くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「パーフェクト・ドライバー成功確率100%の女」「ノースマン 導かれし復讐者」

「パーフェクト・ドライバー成功確率100%の女」

韓国映画もこの手のエンタメ作品作り洗練されてきた感じですね。欠点はあるけれど単純に面白かった。少々長く感じたのは、エピソードを盛り込みすぎたのか、見せ場の配分が悪かったのか、いずれにせよ、退屈せず最後まで見れました。難をいうと、せっかく国家情報院や脱北者を持ち出したならもう一工夫入れて分厚いアクションにしてほしかったです。監督はパク・デミン。

 

特走というプロの訳あり荷物を運ぶ仕事をしているウナが、この日もペク社長の指示で二人の荷物を待っている場面から映画は始まる。最初は女のドライバーだと疑うチンピラ二人だが、いきなりトップクラスのドライビングテクニックで見事追手を巻いていくのに圧倒されてしまう。そして無事荷物を港に届ける。このオープニング、今時珍しくもない映像なのですが単純に面白い。

 

そんな頃、野球賭博で大金を稼いだドゥシクは、300億ウォンという大金を貸金庫に隠していたが、警察の追求が迫っていると知り、金を持って海外逃亡を決め息子ソウォンを連れて逃げる準備をしていた。そんな彼は特走を紹介される。一方、ドゥシクの金を横取りしようと画策する悪徳刑事ギョンビルがドゥシクを襲ってくる。ソウォンだけがなんとかウナの準備した車に逃げ込む。ペク社長の指示で、ソウォンを子供を商売にしている男に預けてしまえというのを、ウナはソウォンを母の元に連れていくべく救出する。

 

ウナを追ってくるのはギョンビルら刑事達と、彼の仲間のヤクザ者達だった。しかも、ウナが脱北者であることが判明し、国家情報院も絡んでくる。ギョンビルらは、ドゥシクを殺し、金を奪ったのはウナだとして追っていくが、国家情報院は、諸般の情報からギョンビルが真犯人であると見抜いてしまう。ひたすらウナとギョンビル、国家情報院との追いつ追われつに展開が延々と続き、そこにウナとソウォンとのドラマが組み入れられていくのですが、どれも中途半端なのが勿体無い。

 

そして、ペク社長はソウォンを海外へ逃すべく準備をするが、ウナの元締めがペク社長と分かったギョンビルらがペクの工場を襲う。ペクは殺され、駆けつけたウナはギョンビルらに反撃するが、ギョンビル、ソウォンと共に海に落ちてしまう。ソウォンは駆けつけた国家情報院に助けられるが、ウナはギョンビルに手錠をかけられ水の中に沈んでいく。

 

場面が変わり、ソウォンは保育園に通っていた。帰り道、送迎バスに乗り損ねたソウォンをウナが運転する車が呼び止めて乗せ映画は終わっていく。では、300億ウォンはどうなったの?ソウォンのお母さんのドラマはあれで終わり?という感じですが、いつの間にかそっちのけになっているのはちょっと雑なエンディング。でも気楽に楽しむエンタメ映画としては良くできていたと思います。

 

「ノースマン 導かれし復讐者」

シンメトリーな左右対称の構図を徹底し、父を殺された主人公が復讐し王国を作るという単純そのものの話を二時間以上に見せる描写力は頭が下がりますが、いかんせん画面が暗いのと、繰り返される神事と残虐シーンはちょっとしんどい。ただクライマックス、いきなりの美しい特撮場面の挿入のタイミングは面白かったと思います。全体的には、よくまあ眠くならずに見れたなという感じでした。監督はロバート・エガース。

 

9世紀、北大西洋のとある王国、オーヴァンディル王の凱旋を迎える息子アムレートのクローズアップから映画は幕を開ける。グートルン王妃も出迎え、王の弟フィニヨルも共に勝利を讃える。神殿で王は息子に未来を語り外に出ると、いきなり王は矢に射抜かれる。襲ってきたのはフィニヨルだった。アムレートは必死で逃げるが、フィニヨルは王妃グートルンもさらってしまう。アムレートはなんとか海辺から船に乗って沖に逃れる。そして数年が経つ。

 

ロシア、バイキングが次々と民を襲い、奴隷を略奪している。そこにはバイキングの戦士となったアムレートがいた。わずか数年経っただけなのに、いきなりおっさんのようにデカくなっている違和感があるがまあいいとしよう。アムレートは襲った村で、預言者から使命を思い出さされる。バイキングの統領達が、奴隷の売り先を指示しているのを耳にしたアムレートは、その中にフィニヨルの名前を聞く。フィニヨルは、オーヴァンディル王の国を奪ったもののノルウェーの王に追放され、今はアイスランドで農場をしているらしいという。アムレートは奴隷の姿となり、フィニヨルに売られていく奴隷船に乗り込む。そこで彼は同じく奴隷となって売られていくオルガというスラブ人と出会う。

 

フィニヨルの農場に連れてこられたアムレートは、力のあるのを売り込んで農場に置いてもらう。そこで、魔導士から、復讐のための剣を授けられる。それは夜間とヘルの門の前でした抜けない剣だった。アムレートは、奴隷同士の競技大会で、フィニヨルの息子を助けたことから優遇されるようになり、オルガと近づけるようになる。オルガもまた逃げ出すことを考えていた。

 

アムレートは、フィニヨルをじわじわと苦しめるべく、フィニヨルの長男の部下を斬殺、母グートルンも救出しようとしたが、なんとグートルンはオーヴァンディルになんの思いもなく、逆に恨んでいたことを告白する。アムレートは、そのままフィニヨルの長男を殺し心臓を奪う。嘆くフィニヨルは、奴隷を次々と殺して犯人を突き止めようとするが、オルガも殺されそうになり、アムレートは、長男の心臓と引き換えに助けようとし、自ら拉致される。

 

拷問されるアムレートだが、誰もいなくなったところへオーヴァンディルの守護神だった大鴉が大量に現れ、アムレートを繋いでいる縄を切ってしまう。隙を見て逃げたオルガは馬でアムレートを助け、空高く飛び立つ。そして彼方の地でアムレートを介抱してやり、回復させる。アムレートは、親族がいる地へ旅立とうとオルガと共に船に乗るが。オルガのお腹に子供がいることを知り、のちの災いを取り除くため再度フィニヨルの元に単身戻る。そして、母グートルンを刺し殺し。次男も殺し、フィニヨルとヘルの門の前で一騎打ちをして相打ちの末死んでしまう。オルガはのちの王を産み、王国をおさめたかの映像で映画は終わる。

 

単純そのものの物語ですが、フィニヨルの農場での奇妙な球技の場面や、生贄を捧げる神事、さらに魔道士や預言者が現れる下をはじめ、空高く馬に乗って飛び立ったり神話的な展開は面白い。とはいえ画面全体が非常に暗くて、それほどしっかりしたストーリーでもないので、単調さゆえの退屈さも見え隠れする。独特の感性といえばそれまでですが、決して面白かったとはいえない一本でした。