くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「グロリアス 世界を動かした女たち」「スージーQ」

グロリアス 世界を動かした女たち」

アメリカのフェミニズム革命家グロリア・スタイネムの物語。非常に面白いスタイルの作品で、幼女時代、少女時代、女学生時代、大人の女性の時代のグロリアを四人のそれぞれの役者が演じ、時に同じバスでお互いに会話したり、SFまがいのシーンがあったり、時間や空間を吹っ飛ばして前後に交錯させて展開したり、見ていて映画としてとても面白い。しかも、女性活動家として女性蔑視の問題に熱意を持って運動する姿が描かれていく迫力も圧倒的で、関係を持った女性たちの存在や関係理解できなかったものの、それを差し置いてもラストは胸が熱くなっていきました。私はこの映画好きです。監督はジュリー・テイモア

 

道路のアップからバスの中、幼女のグロリアが外を見ている。カットが変わり、父の車に乗せられている幼女のグロリア、さらに、女学生時代、インドに留学中のグロリアが三等列車の中でインドの女性たちと話している。さらに変わると、大人の姿のグロリアがとあるカフェに入り、そこで、Ms.誌のグロリア・スタイネムさんですねと声をかけられて賛辞をもらうカットへ続く。

 

幼い頃にグロリアは何事にも前向きで楽観的な大好きな父といつも一緒だった。物語は、幼いグロリアが父や母と幸せに暮らす日々、女学生時代にインドに渡ったグロリア、そして間も無く同じバスに乗り合わせて大人になったグロリアが登場して物語が本編に進んでいく。

 

インド留学前に妊娠していたグロリアは中絶をする。それは当時違法行為だった。やがて2年の留学が終わり、父の連絡もあってニューヨークに戻ってきたグロリアは出版社に就職するも、男性社会で満足な仕事を与えてもらえず、その会社を退社し、自らバニーガールになって、職場の舞台裏をスクープした記事で一躍ジャーナリストとして認められる。そして、何かにつけて女性が蔑まれていることに反感を持ち、女性の地位向上と、妊娠中絶禁止に反旗を翻し、女性活動家として表舞台に出ていく。そんな彼女を世の中の男性は一斉に攻撃するが時代の流れは変わり始めていた。そして、その運動の旗印の雑誌「Ms.」を出版して大反響となる。そんな頃最愛の父が事故で亡くなる。

 

中絶を擁護する運動はローマ法王からも反対されるが、アメリカ先住民の中にも男女平等論は広がり、グロリアの存在と運動はますます広がりを見せていく。そんなグロリアの姿を、時に女学生時代のグロリアと対話したり、幼い頃のグロリアが登場したり、少女時代のグロリアら四人で同じバスに乗っていたりと、様々な映像表現で描いていく。

 

大統領選でヒラリー候補が敗れたものの、いずれ来る女性大統領時代を訴え、先住民族の中でも女性の首長の誕生を実現させ、さらにインドでに活動を続ける様子を描いて映画は終わっていきますが、バイタリティある彼女の行動する姿が、どんどん見ているわたしたちに訴えかけてくるクライマックスは圧巻です。

 

映像表現を駆使した絵作りの面白さと、実在の人物の伝記映画ながら、奇抜な表現も厭わない描写がとっても面白い作品で、それでいて、メッセージの迫力は半端ではない映画でした。好きな一本です。

 

「スージーQ」

一世を風靡したスージー・クワトロの半生を描いたドキュメンタリーですが、ちょっと構成が平凡なので中盤しんどかった。でも懐かしい映像を楽しめたのは良かった。監督はリーアム・ファーメイジャー。

 

スージー・クワトロの幼い時代から、やがて姉妹と一緒に音楽界に登場、人気を博していくが間も無く独り立ちしてロック界の寵児として存在感をアピール、そして現在に至るまでが関係者のインタビューと本人の言葉で描かれていきます。そして、最近出したアルバムの場面で映画は終わります。

 

中盤、少しだれてしまいますがドキュメンタリーとして、スージー・クワトロの懐かしい映像を楽しめました。