くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ニュースの天才」

ニュースの天才

すばらしい。非常に充実した秀作でした。
実話とはいえ、観客に迫ってくるような迫力があり、それでいて押しつけがましくないところが良い。
スターウォーズのアナキン役、ヘイデン・クリステンセンがなかなか良い。
まだまだひよっこながら、追いつめられた結果なのか、元々そんな性格だったのか、自然と捏造記事を作り出してゆく主人公スティーブン・グラスを見事に演じているのです。その微妙な雰囲気を見事に出しているところが、才能なのでしょうか?

捏造が少しずつほころんでばれてきて、それでも必死に嘘を突き通そうとするのだが、それでも次から次と穴があいてくる。こちらをふさげばあちらがほころぶ、といういたちごっこにあえぐ姿が見事に演じられているのです。
どうにも息詰まって、観念してしまうところまでが無駄に引き延ばした演技にもならずに自然と到達するのです。

それに、相手役のチャック役ピーター・サースガードもマイケル役のハンク・アザリアもいずれ劣らぬ好演で、強すぎず弱すぎずにクリステンセンの脇に陣取って、しかもしっかりと存在感を見せているのが、物語全体を引き締めていて、見ていてわくわくしてしまった。
これだけ主演と助演が見事な力関係で存在した映画はそうないものである。

結局、スティーブンがなぜああした捏造を始めたのかはその具体的なところにはふれていません。それは現実でもその理由は結局判らずじまいになっているのですから、それをあえて推測を入れて作らなかったところが良いですね。素直に実在の人物にスポットを当てて描いています。

学校の教室で自らの過去の失態を生徒たちに語る形で物語は進みますが、ラスト、結局その教室での光景さえもがスティーブンの想像の世界でした・・・