くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「おかしなおかしな大冒険」(4Kリマスター版)「ガールフレンド」

「おかしなおかしな大冒険」

人気三流エンタメ作家が描くスパイドラマと現実が絡む二重仕立てのよくあるストーリーですが、前半の面白さが中盤から支離滅裂になって来て、終盤収拾がつかなくなって無理矢理終わるというなんとも言えないコメディエンタメ映画でした。監督はフィリップ・ド・ブロカ。 

 

メキシコの諜報員が電話ボックスから本部へ連絡している途中で、電話ボックスごと拉致されて海に落とされ、サメに殺されるところから映画は幕を開ける。相手が強者と判断した本部は名うての諜報員ボブを送り込む。そしてメキシコに向かったボブは現地で美貌の諜報員タチアナと合流し、敵のボスカルポスに立ち向かっていく。

 

そんなスパイ小説を書いているメルランは、タイプライターが壊れ、日々の金に困って、カルポスの二役の編集長シャロンに前借りを頼むも断られ、そんな時、階上に住む女子大生クリスティーヌと知り合う。彼女はメルランの本に夢中になるが、メルランもまたクリスティーヌに夢中になり始め、それが小説の中でボブがクリスティーヌに瓜二つのタチアナとの恋を楽しんでいくはずが現実と小説は上手くまとまらず、二転三転というかダラダラしたドタバタ劇が繰り返されていく。

 

そして、小説の世界でヤケクソになったボブだが、現実世界でクリスティーヌの優しさに絆され、まともなクライマックスに書き上げていく。現実でもクリスティーヌとどことなく上手くいき始め、クリスティーヌにちょっかいを出そうとしていたシャロンを追い払い、仕上がった小説を窓から投げつけて映画は終わる。

 

中盤はかなり悪趣味なグロシーンが連続して、ネタ切れ感満載になっていって、後半はもう支離滅裂になっていく展開に次第に退屈さを感じてしまいます。なんとかエンディングさせたものの、無理のあるラストで、この尺の映画の割にやたら長く感じてしまった。

 

「ガールフレンド」

人生の一瞬を切り取ったような物語の作品で、結婚、出産し、いわゆる普通の生活に入っていく女性と、自分の生き方を貫き独身のまま目標を目指しながらもどこか疑問を感じて彷徨う女性という二人を描くことで、女の生き方を見つけていく映画だった。監督はクローディア・ウェイル。

 

明け方、暗闇の中でシャッター音がうるさく聞こえ、目を覚ましてしまう一人の女性アンの姿から映画は幕を開ける。写真を撮っていたのはルームメイトで親友のスーザンだった。スーザンは、頼まれ仕事で写真を撮りに出かけ、アンは一人残されるが、ある時、スーザンはアンから、マーティンという男性と結婚することにしたと報告を受ける。それほど親しい男性でもない人と結婚する友人に疑問を感じるものの、部屋を出ていくアンを見送った後孤独に苛まれるスーザンだった。

 

スーザンはアンに招かれたパーティでエリックという男性と知り合い、流れのままに体を合わせるが、何か違和感を感じてそそくさと家に帰ってしまう。写真の仕事も思うように進まず、写真の学校時代の友人ジュディと出会って焦りを感じながらも、日々の生活も苦しいスーザンだった。

 

ある日、ヒッチハイクをしてコロラドを目指しているシールという女性と出会い、部屋に泊まらせるようになるが、彼女はレズだった。しばらく一緒に暮らすが、スーザンはラビの中年男性と不倫関係になったりする。しかし、結局ラビにとってはやはり家族が第一だという姿を見るにつけ、スーザンは一人になりたくてシールに出ていってもらう。

 

アンには子供ができて、自宅にスーザンらを呼ぶが、エリックはテレビを見たいと断る。一人で出かけたスーザンは、ついアンと口喧嘩をしてしまう。アンも自分の作家活動を再開していて、子育てなどに時間を奪われる中でマーティンとも喧嘩するようになっていた。

 

スーザンは、有名な画廊のオーナーに無理矢理会いにいくが、そこでは叶わなかったものの、スーザンの気持ちを汲んで新人写真家を探しているベアトリスという画廊の経営者を紹介してもらい、スーザンは個展を開くことが実現する。個展の会場にエリックやラビの男性、両親らも見にくる。マーティンは一人で来て、アンは実家に帰っていると言われる。

 

スーザンはアンの実家を訪ねる。アンはマーティンに黙って中絶したのだという。複雑な思いのアンにスーザンはお酒を勧め一緒に飲む。そこにはかつての親友同士だった頃の二人の姿があった。そこへマーティンが迎えに来た音が聞こえて映画は幕を閉じる。

 

親友同士の二人の女性の人生の一時期のドラマを、結婚、自由、夢、子育て、恋人などのエピソードを交えて描くさりげない物語ですが、決して薄っぺらい描き方になっていない深さも感じられる気持ちのいい映画でした。