くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「青の帰り道」「ガールズドライブ」

「青の帰り道」

なぜか見逃していた一本を見る。高校生の友達七人が現実に直面してたどる青春群像劇で、物語としては今更かもしれないが、大きなシーンの転換点で細かいカットを繋いで映像にリズムを作り出していく演出はなかなか上手い。さらに七人それぞれに均等に振り分けた物語と登場人物の描写のうまさでラストまで混乱することなく映画の中にのめり込んでしまいました。小品ながらちょっとした秀作。監督は藤井道人

 

前橋の高校、卒業間近の七人の高校生の最後の日々を細かいカットで繋いで映画は幕を開ける。歌手を目指すカナは東京へ出て行こうとしている。彼女のユニットメンバーだったタツオは受験に失敗し地元で浪人、写真が趣味だったカナの親友キリもカナについて東京へ行く。三年が経ち再び集まった七人だが、コウタとマリコは結婚することになり、お腹には赤ちゃんがいた。カナは大手レコード会社に採用され、キリがマネージャーでデビューを予定している。リョウとコウタは地元の土建屋で働いている。ユウキは大学卒業後就職。こうしてそれぞれの大人の人生が進み始めるが、現実が彼らを押し潰し始める。

 

リョウは悪い仲間に誘われ、現場の鉄線を盗んで金を稼ぐ。カナは事務所からニンジンの被り物のキャラクターでデビューして話題になるが歌手になる夢への疑問が常に頭にある。父が医者のタツオは受験がうまくいかずもどかしい日々を過ごす。キリは街で出会った写真家の男と同棲し始めるが、まもなくしてその男がDVだとわかる。ユウキは就職したものの成績が伸びず先輩にいびられている。

 

そんな時、タツオが死んでしまう。自殺かと思われたが遺書はなかった。責任を感じたカナは自暴自棄になり、キリの恋人は結婚詐欺師だったらしく警察に捕まる。行き場がなくカナのところに戻ったキリにカナは出て行けと追い出す。リョウは目標も見つからずもがく中オレオレ詐欺まで始める。そんなリョウの勤めるバーにカナが現れ酒浸りの日々を過ごす。やがてカナは事務所も追い出される。そしてキリたちにメールをした後自殺未遂を起こし、リョウに助けられる。キリはタツオの家を訪ね、タツオの父から、キリの母がキリが幼い頃に行った大手術のお金をいまだに払っていると言われる。また、タツオの部屋には死んだ日に買った東京行きの切符があった。どうやら自殺ではなかった。

 

時は流れ、それぞれの物語が展開しながら10年が経つ。この日、タツオの誕生日、地元に戻ってきたキリたちは、学生時代と同じく、真っ直ぐな道を歩いている。向こうからかつての自分たちのような高校生が通り過ぎる。「また花火をしよう」リョウが言い出して映画は終わっていく。

 

よくある話なのですが、真っ直ぐな道を人生の経路として暗喩し、真っ直ぐではなかった現実に押しつぶされそうになりながらももう一度進もうと励まし合うシンプルな作りがとっても爽やかで、大きな転換点で細かいカットでそれぞれの今を描写して次の展開に進む絵作りも上手い。誰に焦点を絞るでもなく、人生のさまざまを十人十色で描いた脚本も切なくて良かった。いい映画でした。

 

「ガールズドライブ」

低予算と適当なストーリーという一昔前のアイドル映画に久しぶりに出会った。クオリティに期待もしていなかったけれど、脚本と監督の名前で少しは変わったものが見られるかと思ったが、そのまんまの安直アイドル映画だった。監督は宮岡太郎。

 

中学校の時から陸上短距離の選手で頑張ってきた小春の最後の試合、スタートのピストルがなったのに走り出せない場面から映画は幕を開ける。六年間頑張ってきたのに最後で大失敗をして落ち込む小春に両親も妹も心無い声しかかけない。そんな小春は深夜ラジオの相談コーナーにメールをして出演することになる。ところが小春が、試合の朝解散したアイドルグループにショックを受けて走れなかったと言うとパーソナリティは大爆笑して、生放送のイベントで企画を立ち上げると言い出す。ショックを受けた小春は学校で茶化された後屋上へ向かう。そこには、後輩に彼氏を取られた由佳がいた。

 

由佳が東京へ旅行に行こうと誘うのでいきなり出かけることに、そこにインスタグラムをやっている玲奈が飛び込んでくる。三人は学校帰りに東京へ向かうが、そこへ車を運転して東京へ行こうとしている歩美通りかかる。歩美は、自分と瓜二つの人を写真で見つけて探しにいくのだと言う。そして四人で東京へのドライブとなる。

 

途中、玲奈のインスタのフォロワーのところに立ち寄ったり、湘南で妙な美容師三人に誘われたり、横浜中華街で本物のピストルを手に入れてしまったりしながら公開生放送の会場へ。小春がパーソナリティのところに飛び込み、袋に入れてあったピストルを出すとなんとスターターピストルで、大騒ぎとなって、パーソナリティも反省してことなきまま四人は釈放され帰路に着く。エンドクレジットの後、歩美が小春に渡した袋の中身が本物からスターターピストルになっている謎が明かされる。

 

歩美が見つけた瓜二つの人物は彼女の娘で、今回の事件を防ぐために未来から来たのだと言う。そしてピストルを入れ替えて未来に帰ったのが真相、と言うことで映画は終わる。

 

なんのことはない、典型的な安物アイドル映画でした。