くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE」「ヴォイス・オブ・ラブ」「ねらわれた学園」

「99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE」

テレビスペシャルレベルの作品ですが、大好きな杉咲花、大好きな脚本家蒔田光治トリック担当と言うことで十分に楽しむことができました。監督は木村ひさし。

 

テレビスペシャルの続編的なオープニングから映画が始まる。南雲弁護士の娘エリが実は実の娘ではなく、15年前のワイナリー殺人事件の容疑者として死刑となった山本というのが本当の父だとわかる。しかし、その事件には不審な点があると言うことで再審請求をするために深山たちが真相を追求していくと言うのが本編。

 

テレビシリーズ以来の小ネタが散りばめられ、かなり荒いトリックながら、実は真犯人はイベント当日遊んでいた幼い子供たちだと判明、その真実を隠すために村人たちが計画を立てたことがわかるクライマックスへ展開していく。途中で大体の流れは読めたものの、このドラマの楽しみは小ネタを笑うというところが大きいので、それで面白かったから良いとしましょう。

 

脇役のカリスマ性が今ひとつ引き立っていないことと、主人公たちのお決まりが、キレがない演出のなってしまったのは残念。まあ、こんなものだろうと言うレベルの映画として十分に楽しみました。

 

「ヴォイス・オブ・ラブ」

セリーヌ・ディオンの半生を元にしたフィクションですが、なんとも演出力のない映画でした。人間ドラマが全く描かれておらず、セリーヌ・ディオンの曲とステージシーンを模倣していくだけが見せ場という粗末な作品で、結婚してから後半がやたらダラダラと長く、エンディングも何をまとめたいのか分からずじまいの一本でした。セリーヌ・ディオンの曲がなければ見ていられない映画だったと思います。監督はバレリー・ルメルシエ。

 

カナダ、主人公アリーヌの両親が結婚し、次々と子供を産み、最後にアリーヌを産むまでがスクラップブックのように適当に描かれて映画は始まる。幼い頃からその歌唱力が認められて人気だったアリーヌを母や家族は歌手にすることを考え、大物プロデューサーのギィ=クロードにデモテープを送り。ギィ=クロードは一度聞いてその才能を認め、アリーヌを事務所に呼び、やがてデビュー。

 

みるみるアリーヌは人気が出るが、12歳のとき、ギィ=クロードは活動をやめさせ、基礎的な教養やダンスを身につけることと、歯の矯正の時間を作らせる。やがて復帰したアリーヌは世界中に人気が広がるが、一方ギィ=クロードと恋に落ちる。母の反対があったものの二人は結婚、苦労の末子供もでき、アリーヌの歌手人生も絶頂へと向かっていく。

 

父が亡くなり、やがてギィ=クロードも亡くなる。ここまで突っ走ってきたアリーヌはステージをドタキャンし、寂しさを覚え夜の街に出ていく。カットが変わると、絶唱する彼女の姿、そして映画は終わる。

 

演出の一つ一つが実に陳腐で安っぽい上に、主要な人物の人間ドラマが作れていないので話がなんとも薄っぺらい。セリーヌ・ディオンの実話をもとにしていると言う前提がなければ見れたものではない映画だった。

 

ねらわれた学園

ほぼ四十数年ぶりの再見、それほどできのいい作品ではないけれど、大林宣彦監督の個性的な映像が爆発する楽しい作品でした。

 

高校二年生になった主人公三田村は幼馴染の関と楽しい高校生活を送っている。ある日、トラックに轢かれかけた子供を不思議な力で助けた三田村は、その日以来、超能力が身につく。関の剣道の試合でも三田村が念じると逆転して勝利する。そんな三田村に謎の男が近づいてくる。

 

ある日、三田村のクラスに高見沢という少女が転校してくる。彼女はきて早々から不思議な威圧感でクラスを支配し、さらに生徒会役員になって、学校をパトロールする組織を作って生徒たちを無気力にしていく。そして、英光塾という謎の塾に生徒たちを誘い、次々と生徒たちを支配していく。

 

何かおかしいと感じた三田村と関は敢然と高見沢たちに戦いを仕掛けていく。高見沢には謎の金星人という男がついていて、関らは窮地に陥るが、三田村の超能力で金星人を撃退、学校は元の明るい学校へ戻る。関と三田村も幼馴染の同級生となるが、三田村の心には関への恋心が芽生え始めていた。こうして映画は終わります。

 

ちょっと映像がごちゃごちゃしてまとまりに欠けるけれど、この後尾道三部作など大林宣彦監督の傑作が生まれるその前章的な作品で、久しぶりに見直したけれど、ノスタルジーに浸ることができました。