぎた感じの展開で、せっかくのピーターらの大暴れシーンがぼやけた感じです。でも面白かった。
「海辺の家族たち」
地味な話ですが、映像のクオリティはしっかりしてるし、群像劇的に描かれるエピソードのバランスもそれなりに上手く構成されている。終盤の展開は、やはりお国柄やなとは思いましたが、締めくくりもうまい。いい映画でした。監督はロベール・ゲディギャン。
海辺の別荘のベランダ、一人の老人が外を見ていてタバコを吸った直後倒れてしまう。この老人の息子アルマンと弟ジョゼフたちのところへ、女優をしているアンジェルが戻って来る。三人の父は倒れた後意識がないまま寝たきりになった。
物語は三人の兄弟とその周りの人々との物語を交互に描きながら展開していく。アンジェルに、地元の漁師バンジャマンが愛を告白したりする。アンジェルの一人娘は、この別荘へ預けていた時に海に落ちて死んだという過去があった。ジョセフにはヴェランシェという若い恋人がいた。近所に住む老夫婦の息子イヴァンがやってくる。
かつて賑やかだったこの別荘地も、次第に寂れ、住む人も減ってきていた。まもなくしてイヴァンの両親は自殺してしまう。アンジェルは、一度は断ったバンジャマンの告白を受け入れる。ヴェランシェは、イヴァンと親しくなる。ジョゼフは、年齢的にすでにヴェランシェと関係を続けることに限界を感じていた。
そんな時、移民が流れ着いたという情報と、軍人がうろつくようになる。しばらくしてアルマンとジョセフは、道の外れで三人の幼い子供を見つける。三人を保護し、食事も与える。やがて、ヴェランシェは帰っていく。アルマン、ジョセフ、アンジェルは、陸橋の下で、幼い頃にこだまで遊んだ思い出で、全員が声を出して、それまで喋らなかった移民の子供も声を出して映画は終わる。
悪くないが、最初人間関係が全く把握出来なかった。やはりフランス映画、こういう移民の問題も挿入しないといけないという感じがちょっとと思いましたが、良いの映画でした。
「1秒先の彼女」
ラブファンタジーという空気感のとっても素敵な映画でした。ちょっと、ネタを盛り込みすぎた気がしますが、その辺りをもう少しシンプルに整理したらもっと良かったかもしれません。でも、こういう時間テーマの使い方はありですね。ほのぼの感動しました。監督はチェン・ユーシュン。
映画が始まると、不思議な話の声が流れて、シャウチーが交番で、昨日が無くなったと届けにくる場面から映画は始まり。子供の頃から何をやってもワンテンポ早すぎる主人公のシャウチーは郵便局に勤めている。この日も隣の窓口の美人の同僚の恋話で盛り上がっている。シャウチーの窓口に毎日のように現れる一人の青年がいる。いつも決まって手紙を一通出すだけ。シャウチーは、仕事の帰り、公園でダンスを教えているリウという青年と知り合う。いかにもイケメンで爽やかなリウに一眼で惚れてしまうシャオチー。リウも満更でもなく、シャウチーに猛アタックしてきて、映画デートをすることになる。
その帰り、リウは、かつて過ごした施設にいる少女が移植手術が必要だなどという話をし、そのお金を稼ぐためにバレンタインデーで恋人同士がやるゲームで優勝しようと言う。すっかり盛り上がるシャオチー。家に帰れば、いつも聞くラジオ番組に今のラブラブ感を電話したりする。シャウチーの父親は、彼女が小さい時に、お菓子を買いに出たまま行方不明になった。
そして、バレンタインの日、シャウチーはいつものように出かけるが、何故かバレンタインデーは昨日だと言う。昨日一日が消えてしまったのだ。そして、いつものように窓口にいると、いつも来る男性が顔を腫らせてやって来る。そしていつもより重い封書を差し出す。なんのことかわからず家に帰ると、突然、箪笥の中からヤモリという妙な男が登場、人は忘れ物をするものだからと、シャウチーがこれまで無くしたと思っていたものを見せて来る。そこに、何故か、子供の頃に見かけた鍵もあった。
シャウチーがいつものように窓口にいると、私書箱を作りたいという客が来る。シャオチーが鍵を準備しようとして、それが、先日思い出した鍵だと気がつき、母の家に行って、子供の頃に見たカゴの中から鍵を見つける。一方、たまたま写真屋に自分の写真が飾られているのを発見する。
休暇を取ったシャウチーは、その鍵が開く私書箱がある郵便局を探し始める。そしてようやく見つけ、開いてみるとたくさんの手紙が出て来る。その中に、先日いつも窓口に来る男が出した封筒があり、中には写真がたくさん同封されていた。さらに、手書きの地図のようなものも見つける。その地図の通りに行ってみると、写真屋に飾られていた場所があった。
そして、たくさんの手紙の中にいつも郵便を出しにくる男はグアタイといい、彼のの最後の手紙を読む。グアタイは子供の頃、玉突き事故にあい、シャウチーと知り合ったのだという。病院に入院していたグアタイをシャウチーが励ましてくれたのだ。そしてシャウチーが先に退院する時、退院したら文通をしようと決める。しかし、私書箱を開いた場所がシャウチーの家から遠くなって、見に来ることもなくなる。
ところがグアタイが高校生の時、偶然シャウチーと再会する。そのあと何年かしてグアタイはバスの運転手になるが、シャウチーが郵便局に勤めていることを発見し、毎日手紙を出していた。
ある時、シャウチーがリウという青年と親しげにしているのを見かける。ところがリウは女たらしの男だった。それを知ったグアタイは、なんとか懲らしめようとするが、ある夜、自分のバスに乗ったリウが、以前騙して金を巻き上げた女の兄貴に脅される現場に出くわす。そこでリウは痛めつけられたので、グアタイもついでに痛めつけるが、元々、人より少しタイミングが遅かったので、自分の顔を腫らすほど殴られてしまう。その帰り、バスの中で眠ってしまったグアタイが目を覚ますと、周りの時間が止まっていた。グアタイは自分のバスを置いて、シャウチーが乗っているバスを見つけ、運転して、自分の子供時代の秘密基地の海岸へ向かう。
海岸でグアタイは止まったままのシャウチーと一日を過ごす。その帰り道、グアタイと同じように動いている男を乗せるが、なんとそれはシャウチーの父親だった。時間がゆっくり動いている人間は、時々時間が止まる日が現れるのだという。かつて家を出た時、そのまま自殺するつもりだったが、突然時間が止まったので思いとどまったのだという。男はシャウチーに語りかけ、グアタイに、自分は出て行く時に買う予定だった菓子を買ってくれるように頼んでバスを降りる。
グアタイはシャウチーを家に送り届け、最後にキスしようとするが躊躇い、手書きの地図と手紙を書いて、送るためにその場を後にする。外に出ると間も無く時間が動き始める。グアタイはシャウチーの郵便局に行き最後の手紙を出すが、その帰り、シャウチーの父に頼まれた菓子を買いに戻りかけてトラックにはねられる。
363日が経つ。全てを知ったシャウチーは、私書箱のある郵便局へ転勤を申し出、そこで働いていた。あれから手紙が来ない。そんなある時、松葉杖をついたグアタイがシャウチーの前に現れる。そして、頼まれていた菓子を渡す。こうして映画は終わっていきます。
もうちょっと整理してエピソードを削ったら、もっとテンポが良くなったと思いますが、それでも、映画としてはなかなか良かったです。ほんのり切なさと感動をもらいました。