くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「クリード 過去の逆襲」「岸辺露伴 ルーブルへ行く」「65 シックスティ・ファイブ」

クリード過去の逆襲」

友情の物語として普通に面白かったし、それなりに感動した。可もなく不可もないかもしれないけれど、普通の映画だった。監督はマイケル・B・ジョーダン

 

2002年、少年のクリードは深夜、友人でこの街のボクシングの世界で名を馳せた友人デイムに誘われて、賭けボクシングの会場へ行く。そこで圧倒的な強さのデイムは相手を一発で倒し、クリードともども大金を手に入れて嬉々として夜の街に出る。そこでクリードは自分たちの父親的なレオンと出会う。クリードとデイムは施設にいたことがあり、レオンに虐待されていた。クリードは思わず殴りかかるが、レオンの仲間が駆けつけ、デイムは銃を持ち出したところで警察が来る。

 

十五年の時が経ち、クリード引退試合をしていた。そして、ついにチャンピオンの地位を守ったまま引退、そして現代となる。元有名ロック歌手の妻ビアンカと耳の聞こえない娘アムーラと三人幸せでセレブな生活をするクリード、ジムでは若きチャンピオンフェリックスを育てていた。そんなある時、刑務所を出所してきたデイムと再会する。実は少年の頃、デイムは逮捕されたがクリードは逃げたのだ。

 

ディムはもう一度試合をしたいと言い出し、クリードに頼むが、プロでもない上にクリードより年上のデイムを試合させるわけにはいかなかった。そんな時、パーティでトラブルになったフェリックスの次の対戦相手が重傷を負ってしまう。フェリックスの対戦相手を急遽決めなければならなくなり、クリードはデイムを推薦する。なんとも唐突な展開である。ところが、デイムはギリギリの反則を繰り返しフェリックスを倒してしまう。しかも、過去の恨みをまだ抱いているのだとクリードに宣言する。

 

クリードは意を決して、少年時代にけじめをつけるべくデイムと戦うことを決意する。ご都合主義的な展開です。そして試合に臨み見事ディムを倒すが、試合の後、デイムは昔からクリードのことは恨んでいないと話す。あれ?という流れです。試合後のリングで、妻のビアンカ、アムーラ、クリード三人は幸せそうに抱き合って映画は終わっていく。全ての過去にけじめをつけた姿があった。

 

クリードとディムの友情関係をもう少ししっかりと描けば傑作になったかもしれないし、フェリックスの存在が今一つ映画全体に意味をなしていない雑さが残念ですが、クライマックスのリングシーンにCGを使ったりした工夫は面白かったかもしれない。いずれにせよ、スポーツ映画らしい感動はあったものの、それ以上ではなかった。

 

岸辺露伴ルーブルへ行く」

テレビレベルを超えない実にダラダラした作品で、ルーブル美術館に実際行ったのかもわからない映像で、安直に作った二番煎じ劇場版でした。テレビで十分な一本、しかも長い。監督は渡辺一貴。

 

新しい絵の具の研究をする露伴は、モリス・ルブランの深黒の絵画を手に入れるために泉とオークションに出かけることにする。そこで目当ての絵画を手に入れたものの、不審な人物に持ち去られてしまう。しかし、取り戻した露伴は、絵画の裏面に描かれている、ルーブル美術館で見た、後悔、という文字の謎を解くためにルーブル美術館へ行くことにする。そこには、山村仁左衛門が描いたという全ての光を吸収するこの世で最も邪悪な絵画もありその謎も知りたかった。

 

露伴はまだ漫画家を目指している若き日、下宿していた元旅館で一人の女性奈々瀬との思い出を回顧していた。そしてルーブル美術館に着いた露伴と泉は、鑑定家の辰巳と出会う。そして、山村仁左衛門の絵画がルーブル美術館の地下Z-13に保管されていることを突き止めその部屋に向かう。

 

ところがそこにはフェルメールの絵画が残されていて、それは本物で、贋作が新しい保管場所に移されているという謎を露伴は解く。そして、贋作を作っていたのがモリスだったことを知る。さらに奥に、漆黒の絵画を発見するが、立ち会った誰もがその絵画を見つめると過去の出来事に取り憑かれる。

