くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ザ・ウォッチャーズ」

「ザ・ウォッチャーズ」

M・ナイト・シャマランの娘が作ったという話題作ですが、結局路線は同じで、後半はだいたい先が読める展開だったものの、こういう話もありかなという感じの作品。エンディングがそれなりに気持ち悪さを感じなかったので良いとしましょうという作品でした。監督はイシャナ・ナイト・シャマラン

 

アイルランドの西の森、一人の男が走っている。回帰不能点と番号が書かれている看板を見つけ、さらに焦るように走るがやがて暗闇になり、またあの看板のところへ戻ってしまう。男は木に登るが枝が折れて落ちてしまいそこに何かが襲いかかって場面が変わる。

 

アーティストのミナは一羽のおうむをあるところに届けて欲しいと頼まれ、そこまでの一日掛のドライブに出る。彼女には双子の姉ルーシーがいて十五年前に交通事故で母を亡くしていた。事故の原因がミナにあることからずっと後悔の念に苛まれていた。森の奥に進んだミナだが、携帯もラジオも次第にエラーになりやがて車も止まってしまう。仕方なくおうむを連れて森に出るが、行き場がなく振り返ると車が消えていた。

 

異様な雰囲気の森を彷徨っていると一人の老婆を見つけ、その後を追っていく。その先に一軒の家を見つけ、老婆が呼ぶままにその建物に駆け込む。中にはダニエルという青年とキアラという女性がいた。老婆はマデリンと言って、今から大きなガラスの前に立つように言われる。ガラスはマジックミラーらしくガラスの向こうでは何やら魔物=ウォッチャーズのようなものが室内を見ているのだという。

 

マデリンはミアに、決して鏡に背を向けないこと、常に光の中にいること、ドアを開けてはいけないというルールを説明する。昼は森に出て、食料を集めたり、薬草を摂ったりして過ごし始めるミナだが、森の至る所に穴があった。ミナはキアラと森に出た際、その穴に入って自転車やビデオカメラなどを拾い上げてくる。しかし、その夜、ガラスの向こうにやってくるウォッチャーズは何やら怒りを見せ、キアラの夫で冒頭で逃げていた男=ジョンの声が聞こえてくる。どうやらウォッチャーズは人間の姿に変化することができるらしい。ウォッチャーズにビデオカメラも壊され、翌日自転車などは穴に戻す。

 

ミナは昼、森を探索して、看板の番号の位置などを書き留めて地図を作り始める。マデリンとダニエルが食料を取りに行って諍いになり、ダニエルはキアラを建物に入れた後、マデリンとミナを森に置き去りにする。マデリンの機転でウォッチャーズに見つからないようにして、その後なんとか建物に戻ったが、ウォッチャーズは怒りを露わにしてガラスを割ってこようとする。危険を感じたマデリンらだがダニエルがカーペットの下に何かの入り口を発見、シェルターのような扉を開いて四人は中に飛び込み閉める。

 

そこは、この森の研究をしていたローリー教授の研究室だった。ミナがそこにあった動画ファイルを見つけ、ここがどういうところか明らかになる。かつて人間と妖精は共存していたが、妖精の力が強くなり人間は妖精を閉じ込めてしまった。妖精は人間の姿に変身することができ、何百年もかかって閉じ込められたところから外に出た妖精は、すでに翼も魔法も使えなくなっていて、夜にしか活動できなかった。ローリー教授は村人を犠牲にしてこの施設を作り妖精の研究を進める。

 

そんな中、一体の妖精を地下室に招き入れることになる。その妖精は金髪の少女だったが、やはり魔物に違いないと判断して自ら葬る決心をしたところで銃声と共に動画は終わっていた。教授の最後の言葉に、134番の回帰不能点の先にボートがあるから、鳥の飛ぶ先を目指せばそこから脱出できると語っていた。

 

ミアたちは夜明けと共に134番の回帰不能点を目指すが、やっと辿り着いた頃には夜になっていて、ダニエルの目の前に妖精が変身したジョンが襲いかかってきた。マデリンたちはダニエルを呼ぶがダニエルは殺されてしまい、ミア、キアラと共にボートで脱出する。そして通りかかったバスに乗って無事街に戻ってくる。

 

ミアは教授の動画の指示通り大学の研究室に行き、教授の研究資料を持ち出してキアラのところにやってくる。その資料の中に、ローリー教授とその妻マデリンの写真があった。マデリンは肺がんで亡くなっていたのだ。ローリー教授は亡き妻を甦らせるために研究を進め、マデリンの姿になれる一体の妖精を招き入れたが、結局妖精に殺されたのだった。

 

ミアとキアラは、やがてくる魔物を迎え撃つ。マデリンは昼も活動できる人間と妖精のハーフの生き物だった。マデリンがミアたちを襲ってくるが、ミアはすんでのところでハーフ体であること、そして同じ種族がすでに人間社会にいるから探しにいくようにとマデリンを説得する。その瞬間、マデリンの背中に羽が生え、そのまま夜の闇に飛び去る。

 

ミアは、後悔の念を引きずって会えなかったルーシーの元を訪れる。窓の外では常に姿を変えてミアを監視する少女の姿の妖精がいて振り返るショットで映画は終わる。

 

驚くほど良くできているわけではないけれど、原作が面白いのか、物語は楽しめました。ただ、中盤から後半と、前半部分の構成のバランスが悪いのか、ちょっと終盤間延びしたように見え、鮮やかさが足りなかったのは残念でした。