くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「明け方の若者たち」

「明け方の若者たち」

始まりから終わりまで、隅から隅まで、平凡な映画でした。おそらく原作はもっと味のある物語なのでしょうが、こう言う話は力のある人が演出しないと凡作に仕上がる、と言う典型的な映画でした。まあ、黒島結菜目当てで見に行っただけなので、満足でしたが。監督は松本花奈

 

明治大学前という舞台設定、2012年冬から物語は始まる。内定をもらった大学生の宴会場面、どうにも乗り切れない主人公の僕は、同じくつまらなそうに先に帰ろうとする彼女がたまたま出口で携帯が見つからないというのを聞いて、電話をかけてやり、気づかせる。僕はなぜか彼女のことが気にかかる。宴会の場を離れて一人水を飲んでいると彼女からのショートメールが来て、一緒に飲まないかと誘われる。

 

僕は宴会を抜けて待ち合わせのクジラ公園に行き、彼女とかん酎ハイを飲んで明け方まで語る。その後、彼女から誘われるままに僕も彼女とデートを重ねる。僕の就職先は大手出版社だが、夢を持って入社したものの総務に配属され腐っている。同期の尚人も企画ではなく営業に回され、ふたり出口を言う日々が続く。この辺りの登場人物の描き方が全くできていなくて、実に味気ない。

 

僕はいよいよ彼女と深い関係になり体を合わせ、一緒に風呂に入ったりしながら楽しい日々を過ごす。ある時、僕の先輩が大好きなロックフェスティバルで有給をとったので、僕は彼女を誘って、海辺の高級ホテルに行くことにする。そして夢のような一夜を過ごしたがそれを最後に彼女から連絡が途絶える。実は彼女は既婚者だった。それは当初から僕も知っていた。彼女の夫は三年間出張で海外に行き、その間彼女は自由を楽しむことにし、僕を誘ったのだ。しばらくして彼女と会った僕は彼女から、本当に好きだったと言われるが、僕はそのあと落ち込んで自暴自棄になり数日会社を休んでしまう。

 

年月が過ぎて2016年、それなりに仕事も板についてきた僕、同期の尚人はベンチャー企業へ転職、友達の一人はネズミ講にハマっている。それぞれがそれぞれの人生を送っている。久しぶりに尚人と呑んだ僕は、明け方の帰り道、彼女と呑んだクジラ公園に行き、思い出に浸り、明け方の空を見上げて映画は終わる。

 

たんたんとして青春ドラマなので、相当に演出力のある監督が作らないと原作の良さは出せないだろうと思う。決して役者は悪くなかったと思うが、映像センスを含め、演技演出も絵作りの才能もない平凡な監督の仕上がりという映画になっていました。物語の肝は、風俗の女性に本音を語る僕の台詞にあると思いますが、この部分も全く演出できていない。でも大人っぽくなった黒島結菜は素敵だった。