くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「素っ裸の年令」

素っ裸の年令

赤木圭一郎主演デビュー作ということであるが、どちらかというとわき役的な登場シーンであるような作品でした。監督は鈴木清順、1959年作品なので、この翌年にはアクション映画に次々と出演し大ヒットを飛ばしていくのですが、一気にスターに上り詰めたのでしょうね。

物語は当時流行したオートバイに乗って走り回る雷族と呼ばれるいわば不良少年たちの青春ドラマである。出だしからいきなりビュンビュンと走るオートバイのシーンが実にスピーディで心地よい。カメラが走るオートバイの少年たちを追うように迫るショットがスピード感あふれる演出で、まさに若さがほとばしるぎらぎらしたシーンの連続で引き込んでくれる鈴木清順演出の醍醐味を味わうことができます。

さらに、浜辺で海水浴に興じる少年たちの姿、少女たちとの戯れるシーンなどまさに青春映画そのままの生き生きしたシーンが続くのも新鮮で見応え十分。

一方、何とも道化風の登場シーンでストーリーにコミカルなムードを生み出すのが左卜全扮する浮浪者の老人、彼がひょこひょこと物語に味を付けるので単調な青春ドラマが何とも暖かみのある展開に生まれ変わるのが楽しい。

結局、不良少年たちがやくざのダイナマイトを運んだために大金を手にし、どこか仲がぎこちなくなって、結局20歳を迎える赤木圭一郎扮する健と少年たちがぎくしゃくして、オートバイの競争の結果、健は誤って崖の下に落ちて死んでしまうラストを迎える。

やはり、主人公というより、残った少年たちの物語であったように思えるエンディングでした。
青春を突っ走る不良少年たちのひとときのドラマをぎらぎらとほとばしるショットを紡いでいく青春ドラマとしての一遍、見応えのある映画でした