くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ハウルの動く城」

クラリスナウシカが宮崎アニメに帰ってきました。
思えば長かった。
間違いのはじめは「となりのトトロ」であったのでしょうか。
あの作品から宮崎アニメからかわいらしい、男性を優しく包んでくれるような女性が消えてしまったのです。
天空の城ラピュタ」で戻りかけたものの、「魔女の宅急便」ではあまりにも子供っぽくなってしまい、「もののけ姫」ではちょっと近寄りがたい少女になってしまった。
そして、「千と千尋の神隠し」ではとうとう子供になってしまった。

確かに宮崎アニメの質自体はどんどん格調高くなっているのですが、もっとロマンがほしいのです。「ルパン三世カリオストロの城」の小粋なロマンスや「風の谷のナウシカ」の壮大なロマンに登場する少女の姿が久しく消えていたのです。

ところが今回の「ハウルの動く城」のソフィは久しぶりに宮崎アニメに帰ってきたロマンあふれるかわいらしい少女の姿なのです。
今回の作品の随所にちりばめられるきらきら光るシーンの数々はやや稚拙な感じがしないでもありません。それはわざと初心に返ろうとしたのかもしれない。実際、メカニックデザインの見事さや飛行シーンのすばらしさ、カブやカルシファー、ヒンなどの魅力的なキャラクターデザインはさすがに群を抜いた見事さなのですから。

背景に見える素晴らしい景色は「アルプスの少女ハイジ」でしょうか?
もしかしたら宮崎駿はもう一度戻りたかったのではないでしょうか?
各種の賞にもてはやされて方向が狂い始めている自分の作品に気づいたのかもしれません。

物語にはふれませんが、もしかしたらこの作品は賞はとらないかもしれません。「千と千尋の神隠し」や「もののけ姫」に見られるような外国受けするテーマではないからです。でも、宮崎アニメの本当の魅力がいっぱい詰まっているのです。物語の展開やジャンプカットのように一気に場面が切り替わる演出はストーリーに躍動感を作って最高。
そこに、ソフィの純真な心が常に存在するのです。劇的な展開で観客を引き込んで、少女のロマンスで観客をつかんでしまう。そんな、一昔前の宮崎アニメの魅力が復活です。


「ハウルの動く城」シリーズボックスセット
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 西村 醇子

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