くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「テルマ&ルイーズ」「最初の晩餐」

テルマ&ルイーズ」

見逃していた一本、午前十時の映画祭は本当にありがたい。これからも続けて欲しかった。本当にこの映画はめちゃくちゃに良かった。映像も素晴らしいし、音楽センスも抜群。主人公二人の心の変化していく様が見事に演じられているし、ラストシーンの切なさが、かえって爽快に見える。こういう名作はやはりたくさんの人に見て欲しいですね。監督はリドリー・スコット

 

18歳で結婚し、横暴な旦那ダリルに辟易しているテルマは友人のルイーズとバカンスの計画を立てていた。ルイーズにはジミーという彼氏もいるが、このままうまくいくが不安を持っている。

 

二人は、お互いの男に何も言わずに、友人の別荘を目指して車をスタートさせる。テルマは夫が護身用に持たせていた拳銃を持ってきたが、そんなものは触ったこともなかった。

 

二人は途中のドライブインで一息つくが、そこでテルマはハーランという女好きな男と仲良くなる。先を急ぐルイーズが、テルマを誘うが、テルマはハーランにことば巧みに誘い出され、レイプされかかる。そこへ拳銃を持ったルイーズが現れ、一旦引き離すがハーランの言葉に逆上して撃ち殺してしまう。

 

ルイーズは、どうせ信じてくれないからとその場を逃げ出す。途中、気のいい学生崩れの若者JDを乗せる。一方ルイーズはメキシコに行くためジミーに大金を用立ててもらう。ところが送金で済ますつもりがジミーは直接金を届けに来て、婚約指輪を渡す。一方テルマはJDと仲良くなり、夫以外の男として満足なSEXを経験するが、なんとJDはコソ泥で、まんまと金を奪われてしまう。

 

落胆するルイーズを励ましながらも車をスタートさせるが、テルマは途中のドラッグストアで強盗して金を工面する。こうして、次第にテルマもルイーズも気持ちがほぐされていき、自由の快感に浸り始める。

 

そんな彼女らをハルという刑事が追い始める。彼は彼女らが犯罪者ではなく、成り行きで犯罪をおかしていくのがわかって、なんとか助けたいと思っていた。

 

そんな時、一台のパトカーにスピード違反で止められたルイーズを助けるために、テルマは警官を脅した上、トランクに閉じ込めてしまう。そして途中で何度も出会うトラック運転手に悪態をついた上、そのタンクローリーも爆破してしまうのだ。

 

雪だるま式に犯罪を繰り返していくテルマとルイーズだが、すでに逆探知で居場所を突き止められ沢山のパトカーが迫っていた。逃げるテルマたちの車はグランドキャニオンの崖際で立ち往生する。そこに迫るパトカー、ヘリで追ってきたハル。

 

テルマとルイーズは叫ぶ。捕まりたくない。このまま死んでしまおう。こうして二人は崖に向かって車を走らせる。それを追うハル。車は崖を飛び出して映画が終わる。

 

ラストは悲劇だが、決して湿っぽくなく、二人の晴れやかな笑顔だけが心に残る。背後に流れる音楽も素敵だし、西部の広大な大地の景色の映像も実に美しい。なんといっても、二人を演じたスーザン・サランドンジーナ・デイビスの演技が抜群で、冒頭の心境がみるみる変わっていく様が素晴らしい。

本当にいい映画でした。これが名作ですね。

 

「最初の晩餐」

これは、想像していた以上に数段良かった。どんどん胸に迫ってくる。たわいのない家族の話なのに、微に入り細に入るきめ細かな脚本が素晴らしい。物語がサスペンスになっていて、どうなるんだろうとストーリーを追いながら、あったかくなる人間の物語に引き込まれてしまいました。監督は常盤司郎

 

病院の食堂、麟太郎と美也子がラーメンを食べるシーンから映画は始まる。日登志という二人の父親が末期がんで亡くなり、その通夜の日に物語は始まる。東京での仕事もうまくいかず、恋人とも疎遠になっている麟太郎。結婚し子供もできて順風満帆のはずがどこかギクシャクしている美也子。普通に始まる通夜の夜のはずだったが、頼んでいた料理が突然、母アキコによって断られ、代わりにアキコが出したのはかつて、日登志が初めて作った目玉焼きだった。それは、かつてアキコが盲腸炎で入院した日に作ったものだった。

 

お話はここで、麟太郎らがまだ小学生の頃に戻る。アキコが連れ子の高校生シュンを連れて日登志らのところにやってくる。日登志とその妻は別居していて、アキコと日登志は結婚することになった。二つの家族は最初は溶け込めないが、子供達が次第にそれぞれを受け入れ一つになっていく。

 

日登志は登山が趣味だったが、家族のためにスッパリやめて、日々の生活に邁進するが、やがて、シュンが大きくなるに連れ一緒に近くの山に登るようになる。映画は、かつての家族と、通夜の夜を交互に描きながら展開していく。

 

何度か山登りをする日登志とシュンだったが、いつも日登志はきのこ入りのピザを作った。ある時、山小屋で日登志はシュンにあることを打ち明ける。そして、帰ってきたシュンは間も無く家を出ていく。シュンは大学生に、美也子は中学生になっていた。

 

通夜が進むにつれ出てくる料理はかつて日登志が作ったピザであり、好きだった焼き魚だった。深夜に及んで来た時、家を出ていたシュンが子供を連れてやってくる。そして、すき焼きを振る舞うが、それは、日登志が家で食べた最後の料理だった。日登志が自宅で療養していた時訪ねてきたシュンに、何か食べたいと言い、シュンが作ったものだった。何度箸でつまんでも落としながら、美味しい美味しいという日登志のシーンが素晴らしい演出。

 

そしてアキコは、麟太郎と美也子にある告白をする。アキコが日登志と知り合ったのはシュンが中学生の頃で、お互いに結婚し、子供がいる身だった。しかし、お互いの気持ちがどうしても途切れることはなく、二人は一緒になることになった。しかもアキコの元夫は、自ら身を引くべく自殺未遂を起こし五年間眠ったままだった。

 

最初は受け入れられない美也子だったが、果たして家族ってなんだろうと悩んでいた麟太郎に詰め寄られ、自らの家族も見直すことになる。

 

夜が明けて、葬儀も滞りなく終わり、遺骨を持って帰る帰り道、日登志の同僚だった男が言う。とにかく日登志は好き嫌いが多く、飲みにいくと必ず嫌いなキノコや、しいたけ、焼き魚を避けるのだと言う。それを聞いて、アキコや麟太郎たちが唖然とする。あんなに美味しそうに食べていた日登志に騙されていたのだと苦笑いしてしまう。

 

帰り道、一人の女性が立っている。麟太郎の恋人理恵だった。こうして家に戻り、みんなで写真を撮るが、理恵は、家から作ってきたおはぎを広げる。それを見た日登志の同僚は、日登志が大好物だったのはこれだと言う。

 

思わず吹き出す麟太郎のシーンで映画は終わっていく。家族ってなんだろうと考え、それが説明できないのが家族だとアキコはいう。でも家族だからって知らないことがあっても当然だと描き、家族は面倒なこともあるが、なぜかみんな家族を持つ。とにかく、自分たちが普通に持っている疑問がさりげなく心に訴えかけてくる物語として描かれている姿がとにかく素晴らしいのです。こう言ういい映画に出会えるから映画ファンはやめられないですね。

 

 

 

ある時、アキコに電話がかかり、元夫が亡くなったという。号泣するアキコは、一週間家をあける。