くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「オペレッタ狸御殿」

オペレッタ狸御殿
ついに公開された鈴木清順、チャン・ツィー主演の「オペレッタ狸御殿
もう最高に楽しんだ作品でした。

物語は狸御殿狸姫(チャン・ツィー)と自分をこの世で一番美しいと信じるまか不思議な武士安土桃山(平幹二郎)の息子、雨千代(オダギリ・ジョー)の恋物語。つまり人間と狸のラブストーリーです。

オペレッタの題名の通り全編、踊りと歌、そして豪華絢爛たる舞台が展開するいわゆるレビューのようなミュージカルのような、不思議なお話。
まず、屏風のようなバックにタイトルが流れて、一軒の農家のシーンへ。
狸と人間の恋はかなわぬものなれど、今宵は十三夜、恋の罠を仕掛けましょう・・という口上がはいり、やがて舞台シーンを撮影したような場面で狸が森に罠を仕掛けるシーン、そして安土桃山がまるで白雪姫の悪者の王妃のように世界中で一番美しい物は誰かと尋ねるシーンへと続く。

とにかく踊る、歌う、絢爛たる絵巻物の世界に中国の大女優チャン・ツィーが舞うのだから圧巻です。
薬師丸ひろ子が歌い、オダギリ・ジョーが走り、まさしく、オペラなのです。
よくもまあこれだけの作品に大スターを集結させたものです。まさしく鈴木清順の力と言わざるをえません。

あれよあれよと物語を追いかける内にいつの間にか二時間が過ぎて物語はハッピーエンドに終わりますが、ストーリーの中での馬鹿さ加減もその徹底的な演出に思わず見入っているのですからさすが鈴木清順といわざるをえない。

傑作「ツィゴイネルワイゼン」以降のサイケデリックな様式美の世界を当然のように作品として実現できる監督としてこれからも応援していくべきでしょう。