くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アメリ」(デジタルリマスター版)

アメリ

十年ぶりの再見。ファンタジックなロマンティックコメディという映像世界は、やっぱり酔いしれてしまいます。オドレィ・トトゥが抜群に可愛らしいし、何もかもが夢の世界、でもとっても素敵なラブストーリー、名作というのはこういうのをいうのでしょうね、何度見てもうっとりです。監督はジャン=ピエール・ジュネ

 

街角の何気ない景色から映画は幕を開ける。そして主人公アメリが生まれるいきさつから、父親に抱きしめられたい幼い日に、たまたま父の前で心臓が高鳴ったために心臓が悪いと勘違いされたアメリは外の世界に出ていかず、家の中で母の教育のもとに成長していく。そんなアメリはいつしか空想の世界に過ごすようになってやがて大人になる。

 

モンマルトルの古いアパートに一人暮らしを始めたアメリは他人とのコミュニケーションの仕方がわからず、たまたまアパートで発見した古い小箱をその主人を見つけて返したことから、誰かを少しだけ幸せにすることに喜びを感じ始める。カフェで仕事をし、八百屋の店長にいじめられる雇人のために店長に悪戯をし、アパートの大家の女性の亡くなったご主人の手紙の束を切り貼りして、山奥で見つかった古い手紙の一通を作り出して、愛していたというラブレターを届けて大家を幸せな気持ちにする。

 

そんな彼女をじっと見つめる画家の老人の姿を合間に挟みみながらアメリの人生もこちらから眺めていく展開がとってもいい。そんなアメリは証明写真の機械のそばで一人の青年ニノと出会う。ニノがある男性を追いかけて夢中になっている時に、バイクに積んでいたスクラップブックを落とし、それをアメリが拾う。そこには、破られた証明写真を貼り合わせたコレクションがあった。

 

アメリはそのコレクションに頻繁に出て来る一人の男を追い始める一方、スクラップブックを返却しようと、問い合わせの張り紙に返事のあった電話に電話するとなんとアダルトショップ。ニノはそこの従業員だった。直接渡せないアメリは、電話ボックスから遊園地の一角にニノを誘導し、望遠鏡で覗くニノに手を振ってバイクのカバンにスクラップブックを返却する。

 

アメリのことが気になるニノはアメリが残した張り紙やメモを頼りに出かけていくがなかなか直接会えない。そんなやりとりの中で、カフェで面と向かってもアメリは自分だとはっきり言えないままに、周りのちょっとした噂からニノは別の女性に気があるらしいと誤解して自宅で涙ぐんでいるところへニノがチャイムを鳴らす。しかし、出ていけないアメリに、また来るからというメモが差し込まれる。

 

窓からニノを見るアメリに画家から電話が入り、今行かないといけないと画家が語るビデオが届く。アメリがドアを開けると目の前にニノがいて二人はベッドへ。一方アメリが悪戯をして父の家の庭の人形に世界旅行をさせて、外に出るように促していた父は、ついに旅行に旅立つ。そんな色々がさりげない日常の1ページになって映画は終わっていく。

 

この映画を見ると、自分の身の回りのあれこれが実は誰かのいたずらなんじゃないかと思い始めて楽しくて仕方なくなって来る。ありふれた日々が実はありふれていない夢に溢れた日々なんだと思わせるとってもロマンティックな作品で、人を幸せにしていたアメリが自分を幸せにする方向へ展開するストーリーに勇気づけられます。やはり映画というのは夢の世界だと言わしめる名作です。