 

露伴も危うく、そに魔力に取り憑かれそうになるが、突然現れた奈々瀬に、全ての記憶を消すように言われ、露伴は自らにヘブンズドアを仕掛けて記憶を消すことで難を逃れる。そして、手に記した、顔の文字を消せというヒントで記憶を元に戻して脱出する。奈々瀬の姓は山村で、かつて山村仁左衛門の妻となったのが奈々瀬で、漆黒を求めて、仁左衛門は伝統的な山村家の絵画にこだわる父に逆らって自らの絵に打ち込む。

 

しかし奈々瀬が病に倒れ、父に治療費を援助してもらう代わりに、父を超える絵を描けと言われる。奈々瀬はたまたま神木の幹から出る樹液が仁左衛門の求める漆黒だとわかり、それで仁左衛門は絵を描くが、兄を妬んだ仁左衛門の弟に奉行所に訴えられ、二人は捕えられて奈々瀬も仁左衛門も死んでしまい、恨みが絵に込められて残ったのだった。しかも奈々瀬の旧姓は岸辺だとわかる。全てが解き明かされ、奈々瀬の幻想も消えた露伴は新たな作品に臨んでいく。

 

こうして映画は終わるのだが、なんせ、エピソードが乱雑に盛り込まれているだけで、映画作品として一本にまとまっていない。テレビドラマの数話をまとめたような出来栄えで、やたらダラダラと感じてしまった。こういう適当な作品作りはやめて欲しいものです。

 

「65/シックスティ・ファイブ」

シンプルなストーリーに娯楽映画の常道としての展開を盛り込んで、見せ場を繰り返していく作劇が面白い。脚本がしっかりできているのと、シンプルな演出を心がけたエンタメ映画の佳作という出来栄えでした。監督はスコット・ベック&ブライアン・ウッズ。

 

人類が誕生する遥か昔、惑星探査をするとある惑星、娘の難病の治療費を稼ぐために二年という長期の探査任務に志願したミルズとその家族の姿から映画は幕を開ける。ほのぼのしたシーンに続いて、探査船が謎の惑星帯に衝突して、冷凍睡眠している乗組員の一人で操縦者ミルズが覚醒する。予定外のトラブルで探査船は大破し、近くの惑星に不時着することになる。到着したのは6500年前の地球だった。

 

睡眠していた乗組員は全員死亡したとみられ、不時着時に探査船は真っ二つになって、絶望したミルズは自殺を決意するが、娘も映像を思い出し、さらにもう一人幼い少女コアが生存していることがわかり、生き抜くことにする。脱出するためには15キロ離れた山頂に残った探査船の半分で、脱出船が残っている部分にたどり着くことだったが、巨大生物や危険な生き物たちが襲ってくる。いわゆる恐竜たちである。

 

映画は、脱出船に辿り着くまでのコアとミルズの冒険を描いていくだけだが、途中、ミルズの娘が父を待たずに亡くなったこと、ミルズと言葉が通じないが機転のきくコアの活躍、亡き娘の代わりに必死でコアを助けていくミルズの奮闘などが小気味良いエピソードを繰り返して描いていくのが実に上手い。

 

やがて脱出船が近づいてきたが、空に不気味な流星群が見え始め、分析してみると、小惑星群が間も無く落下し、致命的な惨事が起こると出る。つまり恐竜が絶滅した隕石落下が迫っていた。なんとか脱出船に乗ったものの、Tレックスなどが迫ってきて、発射角度に船が保てない。一旦下船してコアだけを逃がそうとミルズは応戦するが、そこへ、コアも参戦、彼女の機転もあり見事Tレックスを倒し、脱出船が発射、折しも巨大隕石が地球に落下、間一髪宇宙へ出た脱出船は救助船とのランデブー地点へ向かうところで映画は終わる。

 

実にシンプルなストーリーなのでですが、よくある見せ場とはいえ、その配分が実に上手いし、クライマックスのスペクタクル映像との緩急も見事、さらに隕石落下というタイムリミット設定も、娯楽映画の常道としてうまく書き込まれている。一級品の傑作ではないものの、とっても楽しめるエンタメ映画でした。