くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「花咲ける騎士道」(4Kデジタルリマスター版)「夜の騎士道」(4Kデジタルリマスター版)

花咲ける騎士道

荒唐無稽にハイテンポで展開するコミカルなラブストーリーの如き映画。クライマックスの延々と馬で疾走する追っかけシーンは圧巻。一見、粗だらけの展開のようですが、綺麗に一つにまとめていく監督の手腕は見事です。なんかわからないけれど面白かった。これが古き良き映画の楽しさかもしれません。監督はクリスチャン・ジャック

 

17世紀、戦争を繰り返すフランスのルイ15世は、戦士の不足に悩んでいた。そこで徴兵官フランソワーズを中心に田舎に行って若者を集める任務が下される。ここに、プレイボーイで、女の尻ばかり追いかけているお調子者の若者ファンファンは、この日も村の娘といちゃついていて、その父親に追いかけ回される。たまたま兵士募集に来ていたフランソワーズのところへの逃げ込み、兵士に志願する。

 

兵舎へ向かう途中、フランソワーズの娘アドリーヌの占いで、将来は兵士として出世し、王女と結婚することになると適当なことを言われすっかりファンファンはその気になる。折しも、盗賊に襲われ、身を潜めていた時に、偶然、王女の馬車を助けて、王女からチューリップをもらい、ファンファンは自らチューリップの騎士と名乗る。

 

兵舎で好き放題の行動をしたファンファンは営巣に入れられるも脱出して大騒ぎを起こす。やがて連隊は前線へ送られるが、駐屯地の近くにルイ15世の王城があった。ファンファンは王女に会うべく城に忍び込んで捕まってしまい絞首刑を言い渡される。しかしアデリーヌの懇願もあって、その場を助かったファンファンだが、ルイ15世は見返りにアデリーヌに迫る。アデリーヌはルイ15世を平手打ちして逃げたため、ルイ15世は侍従らにアデリーヌをおいかけさせる。アデリーヌは王女の助けで、修道院に逃げ込むが、兵舎で情報を聞いた侍従長らが修道院に向かう。

 

窮地を知ったファンファンは修道院へ向かい、アデリーヌを救い出して逃げるが侍従長らの馬車や馬が後を追ってくる。この追跡シーンがものすごい移動撮影と迫力で引き込まれてしまいます。そんな姿を見た敵国の軍隊は、フランスに作戦だと勘違いして、方向を反対向きにしてしまう。一方、アデリーヌが侍従長らに再度奪われてしまい、ファンファンらは森の奥、地下道に逃げ込むが、そこを抜けて出てきたのが敵の作戦本部の城だった。そこで大暴れして、敵を散り散りに蹴散らして降伏させてしまう。

 

活躍を見たルイ15世はファンファンらを褒め称え、アデリーヌは王が養女として迎えて、ファンファンとアデリーヌとの結婚を許すことにしてハッピーエンドとなる。

 

あれよあれよと展開する荒唐無稽なストーリーですが、映画というエンターテイメントだと割り切ってしまう面白さが痛快の一本で、細かい粗などは吹っ飛んでしまう勢いに圧倒される秀作でした。

 

「夜の騎士道」

ひたすら女性を追いかけていくだけの映画ですが、監督の独特の感性で繋ぎ合わせ、切り替えていくテンポのいい絵作りがとっても楽しくて、恋愛コメディタッチの展開と、さりげなく悲恋物語で締めくくる作りがちょっとした面白さの映画でした。監督はルネ・クレール

 

時は第一次大戦直後でしょうか、ある田舎町、プレイボーイのアルマンは、ある女性との約束を忘れて朝帰りしてきて、待ち伏せしていた女性との痴話喧嘩から映画は幕を開ける。そんな彼は、同僚達と飲んでいて、一ヶ月後の大演習の前の晩のパーティまでに一人の女性をものにできるかどうかという賭けをする。その賭けでアルマンが勝ったらパーティの費用を払うというもので、勢いでアルマンは契約書にサインまでしてしまう。

 

赤十字の慈善パーティで、アルマンは一人の女性マリー=ルイーズと出会う。彼女はパリからやってきて離婚歴があり、この街の名士ヴィクトルに求婚してもらおうとしていた。そんな彼女にアルマンは強引に近づくがマリー=ルイーズは冷たくあしらう。アルマンは次第に本気で迫り始め、それはいつの間にか心さえも彼女に向いていくようになる。しかし、町中がアルマンとマリー=ルイーズとの話題で盛り上がるのを懸念した上官はアルマンを二週間の訓練に遠ざけてしまう。

 

冷静になったマリー=ルイーズは、ヴィクトルの求婚を受け入れることにする。ところが、二週間経って戻ってきたアルマンはマリー=ルイーズがヴィクトルと結婚を決め、さらにアルマンがなぜマリー=ルイーズに近づいたのかを彼女が薄々感じ取って、冷たくあしらってしまったことにやけを起こし、親友と決闘する流れになってしまう。

 

実際は、お芝居で、アルマンは怪我をすることはなかったが、決闘のことを知ったマリー=ルイーズは、いてもたってもいられずアルマンの元を訪ねる。そしてアルマンとマリー=ルイーズはお互い心から愛していたことを知る。しかし、嫉妬したヴィクトルはアルマンが交わした契約書をマリー=ルイーズに見せてしまう。

 

大演習前のパーティにやってきたマリー=ルイーズはアルマンに、自分が賭けの対象でしかなかった事を責める。アルマンは、本当に愛しているのだと真剣に言い訳するが、マリー=ルイーズの心は揺るがず、翌日、アルマンが旅立つ際、マリー=ルイーズは窓を開け見送ることはなかった。こうして映画は終わります。

 

画面がパンするたびにシーンが入れ替わっていくコミカルな編集や、繰り返しを多用した演出などリズミカルな展開が面白く、ひたすら女性を追いかける主人公の姿は流石にちょっと古さを感じてしまうものの、一本の映画として仕上がっている。ラストはちょっと切ないけれど、楽しめる映画でした。